大学の経営基盤にも係わるわが国の18歳人口は、平成21年以降10年間ほどは120万人前後で安定的に推移する見込みであるが、一方で平成21年度以降に学生募集を停止した大学は11校を数えている。また、平成21年5月の学校基本調査の結果によれば、平成21年度で定員割れとなった私立大学は全体の46.5%に達し、帰属収支ベースで20年度に赤字決算を計上した私立大学は39%にも上っている。今後は入学希望者の多く集まる大学と、定員割れが進む大学の2極化が更に進み、多くの大学が淘汰されるであろうとも言われている。生き残るための大学改革は待ったなしの状況にあることは全く変わりない。
こうした大学淘汰の時代における大学のあり方について、中央教育審議会は平成21年に1次と2次の「中長期的な大学教育の在り方に関する報告」を出し、大学教育の質保証システムの構築が不可欠として大学教育の改革を進めるよう提言している。
一方、大学の公的評価を行う大学基準協会でも各大学の自主・自立の立場を尊重し、平成23年度以降の第2期の認証評価では、内部の質保証システムの確立、すなわち自己点検・評価をPDCAサイクルで回し、大学自らの意思で教育の質を高めるための改革・改善を進めることを促す評価方法を導入するとしている。
このような状況の中、杏林大学では平成17年の「中長期改革検討委員会」に続いて、平成21年4月には第2次の「中期計画検討委員会」をスタートさせた。委員会は平成20年12月に出された中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」の中で「大学に期待される取り組み」として示されている課題を念頭に、杏林大学の目指すべき方向を定め、向こう3年間に行うべき中期計画の提言をまとめ、3月の理事会で報告する運びとなっている。
提言は理事会の承認を得た上で、具体的に取り組むべき事項は平成22年度に入ってから決定されることになるが、提言の大きな柱の1つとして「教育の質の向上を図る」が盛り込まれていることから平成22年度事業計画でも、この「教育の質の向上を図る」取り組みを柱の1つとして位置づけた。
さらに、この平成22年度の事業計画では、平成20年に実施された大学認証評価及び病院機能評価で指摘された改善事項に関しての具体的な取り組みも盛り込んだ。
一方、平成21年度の学園の財務状況は2月現在の見通しで学納金収入、医療収入とも前年を上回る事が予想され、最終的に大幅な経常黒字が確保できる見通しとなった。その原動力となったのは、なんと言っても医療収入が大幅に伸びたことであるが、医学部の入学定員増と八王子キャンパスから三鷹キャンパスに移転した保健学部看護学科の定員増なども寄与した。
平成22年度は、保健学部理学療法学科の学年進行2年目となるほか、医学部定員増が1年次と2年次に及ぶのに加えて医学部の入学定員に新しく地域枠が設けられたことにより定員がさらに6名増えたことで学納金が増収となることが見込まれる。さらに病院の診療報酬が平成22年4月に2年に一度の改定が行われ、引き上げられる見通しとなっている。
こうした財政状況を基盤に、平成22年度の重点施策として、(1)教育の質の向上を図る、(2)付属病院の高度で質の高い安全な医療の提供、(3)環境保全対策の推進を3本柱として以下の諸項目を盛り込んだ。
このうち「教育の質の向上を図る」においては、1)教育の質を向上させるための諸施策の実施と質を今後も保証していくためのPDCAサイクルの推進、2)総合大学として生き残るための諸改革の推進、3)医学部の定員増に伴う施設の整備、などを中心に進める。
「付属病院の高度で質の高い安全な医療の提供への取り組み」では、1)地域社会の医療需要に応える為に地区医療機関、医師会との連携を強固にする。2)優秀な人材の確保と育成に力を入れ、医療安全の土壌を確かなものとする。3)産科を含め救急医療体制・がん診療連携拠点など病院機能の充実を図り、診療内容、安全管理に関する情報を積極的に公開し、透明性の高い開けた病院を目指す。4)以上を可能にするために、第3病棟の建て替え及び医師の処遇改善等に着手し、医療環境の整備を進める。
