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講演概要:感染制御のヒント プロの感染制御策


杏林大学保健学部看護学科 教授
小林 治
(細菌バイオフィルム、インフルエンザ、感染制御)




    ○講演概要
    「感染制御」の目的は、完全には消滅させられない感染症の現状を正確に把握しそれを支配下に置くところにあります。それは、それぞれ個々の体内においては原因病原体の侵入をどこまで許容できるか、また、社会生活においては感染症の発生を認知する”仕組み”と対応するための”取り決め”を知る必要があります。
     まず、体内へ病原体の侵入について説明します。口、胃腸、肛門の中、また、鼻から気管・気管支の中、尿道の中は一般的には”体の中”ですが、感染症学的には体の外、と考えます。従って、大概の細菌やウイルスなどの病原体は、ある一定の量までは口や鼻や尿道の中に存在しても問題になりません。では、病原体の侵入が絶対に許されないところはどこか、といいますと、これは”血管の中”となります。ヒトは、病原体を血管内に侵入させないために様々な防御機構を持っており、これを正常に働かせる事が最も大切な感染防御といえます。
     次に、社会生活における感染制御の仕組みと取り決めについてお話しします。日本では、感染制御の本幹となる感染症法が1999年に施行されました。ここでは、伝播しやすく重症化しやすい感染症を5つの段階に分類し、当該疾患患者の海外からの入国を規制したり、国内発生例ではこれを隔離することが定められています。また、当該疾患が発生した際にはこれを届け出る義務が定められておりますので、危険な感染症の発生を速やかに認知し対策を講じる事が出来ます。2009年のブタ由来インフルエンザの世界的流行の際、杏林大学では、この病原体の遺伝子情報から得られた科学分析からこの新しいインフルエンザがそれほど重症化しないものと確信し、三鷹市と地域の医師会の協力の上、インフルエンザ治療拠点の分散化に成功しました。
     このような感染症の伝播を、私ども医療者はどのように対策しているのでしょうか?標準予防策に加え流行中の感染症に該当する感染経路別予防策を講じる、という感染予防は「汚いものに触れるときは手袋を、飛んできそうな時はマスクやゴーグルを、服に付きそうな時はエプロンを」という、先人達がごく当たり前に行ってきた事に過ぎません。また、B型肝炎、麻疹、水痘、ムンプス(おたふくかぜ)、風疹の抗体価を採血検査で測定し、感染予防に不十分だと判断された場合はワクチンを接種する他、毎冬季には全職員がインフルエンザワクチン接種を行うよう努力しております。何も特別なことは行っていないのですが、日常から当たり前と思う事を続けて行く事が感染制御に重要だと考えています。


    2012年6月16日 杏林大学公開講演会
    『感染制御のヒント プロの感染制御策』


    杏林大学 広報・企画調査室




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