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講演概要:バチカンの聖と俗 ーバチカンを通して世界を見るー


杏林大学外国語学部 客員教授
上野 景文




    ○講演概要

    2010年秋まで4年(1400日)間、日本大使として派遣されたバチカンに関し、文明論的体験談を披露する。
    宗教機関として世界中にネットワークを持つ一方で、国家という世俗的な顔を持ち合わせるバチカンは、その「聖・俗の二重性」を反映してか、国の公式名称を2つも―――the Holy See(HS)、 Vatican City State―――有する。
    なお、日本では知られていないが、歴史的由緒があるのはHSの方であり、また、バチカンの外交はHSの名において執り行われる。
    バチカンは、また、近代国家が備える3要件―――国民国家(Nation State)、民主主義、政教分離―――のどれをも満たさず、古代・中世の「遺物」と言う面を持つ。にもかかわらず、欧州やカトリック圏からだけでなく、プロテスタント圏、正教圏、更には、イスラム圏、仏教圏からも、元首クラスの「法王詣で」が目白押しだ。 どうやら、ローマ法王は、欧州だけでなく国際社会全般で、「特別」の存在だ。
    また、法王は、国際問題や社会問題などの世俗のテーマについてたえず警鐘メッセージを出し続ける「国際的お目付け役」の顔を持つ。他方、宗教面について語れば、カトリック(教会)は、2000年間に亘って積み重ねられて来た伝統、解釈、機構を尊重する点で、これらを否定するプロテスタント教会と、一線を画する。
    プロテスタントが、聖母、聖人などの「中間項」をイデオロギー的に否定するのに対し、カトリックは民衆の心に浸透したそれらを包含し続けている。たとえば、聖人ウバルディを祀った聖ウバルディ教会は、日本人的視点からはウバルディ神社と言える訳で、日本人から見て分かり易い。イデオロギーにこだわらない面があると言う意味で、カトリックと日本文化には共通する面がある。
    欧州の「奥の院」とも言えるこのバチカンを知ることは、欧州、ひいては米国の文明の本質を知る上からも有益である。


    2012年10月4日 ちょうふ市内近隣大学等公開講座/杏林大学公開講演会
    『バチカンの聖と俗 ーバチカンを通して世界を見る ー』


    杏林大学 広報・企画調査室




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