「環境保全対策の推進」では、平成22年度が東京都のCO2の総量削減義務制度の初年度に当り、新しい基準排出量を決定するための諸手続きを行うほか、照明設備や機器を切り換えることなどによって、経済産業省及び東京都から示されているエネルギー使用料及びCO2の削減目標を達成する。また、発展途上国にワクチンを送るためのエコキャップ(ペットボトルふた)回収運動なども全学的に進める。
以上が学園として推進する平成22年度重点事業の概要である。詳細については各部門の事業計画に記載する。
平成22年度は、教育の質の向上が基本的方針となる。実施すべき計画の第1は、学部および大学院における教育の質の向上を図ることであり、その第2は、大学としての研究力強化を推進すること、第3は、教育・研究計画の実行を保証するためのPDCAサイクルを循環させることである。
今大学が社会から要請されている21世紀の社会を支える多様な人材を育成するためには、本学の教育目標及び教育方針を学内外に広く浸透させ、この理念に即した大学のあり方を常に追求していくことによって教育の質向上を図ることが欠かせない。そのためには教員の教育能力の向上をさらに図るとともに、学生の多様なニーズに具体的に応じる学生支援体制を強化して行くことが引き続き重要な柱として位置づけられることとなる。
研究力の強化は、質の高い大学として社会から認めてもらうために教育力を高めることとともに推進していかなければならない。具体的には、職務発明などの支援、競争的資金の獲得などによって有用な研究企画を具体的に展開していくことが含まれる。
これらの教育と研究に係る計画を計画倒れに終わらせることなく、十分に実行していくためにはPDCAサイクルの推進が必要不可欠となる。
この基本方針に基づいて、教育事業、研究事業、PDCAサイクル推進の3事業の平成22年度事業計画を以下のように定めた。
平成22年度は外国語学部に観光交流文化学科を、大学院保健学研究科に博士後期課程「看護学専攻」をそれぞれ開設したことに伴う社会への周知活動を展開する。また総合大学としての生き残りを図るために外国語学部の観光交流文化学科独立後の「応用コミュニケーション学科」及び入学志願者数減少傾向にある「中国語・日本語学科」の今後のあり方並びに高齢者人口の増加でリハビリテーションの社会的需要は高まることが見込まれるため、認知症に強い作業療法士の育成も考慮した学科の新設を検討することは喫緊の課題である。更には医学部の入学定員が111名に増員となったことに伴って三鷹キャンパスの教育施設・設備とアメニティの整備を諸事項を検討しながら進める必要がある。学士課程教育ならびに大学院教育に関しては、「中長期的な大学教育の在り方について」に関する中央教育審議会大学分科会の審議事項などを踏まえて、社会や学生からの多様なニーズに対応する教育内容や体制整備を図ってゆくことが求められる。
本学が質の高い研究レベルを達成するためには、研究環境の整備を行うとともに、昨年発足した公的資金企画管理課を中心に研究に従事する本学教職員の能力向上ならびに教職員間の連携を深めることが重要である。さらに講座間、学部間における共同研究を推進することにより、研究活動の活性化を図る必要がある。
具体的には、文部科学省科学研究費をはじめとする公的研究助成金や、民間企業・各種財団などからの外部資金の採択数を高めるための取組を進める他、職務発明等を推進するための支援を進める。さらには他大学との交流や連携を深め、八王子キャンパス各学部が参画している文部科学省「戦略的大学連携支援事業」の連携大学としての促進を図る。また、研究交流は 国内のみならず海外の大学・研究所との連携を深め、国際色豊かな研究を推進する。
本学がこの先目指す教育・研究にかかる計画を確実に実行して行くためには、実行計画の立案(PLAN)、実施(DO)、実施した結果の検証・評価(CHECK)、更なる改善(ACTION)のサイクルを展開して行く仕組みを確立し、充分に機能させていかなければならない。
1 医学部
(1)教育の充実
中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」に留意しつつ、臨床教育における統合カリキュラムの再編・整備や臨床実習の充実に取り組む。また今年度より、卒後、東京都及び茨城県の地域医療に従事する学生を受け入れることから、当該学生を中心とした地域医療に関する教育体制の確立を図る。その他、客観的な学習達成度評価の仕組みを整備する。
