平成18年12月の理事会、評議員会で、平成19年度事業計画に係わる予算編成方針及び予算大枠の承認を受けて、平成19年度事業計画の検討を行なった。
策定にあたっては、前年度に引き続き三鷹・八王子両キャンパスの教育・研究の充実及び施設設備の整備を重点事業とした。特に八王子キャンパスの施設を含めた環境整備については、今後このキャンパスの魅力と機能性を高めるための具体的施策を順次実行していくため、「アメニティ検討委員会」を平成18年1月に発足させ、各部会を中心にアメニティ改善に取り組んできた。
本年度も引き続きアメニティ改善を推進する。各部門の諸計画案については、総合大学として「魅力ある大学」、「特色ある学部づくり」の取り組みと、高等教育を取り巻く環境の激変に対応すべき大学教育改革の取り組みを一層推進する事業計画(案)を策定した。
平成18年度は八王子キャンパスを中心に新履修登録システム、教務・学生関係システムの運用開始、教室のIT化などの充実を図った。本年度も引き続き八王子キャンパスを中心にIT環境の更なる充実を図る計画である。また、三鷹キャンパスの医学部に本格的なコンピューター・ルームを設置し、一学年全員の利用を可能にする。
【1】事務部門IT化の更なる推進・改善
平成18年度の新入生を対象とした履修登録等に関する新システムの利用結果を踏まえて、2年生〜4年生の教務・学生関係情報を新システムに移行した。これにより本年度初めから、(1)在校生全員がウェブ上での履修登録を実施する。また、本年度には、(2)上記システムと連動する就職支援システムや、授業支援システム、学生生活支援システム等が導入され、入学時から卒業・就職まで一貫した学生データの管理が可能となり、情報の共有化により、個々の学生に見合ったキメ細かな指導が図れる。更に、(3)前年度検討の結果、結論持越しとなった入学センターに入試システム導入の可否を検討する。
【2】ITリテラシー教育及び授業のIT利用促進
総合政策学部、外国語学部では平成18年度にIT教育が導入され、入学後の一年間で大学生としての学習研究や就職活動に最低必要なITリテラシーをマスターできるようになった。また、授業のIT利用の一環としてCRVシステム(独自システム)を導入し、本年には本格使用が可能となる。同システムでは、授業中に実施するリアル・タイムでのアンケート、学習効果を見る小テスト、簡便な出席管理などを行えるため、更に充実を図る。
【3】キャンパス内無線LANシステムの拡大
E棟校舎の無線LANは平成18年度に導入され、いくつかの授業で使用されている。本年度は図書館、ガーデン丘(第3食堂)に拡大するとともに、検疫システムを導入し、持込PCのセキュリティを向上させネット環境の充実を図る。
【4】図書館におけるオンラインサービスの強化と推進
本年度は、平成18年度に導入した学術情報データベースシステムについて、電子ジャーナルへのナビゲーションを中心に強化・推進する。現状では、契約していなくても利用できる電子ジャーナルへのナビゲーションがとくに不完全であるので、的確にナビゲーションするシステムの改善を検討する。また、システムを改善するだけではなく、リテラシー教育としての講習会も開催し、オンラインサービスの推進を図る。
【1】新外科病棟建設…平成19年5月末完成(継続)
【2】既設病棟の施設設備の改修・整備計画
【3】校舎改修・整備計画
八王子キャンパスの魅力と機能性を高めるため、平成18年1月に「アメニティ検討委員会」及び具体的施策編成としての「9つの部会」を発足させた。
平成18年度は、アメニティ検討委員会において、各部会から提出された短期・長期プランについて、各プラン・ニーズの妥当性と優先順位などを協議し、以下の6項目について改善を図った。
【1】図書館の改修、【2】食堂厨房及びホールの改修、【3】トイレの改修及びパウダールーム設置、【4】コンビニ設置、【5】遊歩道建設、【6】バスターミナル移設及びバスロータリー外灯増設。
本年度は、前年のプランで残されたものとして、【1】図書館の備品整備(入退館ゲートシステム、閲覧椅子の増設など)、【2】八王子宿泊施設の改修、【3】更衣室ロッカー更新・シャワールーム、トイレなどの改修、【4】遊歩道の整備(第二期)、【5】学生バイク駐輪場建設並びに学生バイクの安全走行確保のための山側道路(周辺道路)整備等を行う。
更に、キャンパスの中心にある旧校舎取り壊し跡地が駐車場として利用されている現状に対し、これを学生に憩いの場を提供するべく整備するプランについても新たに部会を発足させ実施に向けて進める。
