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教授
高木 眞佐子
(TAKAGI, Masako)

経歴
1999 3月 慶應義塾大学大学院文学研究科前期博士課程修了。
2002 3月 慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。
2002-2006 杏林大学 専任講師。
2006-2013 同  助教授(2007-准教授)。
2013- 同  教授。

先生の専門は何ですか?

15世紀のイギリスにおける出版印刷文化史を専門としています。活版印刷術はグーテンベルグ以来30年ほどでドイツから伝わりましたが、伝承者はウィリアム・キャクストンという元商人でした。画期的な技術を彼が導入する際に、どういう機械を使ったのか、どういうマニュアルや職人を使ったのか、活字はどうやって鋳造したのか、すべてが関心事ですが、中でも得意としているのが現存する印刷本とその元となった写本との比較です。テクストの行間から驚くほど多様かつ意外な、当時の活版印刷術の様相が浮かび上がります。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

もともと『ナルニア国物語』や『指輪物語』などの、イギリスのファンタジーが大好きでした。そうした架空世界が、中世のアーサー王伝説に依拠している部分が多くあることを知り、アーサー王について知りたくなったことが研究をはじめたきっかけです。中世の伝説・伝承が複雑に絡み合いながらもやもやとテクストが成立する過程を観察しているうちに、中世的なコンテクストがいかに近代へと橋渡しをされていったのかという歴史的な問題に興味が移っていきました。さらに、中世の終わりとルネサンスのはじまりの分水嶺として、活版印刷術が重要な技術革新だったと確信するにつれ、この問題について深く調べられたら素晴らしいと思いました。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

学生に「文学」のイメージを聞くと、「小説」という答えがよく返ってきます。しかし、中世には、小説を表すnovelという言葉さえまだありませんでした。(実はノベルの語源はフランス語で、「新しい」を意味する形容詞の女性形が元になっています。)ゆえに、中世に小説の研究はないかわり幅広い分野が含まれています。中でも、ロマンスと呼ばれる作品はとても面白いです。

不完全な形でしか残っていない中世ロマンスに、たくさんの想像力を付け加えた映画が、今も数多く制作されています。『ハリー・ポッター』や『指輪物語』も、原作は中世の物語の延長です。たとえば『ハリー・ポッター』に出てくる錬金術師、ニコラス・フラメルは中世フランスに実在した人物でした。私たちは新しいものを面白く思っているように錯覚しがちですが、実は何百年も前の題材からの楽しんでいることも多いのです。そうした気づきで世界がぐんと広がる体験は、中世英文学の一番楽しいところでしょう。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

一定以上の教養と語学力を身に着けた外国語学部の学生は、ぜひ社会に出てグローバルに活躍をしてもらいたいと思います。日本ではまだまだ、国際的な視野と言語能力を使って外国人に対応する人材が足りていません。日本を本当の意味で世界に開かれた国にするために、外国語学部の卒業生が活躍できるフィールドは多岐にわたっています。ぜひ、英語と中国語の素養をそれに付随する文化的教養を自分のものにして、大きく羽ばたいてください。

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