公開講演会・公開講座
講演概要:身につけたいですね!役立つストレスマネジメント 〜心と身体のつながり〜
杏林大学保健学部健康福祉学科 講師
松井 知子
(心身の健康づくり、ストレスマネジメント)
○講演概要
現代社会には様々なストレスが存在します。このストレスという言葉は「この頃ストレスがたまって疲れてしまい、何もする気がおこらない」というように、ストレスはストレスの原因(ストレッサー)に対しての抵抗とでもいうべき生理的・心理的反応(ストレス反応)によって成り立つと考えられています。ストレッサーに対してそれが当人にとって驚異的であるかどうか判断され、驚異的であると判断されれば、次にどのように対処していくか対処法(ストレスコーピング)を考えなければなりません。適切な対処法があれば驚異は消失し、また快適な状態を維持することができます。すなわち、私たちの生理的・心理的反応はその出来事をどう捉えるかによって違ってきます。それは、出来事に対してとっさに頭の中で浮かぶ自動思考がそうさせます。 ストレスをそのままにしておくと、身体の病気、心の病気が現れ、生活や仕事(学業)に支障をきたすことにもなりかねません。ストレスを解消し快適な生活を送るために、日々の緊張を解き、自らを最適な心身状態にするセルフケアの方法を知ることが大切です。ストレスマネジメントとはストレスと上手につきあう工夫のことです。
外界に対して身構えたり心構えをもって活動する=生きるようになると、その緊張感が習い性になって肩こり(慢性緊張)が生じたり、大事な場面であがって(過緊張)ミスをしてしまうなど、力みすぎて心と身体がチグハグになるといろいろ問題が起きてきます。まずは不要な自分の身体の緊張に気づき、それを自分でゆるめ、楽になった身体を実感することができるようになると、身体に変化が起こります。この実感的体験が力みすぎない生き方への変更につながります。心身の健康の維持・増進のために、身体の不要な緊張をゆるめて心の活動の仕方を活性化する実習により、しなやかな生き方を取り戻しましょう。
今回のセミナーでは日頃、自分では気づいていない頑張りモードを意識していただくために「片手指一本での相手の腕上げ」から始まりました。そして意識してもなかなか力を抜くことができない状態に気づきました。力を抜くことを意識するとさらに、力が入ってしまうという自分の身体とはいえ、なかなかコントロールできないことを思い知らされます。次に簡単なゆるめの動作と行うことで可動域が広がる身体の不思議を実感していただきました。次に椅座位で身体各部の筋肉を数秒間緊張させ、次にそれをゆるめてそのリラックス感をじっくり味わう漸進性弛緩法を体験することです。手首・腕⇒足首・脚⇒上半身⇒腰⇒顔の順に緊張させて逆にゆるめることで、より深い弛緩感と心理的リラックス感が得られます。このような副交感神経優位のリラックス状態を体感することで、参加者の方々には最適緊張状態の存在に気づき、日々の過緊張状態を修正していく動機づけが生まれたことで本セミナーの目的は果たされたと思います。
2012年7月7日 杏林大学公開講演会
『身につけたいですね!役立つストレスマネジメント 〜心と身体のつながり〜』
杏林大学 広報・企画調査室