【1】医学研究科
【2】保健学研究科
【3】国際協力研究科
【1】学術情報データベースシステムの利用環境の向上
利用者が必要とする学術情報を早く、且つ、的確に入手できるようにするため、学術情報データベースシステムの利用環境の向上に努める。
【2】図書館サービス・アメニティの充実化
利用者にとってより使いやすい図書館を目指し、サービスやアメニティの充実化を図る。
学生募集のための広報活動及び入学試験実施の業務について、平成18年度は入試広報戦略会議において大局的な検討をするとともに入試調整委員会において実務的な調整を行った。本年度は外部コンサルタントに助言を求めて入試広報活動を見直し、大局的な検討をコンサルタントを加えた入試広報戦略会議で検討し、実務的な実施体制を入学センターと各学部入試作業委員長及びコンサルタント等を構成員とする入試プロジェクト委員会で行うこととした。本年度の重点項目は以下のとおり。
【1】広報活動
【2】入学試験実施
以下の施策により就職率向上を図る。
【1】社会人基礎力の養成を主眼に、低学年からのキャリア支援をおこない、次の3点を実現する。
【2】ホームページを刷新し、内外への発信の拠点とする。
【3】学部カリキュラムとの融合を図り、就職意識の醸成を目指す。
【4】ジョブカフェによる年間を通した企業研究・会社概要等々の情報提供を進める。
【5】インターンシップにおける積極的な学生派遣を行い、就職意欲を高める。
【6】当センター職員の専門職としての能力向上を目指す。
【1】各学部・研究科からの海外研修等の新規案件を全面的にサポートし、各分野の教育内容に即したプログラムの充実を図る。
【2】八王子宿泊施設の改修の実現が見込まれ、学生の交流だけでなく、研究者の招聘や共同研究などを容易にするための条件が整ってくるので、海外協定校との交流をさらに進める。
【3】別科日本語研修課程の運営の充実を図る。新コースの実現に向けて具体的な作業をすすめる。昨年度創刊された紀要の第二号を刊行する。国外での試験と面接の実施を継続する。
【4】外国人留学生の福利厚生については、アパートの斡旋・トラブルの相談、医療相談、医療施設の紹介、医療費の補助制度の申請、交通事故や生活環境の面でのトラブルなどのサポートを学生課と連携して行う。また、「留学生を励ます会」の主催に加えて、学内での各種活動に留学生が積極的に参加できるように具体的な方途を探る。
【5】学生の留学相談には、随時、情報の提供などで対応し、海外留学する学生については、留学前後を含めて教学面でのサポートをより充実させる。
【6】危機管理体制の強化に努める。海外研修や長期で海外へ留学している学生・教職員に緊急事態が発生した場合を想定し、訓練を実施する。
以下の施策により、学生・教職員の健康の向上を図る。
【1】健康週間イベントと禁煙キャンペーン、禁煙指導の実施に加え、学生定期健康診断後の指導を充実させ、学生の健康に対する意識を高める。
【2】インフルエンザ、感染性胃腸炎、結核などに対する予防と知識の普及を行う。また、新型インフルエンザなど、万一の患者発生に備えた危機管理体制の整備に取り組む。
【3】自動体外式除細動器(AED)設置について学内で周知するとともに、教職員・学生に対し、AEDの使用法ならびに基本的な救急処置のさらなる普及を図る。
【4】開設3年目となる学生相談室を多くの学生・教職員に周知し、学生のメンタルヘルスの向上に資する。
平成17年7月に 【1】情報システム推進室 【2】情報教育推進室 【3】中央コンピューター室の3部門を統括し、学園(付属病院を除く。)における情報化を総合的に推進して教育研究、学生サービスの向上及び事務の効率化を図る目的で発足した。平成18年度は八王子キャンパスを中心に新履修登録システム、教務・学生関係システムの運用開始、教室のIT化を図った。本年度は引き続き、八王子キャンパスに加え、三鷹キャンパスの医学部においても"IT環境の充実"を図る。その事業構想は、平成19年度事業計画の「重点事業」として記載。
新外科病棟は平成19年8月より運用開始予定。新外科病棟へ移転した跡地を利用しての病院機能の充実を図る。あわせて、入退院センターを開設する。研修医・レジデント・新入職看護師教育の充実を図る。具体的には、