(2)教育・研究の推進
教育活動の推進を図るべく、FDとともに、教務事務部門に対するSDを積極的に企画する。研究活動の推進については、外部研究資金獲得の促進を目標とし、関連事務部門(公的資金企画管理課)の協力のもと、申請支援体制を強化する。また、医学部内部の競争的研究資金の充実(海外留学補助など使用目的の拡大など)を図る。
(3)教育・研究環境の改善・充実
平成21年度および22年度で入学定員が計21名増となることから、教育水準・教育環境維持の観点より、講義室、実習室、教育機器等を含む教育施設・設備の改善・充実を図る。研究環境の改善については、大学院医学研究科の共同利用研究施設の充実を図りつつ、医学部との共同利用を促進する。
(4)学生確保の対策
当医学部の教育理念に適合した入学者確保の観点から、入学試験のあり方についての検討を行う。本年度より開始された地域医療枠入学者制度(東京都、茨城県)については、さらに広く周知を図ることとする。
(5)学生サービス向上対策
医学部講義棟及び松田記念館における衛生設備等の改修を実施し、学生生活便益の向上を図る。また、卒業試験及び医師国家試験を控えた6年生に対して、良好な学習環境を提供する。
2 保健学部
(1)教育の充実
各学科において少人数教育を実施するため、専門科目以外においても100名以上で行われている講義科目を2クラスに分けるなど工夫をこらして、各学科の特徴をいかす少人数教育を推し進めたい。
(2)教育・研究の推進
教育に関しては判りやすい授業を推し進めるために、FDを中心とした活動を継続する。研究に関しては保健学部研究奨励賞を中心とした補助と、大学院生をも含んだ科学研究費の獲得に重点をおく。
(3)教育・研究環境の改善・充実
少人数教育を行うためには教室の確保が重要であるが、場合によっては八王子キャンパス全体で教室使用の調整も必要とされる。また研究においては使用頻度の低い研究室の統廃合を行いたい。
(4)学生確保の対策
毎年行われている高校訪問であるが、今年度は高校訪問の人数を増やして、3年生を対象とするだけでなく、将来の受験生である2年生、1年生にも本学を理解してもらえるように行いたい。
(5)学生サービス向上対策
学生支援センターを中心として行っている学生支援を、本学部においても積極的に実行に移したい。
3 総合政策学部
(1)教育の充実
平成22年度開始の改正カリキュラムの着実な執行と点検、基礎教養アドバンストコース(2年次)での専門教員導入と各種検定の実施検討、シラバスの改良や成績評価の検討による学習指針の明確化、公務員試験合格・資格取得推進のための指導体制の強化などにより、学部理念の一層の具体化を図る。
(2)教育・研究の推進
科学研究費、GP、公的研究助成金などを含む外部研究資金の獲得のために努力する。研究会の定期開催・『杏林社会科学研究』の年4回刊行、学会活動の積極化を図るとともに、学内共同研究の可能性を検討する。また、海外大学・研究所との連携について検討し、国際交流を推進する。
(3)教育・研究環境の改善・充実
F棟の空調設備の改善、教室へのAV・音響機器導入について、関係部署と協議・検討する。スタッフルームへのカラー印刷機導入実現にむけて努力する。ホームページの更新作業を随時実施する。若手教員の増員により、効果的教育のための基盤整備を推進する。
(4)学生確保の対策
平成20年度入試より順調に受験生・入学者ともに増加させている。本年度はカリキュラムの整備・改革の効果をアピールすることが肝要である。OCや高校訪問で推薦入試の志願者を増加させるとともに、HPなどに効果的に学部情報を提供するなどの広報活動に取り組んでいく。
(5)学生サービス向上対策
学生支援を初年次教育の一環として位置づけ、新入生の大学生活への自然な移行を支援するためオリエンテーションの改善を行うほか、教務委、学生委、およびプレゼミ担当者が緊密に連携しクラス担任制の充実を図り、低学年次の中退者削減に努力するとともに、在学生に対しては他部署との連携のもと社会人基礎力の育成に努める。
4 外国語学部
(1)教育の充実
