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講演概要:地縁と地域力−明るい日本復興へのきずな創造


杏林大学外国語学部 客員教授
熊谷 文枝(比較文化社会、情報社会と社会問題)




    ○講演概要

    「海外に出ると自国・日本を知らないことに気づく」と言われます。私自身も例外ではありません。「日本はインヴィジブル(不可解)」と言われ、また、日本の実情が正しく理解されていないことに憤りすら感じました。しかしそれは、日本人の責任です。というのは、私たちが日本の実情を世界に向けて正しく発信しないからです。そこで、私は地縁と地域力に注目します。

    日本を考えるとき、ともすると大都市に注目し、全国平均値を考えます。それは日本の概要を知るには誤りではありません。しかし、日本の狭い国土に潜む地域的多様性を無視します。日本の社会文化的特色は、地域ごとに大きく異なるからです。

    日本の地域的多様性を生み出した主要因は、律令時代にさかのぼる旧国名(令制国)制度や藩政の歴史にあります。また、現在の都道府県は、実質的には江戸時代の302藩に基づきます。その結果、同一県内でも東西南北、地勢、自然環境、風土・人情・慣習・生活様式、方言、気質がことごとく異なる事態が誕生しました。

    例えば、山形県の伝統的世帯構造文化は、県の小藩分立圏の歴史と重なり県内でも四分割(庄内・最上・村山・置賜)されています。山形県の世帯構造と対比をなすのが鹿児島県の隠居文化です。それは、同じ南九州に位置する宮崎県とも大きく異なります。薩摩藩の麓郷士・外城制度・門割制度の影響です。急速に進展する日本の少子高齢社会を分析すると、沖縄・南九州の琉球文化圏では、子沢山の慣習が現存します。一方東北青森県は、津軽と南部の二文化圏に大別されますが、方言(津軽弁)主流社会の影響は深刻な地域医療崩壊をもたらしています。

    講演では、大震災復興プログラムの例として「遠野モデル」「杏林大病院高度救命救急センターとヘリサット」、コミュニティ(地元)起業とネットワークによるアメリカハリケーン・カトリーナ(2005年)の復興支援プログラム「アイディア・ビレッジ」「ギブ・ア・ミヌッツ」「リーン・スタートアップ」なども簡単に紹介しました。

    この講演をお聞きいただいた方々が、「日本の多様性に今更ながらおどろいた」と言われます。その多様性が、地縁と地域力と結び付き、地域のきずなを生み出します。さらにそのきずなが、地域ごとに直面する課題への明るい指針となり、日本復興へ向かうことを切望します。


    2012年5月19日 八王子学園都市大学いちょう塾・杏林大学公開講演会
    『地縁と地域力−明るい日本復興へのきずな創造』


    杏林大学 広報・企画調査室




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