【1】新外科病棟:地下1階(厨房)、1階(ICU)、2階〜7階(外科系各科)、8階(個室)で稼動病床数は304床。ICU活用による安全で高度な術後管理、及び入退院センター機能に支えられた病床有効利用。厨房には患者満足、食品衛生、効率化を目的としたクックチルシステムを導入する。
【2】入退院センター:円滑な病床運営のための入院支援業務を新外科病棟運用開始までに稼働。
【3】外来診療スペースを再編成し、機能的外来診療の整備を図る。
【4】総合診療科の廃止と、感染症科の設置。健康医学センターの充実。総合ふりわけ外来を設置する。
【5】三鷹市・武蔵野市医療機関との医療連携シンポジュウムの開催。地域連携パスの推進。紹介元医療機関への報告の充実、徹底を図る。
【6】安全な医療の実施を行う日常的風土の構築と安全教育の推進。安全管理室に院内感染防止担当の副室長(感染症科科長が担当)を置き、院内感染制御の充実を図る。
【7】研修医・レジデントに対する教育プログラムの充実を図る。また、研修医・レジデント募集を推進する。
【8】クリニカルパス運用向上と質的改善を目指す。
【9】薬剤・材料購入費、業務委託費の削減を図る。
【1】18歳人口が減少する中で前年度以上の受験生を獲得のために、進学説明会、高校訪問、学校見学の受入等を積極的に行う。また、医療看護系予備校及び業者が主催する進学相談会に参加し、受験生の獲得を目指す。
【2】実践看護師を育てるために必要な看護の知識・技術を修得する教育設備の充実を図る。具体的には、2グループでの授業使用と学生の演習、訓練、自習が行える実習室の増設(拡張)とIT化に伴う情報処理の演習、訓練が行える環境整備を行う。
【3】看護師国家試験全員合格を目指しての国試対策の充実、学士入学者の既修得単位認定制度の整備、就職指導の強化を図る。
【4】社会の要請に応えられるように、カリキュラム・教育内容等の見直しを引続き行う。
法人本部は、大学、病院の各部署の改革を事務部門としてより効率的にサポート出来る体制を目指し、以下の施策に取り組みます。
【1】事務組織の改革
【2】本部基幹システム(人事管理システム、財務システム)の刷新
【3】事務職・技術職・技能職員への目標管理制度の導入
平成18年度に事務職・技術職・技能職員の管理職を対象に導入した「目標管理制度」を、監督職・一般職まで導入する。
【4】保健学部学科改組に伴う寄附行為の変更
本年度から保健学部に保健学科を基礎として新たに救急救命学科を加え、保健学科の学科名称を健康福祉学科に名称変更を行った。学科改組(平成19年4月1日付)については、すでに理事会及び評議員会の手続き等を経て寄附行為の改正を行っていることから、文部科学省に寄附行為変更の届出を行う予定。
【5】教育・研究活動等の第三者評価機関の受審
学部及び大学院等の教育・研究活動について、自己点検・評価し、平成20年1月以降に外部の認証評価機関に申請書類を提出し、審査を受ける予定。
以 上
経理課長 難波 明
予算編成の基本方針に沿って平成19年度の編成を進めた結果は、以下のとおりである。
学納金収入、補助金収入は、平成18年度決算見込みとの対比では僅かであるが伸びを見込んだ。寄付金収入は、新外科病棟建築募金期間が6月で終了することもあり、減収を見込んだ。医療収入は、本年8月にオープンする新外科病棟及び昨年稼動した中央病棟(平成18年6月)などで、手術件数・入院患者数の増加及び既設病棟の運用の見直し改善などにより、平成18年度決算見込み対比で4.7%、11.4億の伸びを見込んでいる。
【1】重点事業については、本年度も引き続き三鷹・八王子の両キャンパスの教育・研究の充実及び施設設備の整備に重点を置いて策定した。
1)IT環境の整備費(継続) 1億8,800万円
2)主な施設設備の整備・改修費・新外科病棟建設費 31億5,000万円(総建設費67億円)
3)八王子キャンパスのアメニティ向上(アメニティ検討委員会) 1億円
【2】その他の予算については、特に次の項目を考慮した。
この結果、平成19年度予算は重点事業として教育・研究の充実、新外科病棟建設費31.5億及びその他施設設備の整備・改修費、アメニティ向上事業費などの支出を組み込んだことで、学園全体の資金面は13.1億の繰越資金が減少、帰属収支差額で3.9億の支出超過、消費収支差額では29.4億の支出超過となり、累積消費支出超過額は510.3億となる厳しい予算となった。
予算執行に当たりましては、期中において引き続き収支改善に全力を尽くすとともに、本年度から導入する『新財務会計システム』の活用によりまして、適正な予算執行が行われるよう管理面の強化を行う所存です。