ディプロマポリシー・カリキュラムポリシーを達成するために現在のカリキュラム、教育内容および教育方法の改善を図る。特に、初年次教育の充実と社会人力の養成、外国語運用能力における学習成果の設定とその達成、知識基盤のグローバル化に対応した教育を図る。また英語学科「インテンシブプログラム」の本格導入に向けての準備を行う。
(2)教育・研究の推進
FD活動の推進、学生授業評価結果に基づく授業改善、教員評価制度本格導入、学部内研究会「アカデミア」の開催、科学研究費やGPなどの外部資金獲得への積極的な取組等を通して教育・研究を推進する。
(3)教育・研究環境の改善・充実
同時通訳演習室(LL教室)の整備、各教室のパソコン・AV機器のリプレイスメントを実施すると同時に、ランゲッジ・カフェ(仮称:学生がいつでも自由に外国語を使える場)を設置する。
(4)学生確保の対策
受験生確保のための戦略的な広報活動を入学センターと連携して行う。同時に、高校訪問・出張講義・論文翻訳コンテスト・HP改善などの学部独自の各種事業を実施する。また、学部独自の外国語教育プログラム(PEP、CIC)のブランド化を図る。学科再編も視野に入れ、社会や学生のニーズに対応した魅力的な教育内容を検討する。
(5)学生サービス向上対策
学生支援センター、キャリアサポートセンター、国際交流センターなどのセンターと学部内の関係委員会(教務・学生・就職・国際交流)との連携を密にすることで学生支援・サービス体制の強化を図ると同時に、クラス担任による学生相談体制を強化し、特に退学予備軍の早期発見と減少を図る。
1 医学研究科
(1)教育の充実
当研究科の教育・研究指導の強化および実質化を目的として、今年度よりカリキュラムの改正が行われたことから、その円滑な導入および実施のため、教務委員会を中心に学生および関連指導教員への支援を行う。また、平成21年度に導入された「論文審査基準」を含む新たな論文審査制度について、引き続きその円滑な実施を推進する。
(2)教育・研究の推進
教育・研究活動の推進を目標として、基礎臨床講義のあり方、魅力あるコースの設定の可能性、国内外の教育・研究機関等との恒常的な交流等に関する検討を、教務委員会を中心に継続して行う。また、研究活動の活性化に関わる外部研究資金獲得の促進を目標とし、関連事務部門(公的資金企画管理課)の協力のもと、申請支援体制を強化する。
(3)教育・研究環境の改善・充実
教育・研究環境の改善については、大学院医学研究科の共同利用研究施設の機能強化を図るべく、利用者の便宜を図るための支援活動に取り組む。さらに、各教室で保有する実験設備・機器や実験技術の相互利用を促進するための方策を検討し、可能なものから実施する。
(4)学生確保の対策
外部からの(社会人)入学生の確保を目的として、都内を中心とした初期臨床研修実施施設や病院等へ募集要項の送付を行う。さらに、入学に関連したWEB上での検索で優位性を保つための対策を医学研究科ホームページ委員会を中心に行う。
(5)学生サービス向上対策
学生サービスの一環として、昨年度より、入学や学位審査関連の要項、様式等を学内専用サイト(あんずNET)からダウンロード可能な仕組みが作られたが、本年度はさらにこの内容の充実・整備を図る。また、学生支援の目的で、ティーチング・アシスタント(TA)やリサーチ・アシスタント(RA)制度の活用を推進する。
2 保健学研究科
(1)教育の充実
看護学専攻博士前期課程が「がん看護」の専門看護師教育課程として承認を受けたことに加え、今年度から同専攻に博士後期課程を設置し研究教育を開始する。また現在の教育研究体制が昨今の急激な保健・医療の進歩に的確に対応できているか検証し、改善の必要性を探る。
(2)教育・研究の推進
学部と共同して、積極的に学内共同研究等の推進を図り、外部資金の採択数向上を目指す。
看護学専攻に関しては、「がん看護」の専門看護師教育課程の実施計画、および博士後期課程の教育研究実施計画を着実に実行していく。
(3)教育・研究環境の改善・充実
学部とともに、八王子と三鷹キャンパス間の教員及び学生の緊密な連携を図るため、多彩なメディアを利用しての教育研究環境を整えていく。
(4)学生確保の対策
[1]看護学専攻に博士後期課程を設置し学生募集を開始したこと、および同専攻博士前期課程が「がん看護」の専門看護師教育課程として認定を受けたことを、積極的に広報していく。
