本学校法人の平成22年度決算が、平成23年5月27日に開催された理事会において承認されましたので学校法人会計基準に定めている計算書類、資金収支計算書総括表(表1)、消費収支計算書総括表(表2)、貸借対照表(表3)の概要をご説明いたします。
収入面では、主に学生生徒納付金収入が保健学部理学療法学科(2年目)、医学部入学定員増(6名)等により約3億円の増加となりました。補助金収入では、私立大学等経常費補助金(特別補助金)の中の大学院教育研究高度化推進等の大幅な加点により0.7億円の増加、また病院部門の東京都からの補助金の獲得等により全体で約1億円の増加となりました。医療収入は病院教職員一体による経営改善運動と平成22年度診療報酬改定(DPC係数、新規加算項目の新設及び引き上げ等)により前年度比で7.8%(22.4億円)の大幅増加となった。借入金等収入の47億円は新病棟建替えによる建設資金を日本私立学校振興・共済事業団より調達したものである。
支出面では、人件費は定期昇給のほか看護師、医師への特別手当等により、前年度比で1.02%(1.88億円)の増加となった。 医療経費については医療収入の大幅な増加に伴い、その直接経費にあたる薬品費、診療材料費等の増加により11.1%(13.26億円)の増加となった。借入金等返済支出は本年度の計画返済と繰上償還で前年度比6.88億円の増加となった。施設関係支出は医学部定員増に伴う施設改修、新病棟建設関係で前年度比12.8億円の増加となった。また、設備関係支出は医学部定員増及び保健学部学科開設に伴う機器の整備等で前年度比3.89億円の増加となった。
次年度繰越支払資金(平成22年度末現預金)は前年度末より57.45億円の増加となった。
帰属収入では、学生生徒納付金収入、医療収入、補助金収入等の増加により収入全体では前年度比5.89%(24.88億円)の増加となった。基本金組入額は前年度比+54.7%(13.6億円)の増加となり、消費収入は2.8%(11.27億円)の増加となった。
消費支出では、人件費(2.31億円)、医療経費の増加、第3病棟取壊しによる除却費(14.48億円)により、支出全体で前年度比6.51%(26.07億円)の増加となった。従って、当年度の帰属収支差額(帰属収入−消費支出)は20.56億円となり四期連続の収入超過(※1)となった。
資産の部は、固定資産が除却等により2.2%(14.47億円)の減少。流動資産は、現金、預金の増加により31.7%(61.04億円)の増加となった。負債の部は新規の借入金返済等により、前年度比で10.1%(26.01億円)の増加となった。正味資産は帰属収支差額が収入超過となったため、前年度比で20.56億円となった。
以上のように、平成22年度の決算は資金面(資金収支計算書)では学生生徒納付金収入、医療収入の増加により前年度末より増加し、支出も全体的に低く抑えられたため、経営面(消費収支計算書)においても帰属収支差額が20.56億円(※1)となり、四期連続してプラスに転じました。これはここ数年の病院を中心とした収支改善活動が結実したものと考えております。ただし、現在本学園を取り巻く社会状況の変化(震災による電力需要の切迫、それに伴う光熱水費の増加、消費税の税率の上昇等)を考慮すると決して楽観視できる状況下ではないと考えております。今後とも本学園の確固たる財政基盤を築くためには、引続き教職員皆様のご協力を賜り、努力してまいりたいと思います。
学校法人は利益追求を目的としていないため、学校法人会計基準に基づいて作成された計算書は、大変、解りづらいものとなっています。この計算書は企業会計的に作成したもので、企業では経営成績を示す計算書となっています。どこの部門で利益が上がったのか、赤字となってしまったのかを検証して分析をすることで、その原因を探り、収支改善を図っております。
平成22年度の(1) 売上総収入は441.76億円、(2) 一般管理費は408.88億円となり、(3)営業利益((1)−(2))は32.8億円の黒字となりました。一方、また(6)営業外収支((4)−(5))は△12.32億円となりましたが、(7)経常利益((3)+(6))では20.56億円の黒字決算となりました。
※今年度は(6)営業外収支((4)−(5))で△12.32億円となった主な要因としては、第3病棟取壊しにかかる処分差額として14.48億円を計上したことがあげられる。
経理課長 難波 明