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講演概要:「ピロリ菌を除菌してきれいな胃をとりもどそう!」

2013年7月13日開催:杏林大学公開講演会


杏林大学医学部 教授
高橋 信一(専門:消化器病学、胃・十二指腸潰瘍、胃癌の発生病理)




    ○講演概要

     ピロリ菌は、正確にはヘリコバクター・ピロリ菌といいます。胃の中に住み着くラセン型の細菌でヒトによってはいろいろな病気の原因となります。
     この細菌は子供の頃にヒトに感染し、自然には除菌されること無く、その子が大人になってもずーっと感染し続けます。そして胃の粘膜に慢性の炎症(慢性胃炎)を引き起こし、胃の粘膜を荒らし続けます。
     この慢性胃炎が原因となって、胃潰瘍や胃ポリープ、あるいは胃MALTリンパ腫や胃がんなど、いろいろな病気が発生してくることが知られています。そこで現在、ピロリ菌を除菌することにより、これらの病気が治るか、あるいは予防できるかについて世界中で研究が進んでいます。その中で、2008年、わが国からピロリ菌を除菌することによって、胃がんの発生が減らせるという報告がなされました。胃がんの多いわが国にとっては大変な朗報です。
     慢性胃炎が進むと胃の粘膜が萎縮してきます。つまり胃の粘膜が薄くなり、荒れた粘膜になります。これが萎縮性胃炎です。このような粘膜からがんなどの悪い組織が出現します。ピロリ菌を除菌することでこの萎縮が改善し、きれいな粘膜になる事で胃がんの予防につながることが明らかになったわけです。
     それではすぐ除菌療法を受けたいですね。そこで日本ヘリコバクター学会では、早速この結果を受け、2009年、予防的見地から「ヘリコバクター感染者」はすべて除菌の適応であるとガイドラインに示しました。そして、その後の検討により、本年2月に、はれて慢性胃炎に対するピロリ菌の除菌療法が健康保険の適用になりました。
     感染診断について、ピロリ菌は、内視鏡を使って胃の粘膜を取ってきたり、血液、尿、便、呼気などを調べて検査します。そんなに複雑なものではありません。
     また、ピロリ菌の除菌治療は、胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬に抗生剤のアモキシシリンとクラリスロマイシンを1週間同時に内服する3剤併用療法が保険の適用となっています。いずれも常用量かその2倍量を1日2回に分けて内服して頂きます。3種類の薬剤を複雑に内服する為、正しく内服する事が重要です。ただし除菌療法にも下痢やアレルギーなど副作用があります。よく主治医の説明を理解してから受けてください。


    2013年7月13日 杏林大学公開講演会
    『ピロリ菌を除菌してきれいな胃をとりもどそう!』 医学部教授 高橋信一

    杏林大学 広報・企画調査室




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