[2]保健学研究科のホームページの充実を図る。
(5)学生サービス向上対策
キャンパスが八王子と三鷹に分かれているという特徴をいかし、両キャンパスを有効に活用し学修の便宜を図る。また社会人学生に対する特別措置としての夜間開講、土曜日開講をより積極的に推進する。
3 国際協力研究科
(1)教育の充実
平成23年度実施に向けてカリキュラム改正を予定しており、今日的なニーズに基づいて、不要科目の整理や、必要にもかかわらず長期休講となっている科目の担当者確保など、教育の充実を目指した適正なカリキュラムの再構築につとめる。国際言語コミュニケーション専攻では、日−中−英3ヶ国語に堪能な人材の育成をめざす。
(2)教育・研究の推進
海外の大学との協定による共同研究や学術交流を進めるとともに、すでに実績として評価されている国際協力講演会を継続する。また、国際文化交流専攻では、教育・研究の進捗状況を発表し合うシンポジウムを、各セメスターに1回ずつ開催する。
(3)教育・研究環境の改善・充実
院生の自習スペースや研究拠点となる部屋(研究室)の確保と、必要な設備(パソコンなど)の設置を検討する。倫理委員会の設置と、学生の海外研修制度の組織化に向けて準備を進める。また、学生の海外研修制度の組織化について検討を行う。GP採択や教育基盤整備補助金の獲得に向けた準備を進める。
(4)学生確保の対策
広報委員会と連携して、効果的な広報活動を展開する。また、充実した教育・研究指導を行い、在学生や修了者による広報効果を高める。特に日本人学生・社会人・定年退職者を対象とする雑誌・新聞等で、広報活動を展開するとともに、HPでの広報活動もいっそうの工夫を行う。
(5)学生サービス向上対策
日本人学生の就職活動はもとより、特に日本で就職する希望をもつ留学生の就職活動のより効果的な支援の実現を、キャリアサポートセンターに働きかける。教員間の負担の平均化を促進し、効果的な学生教育・研究指導態勢を整える。
(1)学生募集プロジェクトを成功させ、一定の受験生を確保する
(2)受験生満足度を向上させ、合格者を入学に繋げていく
(3)業務の効率化を目指し、創意工夫と協力体制を強化していく
(1)基本方針
就職活動支援を単なる就職斡旋業務として行うのではなく、キャリア形成の視点から在学生の人格的成長をサポートする体制を敷き、結果として就職率向上に寄与する。
また就職環境悪化に対応すべく支援事業を強化すると共に、卒業生への支援活動にも力を注ぎ、杏林大学ブランドへの誇りと一体感を醸成していく。
(2)事業目標
[1]就職荒天対策の実行
3・4年生を対象とした個別相談、面接対策、企業説明会などの就職支援事業を強化すること、就職活動の学生及びゼミ担当教員との三位一体となった活動により就職率の向上を図る。
[2]1・2年生への支援強化
社会が求める人材を育成していくためには、初年次からの就業意識の醸成が欠かせない。また「社会人基礎力」の向上を意図した支援プログラムを展開していくことで、個々の学生が卒業後の進路を見据えたキャリアデザインが描けるように指導していく。
[3]各学部との連携によりキャリア教育やインターンシップ授業に協力する。
キャリア教育系関係の授業に関して教員との協働を図り、教育の質向上に寄与する。
[4]地域企業との連携強化を図り企業と学生をつなぐ個別紹介型の就職支援システムの導入にチャレンジする。
地域企業によるキャリア形成支援、就職活動支援事業への拡充と共に八王子周辺地域への就職実績を高める新たな方策に取組む。 [5]卒業生の就職相談に対する求人紹介や個別相談の充実を図る。
キャリア形成上の悩み相談や再就職支援事業を通して杏林大学との絆を深める。
(1)基本方針
これまで構築してきたシステムの維持、発展を基本方針とする。メイン・フレームの廃止に伴って情報のインプットが各部署に任されることになった。現状は大きな支障を来してはいないが、ハード、ソフト両面でのさらなる円滑化を図ることとする。学生サービスの向上に努める。
(2)主な事業目標
[1]三鷹・八王子間の接続スピードの確保
時間によってスピードが極端に遅くなる。これを解決するためには現在10MBの基幹線を100MBに拡充する。これには費用負担の増加はない見込みである。またキャンパス内のルーターを順次交換する必要もある。
