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准教授
梁井 久江
(YANAI, hisae)

経歴
2000年3月 東京外国語大学外国語学部日本課程日本語専攻卒業
2003年3月 東京都立大学大学院人文科学研究科国文学専攻修士課程修了
(修士:文学)
2007年3月 東京都立大学大学院人文科学研究科国文学専攻博士課程修了
(博士:文学)
2008年4月より2023年3月まで 非常勤講師(津田塾大学 清泉女子大学 首都大学東京 東京外国語大学 昭和女子大学 広島大学 大東文化大学 杏林大学)
2022年4月 杏林大学外国語学部客員准教授
2023年4月 杏林大学外国語学部准教授

先生の専門は何ですか?

日本語学と日本語教育です。話し言葉や地域方言に見られる文法現象に関心があり、時間を表す言葉のバリエーションとその変化に注目してきました。日本語の時間表現は歴史的にも地理的にも多様です。たとえば、古代語の助動詞の「~ぬ」や「~たり」は、現代語では廃れそのかわりに「~た」や「~ている」が使われています。その「~た」や「~ている」も、地域に目を向けると違う使い方、違う表現になります。こうした違いが生まれた理由や変化の方向性について明らかにしたいと考えています。さらに、文法研究と日本語教育を組み合わせて、学習者のニーズの多様化にこたえる研究もしています。その一つとして、現在は日本語学習者を対象とした古典文法教育の研究に携わっています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

外国語としての日本語を初めて意識したのは、韓国の釜山で現地の高校生と交流した高校生の頃です。釜山の高校生が日本語で流暢に話す姿を目にして、「これほど流暢な日本語をどのようにして身につけたのか」と驚くとともに、世界の言語の一つとして日本語を客観的に捉えることに興味が湧きました。その後入学した大学では、様々な国からの留学生や地方出身の日本人学生と多くの時間を過ごしました。多様な背景を持つクラスメイトとの交流によって自分自身の母方言への関心が高まるなか、ある言語学雑誌に掲載されていた方言文法に関する特集論文を読み、自分も話し言葉や地域方言の文法を研究したいと思ったことが、今につながっています。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

実は、「文法」は目的に応じて二つに分かれます。一つは、言語現象それ自体の記述を目的とする文法です。私達は生活の様々な場面で日本語を使っており、少し耳を澄ますだけでもおもしろい日本語に出会えます。そうしたおもしろい日本語を分析したり背後にあるメカニズムを明らかにしたりすることは、記述文法の領域です。もう一つは言語を教える際の基準を決めるための文法です。日本語学習者が学ぶ日本語の文法は、日本の学校で教わる国文法とは全く違うものですが、日本語を教えるために一定の基準に基づいて考え出された文法だという点で、両者は共通しています。目の前の現象から文法の仕組みを解き明かす記述研究も楽しいのですが、対象者や目的に応じて教えるべき文法を考える研究もまた楽しいものです。日本語学と日本語教育を専門にすれば、そのどちらも楽しめます。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

未来のことはわかりません。ですが、興味を持って取り組めることがあるなら、どんな未来にもつながっていけるのではないでしょうか。

大学院への進学を考えていた頃、私の関心は日本語教育から方言の文法に移っていました。そのため、やりたいことが研究できる大学院にするのか日本語教育を専門とする大学院にするのかで、長い間決めかねていました。好きなことが研究できる前者を選んだ時は、日本語教師への道が遠のいたことに焦りを募らせることもありましたが、振り返ってみると、そこで取り組んだことは現在の日本語教育の実践にも活かされています。

夢に近づく方法は一つではありませんし、点と点が急につながって一本の線になることもあります。不安を重ねすぎずに、興味に従って動いてみることをお勧めします。

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