[2]事務系の古くなって作業効率を低下させているPCの交換
依然としてOSにMEを使っているものもあり、耐用年数をはるかに超えている。PCが格段に安価になっていることから、古いものから順次交換する必要がある。
[3]職員のスキル向上
“GAKUEN”の導入などで、職員のスキル向上が求められている。随時講習会などを行い、さらなるスキルの向上に努める。
[4]無線LAN構築に向けての実態調査
PCが安価、軽量になるにつれて学生の持ち込みPC増加が見込まれるため、学生サービスの一環として無線LAN構築の計画を実施する。現在はE棟、図書館、ガーデン丘の一部で利用可能だが、周知するとともに実態調査から開始する。
(1)基本方針
本学の各部署が計画する国際交流事業について事務的な業務をおこない、国際交流事業の円滑な進行をはかる。
(2)主な事業目標
[1]本学学生を対象とした海外留学・研修の企画および実施について、学内各部署と主催旅行会社間の調整をはかる。
[2]留学生のビザ申請、奨学金等に関して必要な諸手続きのサポートにあたり、留学生の本学における学習・生活を支援する。
[3]海外協定校との研究・教育交流について必要とされる業務を遂行する。
[4]その他、杏林学園の国際交流について必要な業務をおこなう。
(1)基本方針
三鷹保健センターは三鷹キャンパスにおける学生及び教職員の健康の保持増進を図ることを目的として活動する。健康診断、予防接種、感染症抗体検査及び保健に関する知識の普及・啓発等を行っていく。
(2)主な事業目標
[1]保健管理に関する実施計画の企画立案をし、関係各所と連絡・調整の上、円滑な実施を目指す。
[2]インフルエンザ等の感染症や各種疾病に対する情報管理・予防措置及び知識の普及を行う。
[3]八王子保健センター及び三鷹・八王子の安全衛生委員会と連携し、教職員のメンタルヘルス向上を目的とした講習会を実施する。[4]保健センターに看護師を配置することで、これまで大きかった医師への負担軽減を図る。また、将来的には保健室の機能を有した部屋の設立を目指す。
(1)基本方針
八王子保健センターは、八王子キャンパスにおける学生及び教職員の健康の保持増進を図ることを目的として活動する。各種健康診断、予防接種、感染症抗体検査、健康相談、軽度の外傷及び疾病に対する応急処置、環境衛生管理などに加え、健康に関する知識の普及、講習、啓発活動、保健指導などを行っていく。
(2)主な事業目標
以下の施策により、学生・教職員の健康の向上を図る。
[1]学生・教職員の健康に対する取り組みを援助するために、定期健康診断受診率の更なる向上を図ると共に、健康診断実施後の指導をさらに充実させる。
[2]インフルエンザ、感染性胃腸炎、結核などの感染症や、各種疾病に対する予防と知識の普及を行う。また、新興の感染症など、万一の患者発生に備えた危機管理体制の整備を進める。
[3]健康週間イベント、禁煙キャンペーン・禁煙指導、AEDの使用法ならびに基本的な救急処置についての講習、等による学生・教職員への働きかけを継続して実施する。
[4]学生相談室をより多くの学生・教職員に周知し、学生相談室と連携した取り組みにより、学生のメンタルヘルスの向上に資するとともに教職員のメンタルヘルスの向上を図る。とくに、三鷹保健センターとの協力のもとに、教職員に対するメンタルヘルスに関する講習を新たに計画する。
[5]情報の発信には、ポスター掲示やホームページなどに加え、ユニバーサルパスポート、CRVシステムといった媒体も活用していくとともに、人と人の直接的な関わりも大事にしていく。
[6]一連の活動については、学生支援センター、三鷹保健センターを始めとする学内各部署と密に連携して取り組みを進める。
(1)基本方針
学士課程教育の質保証を求める中教審答申を受け、大学にはその教育目標を達成するための学生支援体制の充実が一層厳しく問われることになった。
平成21年度に設置された学生支援センターは、2年目となる平成22年度には各学部・各部署との連携を維持しながら、ハード面のキャンパス施設整備とソフト面の学生支援体制整備を実施していく。
(2)主な事業目標
[1]キャンパスの施設整備
八王子統合図書館棟(仮称)の早期着工をめざすとともに、その他の修理改修等の施設整備項目の中から順次整備を実施し、とくに安全の確保と課外活動をも含めた学生の教育環境の充実を図る。
[2]学生相談体制の整備
学生からの相談や問い合わせに対しての「どこでも対応」を推進していくために、各窓口に各学部教員のリストを備えるネットワークづくり、教職員対象の学生相談のための研修会を実施する。
[3]学習支援室の設置
当面は空き教室等を利用し、一部科目での補習授業をスタートさせて学習面のフォローを開始する。また、図書館でのアカデミック・アドバイザー設置、3学部共通の「教養講座」開講の体制を整備する。
[4]学生の課外活動の質の向上のための整備
公認クラブ・同好会について、ガイドラインを整備し課外活動の質の向上をめざす。学生の学内外でのボランティア活動についての情報の共有と集積を行う。学生からの企画提案による各種イベントの実施支援をする。
[5]ピアサポートシステムの構築
既存の各学部・各部署での学生スタッフによる諸活動をつなぎ、これにオリエンテーションスタッフや図書館サポーターを加えることによって年間を通した杏林ピアサポートシステムを構築する。
(1)基本方針
<自ら学び、探求する力を育む図書館情報サービスの展開>
[1]学術情報資源の充実
[2]利用者サービスの向上
[3]図書館利用環境の改善
(2)主な事業目標
[1]社会貢献、地域・社会との連携
医学図書館では、三鷹市立図書館との相互協力を継続・促進するとともに、医学部付属病院「がん相談支援室」と協力し患者さんへの医療情報提供を推進する。八王子2館については、平成21年度から利用登録料金を改定し、八王子の他大学の平均利用登録料の金額としたが、地域開放をより促進するため、近隣市町村住民への利用の周知を図る。
[2]ポータルサイトシステムの周知徹底
利用者に、図書館ポータルサイトMy Libraryを経由すれば、より効率的に図書館サービスにアクセスできることの周知徹底を図る。
[3]施設・設備等の整備
資料購入についての予算を確保し、資料の収集に努める。3館とも平成21年度以上の冊数の整備を目標とする。
[4]学習・教育・研究支援
3館とも学生・教員の学習・教育・研究支援のために各種学術データベースの利用講習会を開催している。医学部・保健学部の全学生は卒業までに少なくとも一度は受講するようになっており、また教員・院生向けにもより高度な利用講習会を開催し、好評を博している。
総合政策学部・外国語学部では、現在は希望のあるゼミ単位で講習を開催しており、対象ゼミを増やすべく努力している。平成22年度も継続する。
[5]資料の保存スペースの節約と両キャンパス間の相互利用の推進
学内便を活用し、両キャンパス間での資料の共同保存・相互利用を促進する。特に大量の保存スペースを必要とする雑誌については、電子ジャーナルの導入を促進するとともに、3館での重複を避けた蔵書構築を推進する。
(1)基本方針
(2)活動内容
[1]目標1に基づく事業
[2]目標2に基づく実施
[3]目標3に基づく事業
大学病院として求められている高度で質の高い安全な医療の提供を可能にするべく体制の強化を図る。
先ず地域社会の医療需要に応える為に地区医療機関、医師会との連携を強固なものにする。特に災害時の対応、新興感染症などの問題には社会貢献すべく積極的に対応したい。このためには優秀な人材の確保と育成に力を入れ、医療安全の土壌を確かなものとする。産科を含め救急医療体制とがん診療連携拠点など病院機能の充実を図り治療成績を含め診療内容、安全管理に関する情報を積極的に公開し、透明性の高い開けた病院を目指す。また、これから医療に対する需要をふまえ病院環境の整備をはかる。
安全最良の透析療法を提供するとともに、センター施設として学術・教育・啓発活動の充実を図る。2クール体制を開始し、患者増と収益改善に努める。
安全で正確な内視鏡検査を基本として、検査の流れの効率化と検査枠の増設、全検査件数の前年度比5.0%増加(年間10,000件)を目標とする。
新たに整備される検体検査室、生理検査室及び検査システムの効率的運用体制の確立
支出削減と機器の管理
18歳人口の減少に加え看護系大学の新設が相次ぎ看護専門学校の受験生は減少傾向にあり、本校を取り巻く環境は厳しさを増している。更に近年学生の基礎学力及び基本的な生活能力の未習得等、入学時点での看護師としての基本的な資質・能力の低下がみられ、平成21年度入学生から保健師助産師看護師学校養成所指定規則、カリキュラムが一部改正された。平成22年度は新カリキュラムの2年目の運用年で、実習等科目履修方法の変更、新設科目の開講など変更の多い年度である。3年生は旧カリキュラムでの運用となる。それぞれの学年において、きめ細やかな履修指導をし、実践力の伴った看護師の育成をしていかねばならない。これらを踏まえ、平成22年度の事業計画は下記の通りとした。
[1]学内教育(担任、担当領域)と臨地実習指導体制の強化(臨地実習指導教員・付属病院との連携強化)
[2]教育設備・アメニティの改善
看護演習用教材の充実、教室の視聴覚機器の更新、アメニティの整備
[1]新・旧カリキュラムの実施に伴う各学年へのきめ細やかなガイダンス、履修指導
[2]教育内容・教育方法の充実に向けた授業改善
看護師教育の基本的な考え方、学生授業評価結果に基づく教育内容・方法の改善や各科目間の調整
[3]実習施設との緊密な連携強化、外部委託実習施設の開拓・綿密な連携
[1]進学説明会、高校訪問、学校見学の積極的な受入れ、医療看護系予備校・業者の入試関連情報の活用、ホームページ等広報媒体の充実
[2]適正定員・入試制度の継続検討・改善
将来展望に基づく適正定員の検討、入試形態別の入学後の学生動向の把握、学士入学枠の設定・各入試の定員についての継続検討
大学改革を進めることが生き残りの為の絶対必要条件であるとの認識にもとづき、本学でも全学をあげてその為の中期の計画を議論している。中期計画が承認された後、単なる計画に終わらせない為には事務部門はそれら個々の計画に関して事務局として関与するだけでなく教員と協働して取り組まなければならない。教育カリキュラム編成等、教育の質保証のために数多くある取り組みに大学事務部門だけでなく事務部門の総力を挙げてこれらの計画が確実に実行され成果を上げるための支援を積極的に行っていく。
大学の事業計画の基盤となる財務については、計画的な事業運営により、より健全化を進める。また、人材についても、優秀な人材の確保・育成を進めるほかモチベーションをあげる人事制度の構築をさらに推進していく。
また、東京都の「CO2総量削減義務と排出量取引」制度が、平成22年度から始まるのにあたって、新しい基準排出量の決定を受け、本学の削減計画書を作成し、平成22年度から5年間に8%の削減を目指す取り組みを進めていく。
(1)中期計画PDCAサイクル推進事務局として進捗の検証
(2)各部門の中期計画、事業計画を具体的に落とし込んだ施策の実行支援
帰属収支比率をプラスとする全学を挙げての目標は、平成21年度決算の見通しから3期連続達成の目処がたったが、学園の安定した財政基盤とバランスのとれた財政状態を目指し、更に次の点を課題とし達成を目指す。
(1)帰属収支比率を恒常的にプラスにする。
(2)消費収支比率(マイナスからの脱却)、累積消費支出超過額(帰属収入比率で100%以下)を早期に改善する。
(1)省エネルギー対策及び地球温暖化対策の推進として、エネルギー使用量は1%、CO2は2%の削減を目標とする。具体的には、照明設備及び吸収式冷凍機からターボ式冷凍機に更新する計画である。温室ガス排出量削減によるCO2の2%の削減は、実質エネルギー使用量は2%以上の削減可能な数値でもある。
(2)エコキャップ(ペットボトルのふた)回収運動を進めることは、途上国の感染症被害を救う社会福祉に寄与するだけでなく、ごみとして燃やされた場合はCO2が発生するため、温暖化の原因を防ぐ意味からも全学を挙げて取り組みを推進する。
(3)情報公開の促進
公共性の高い大学としての説明責任を果たすため、ホームページや広報誌等を通じて教育研究情報や財務情報などの情報の公開を積極的に推進する。
(4)人事・組織
大学、病院の事業計画を事務部門の目標管理制度上の組織目標に取り込み、PDCA管理し、推進する。
(5)総務
業務効率の向上を図るため、昨年度未実施に終わった事務スペース管理の実施、及び電子承認システムの導入を目指す。
(6)その他
医療収入・学納金収入につぐ経常費補助金、科学研究費補助金などの補助金の獲得のための取り組みを推進する。また、給付を受けた補助金の適切な運用管理を充実させる。
以上