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地域で認知症をみる (講演概要)

2014年7月12日開催:杏林大学公開講演会


杏林大学医学部 准教授
長谷川 浩 (専門:認知症、高齢医学)




    ○講演概要
     2012年の認知症の患者数は約462万人であり、その前段階の軽度認知機能低下は約400万人とされ、合わせて約800万人の方々が何らかの認知機能障害を持っていると推定されています。年齢が上がるにつれ認知症の発症率は上昇し、65歳以上の4人に1人は認知症またはその前段階にあると考えられます。認知症の原因としてアルツハイマー型認知症が約50%、血管性認知症が25%、レビー小体型認知症が15%、前頭側頭変性症が5%、その他20%です(各々が合併する混合型認知症もあります)。検査は大きく分けて認知機能を見るための心理検査(問診、アンケート形式)と頭部MRI・CT、脳血流シンチグラフィーなどの画像検査を行います。認知症のタイプにより症状が異なり、治療法に工夫が必要になることがあります。
     軽度認知機能低下は正常と認知症との間の状態であり、年間10〜15%が認知症へ移行すると言われています。特にこの時期に認知症の治療を始めるか否かが議論されています。 
     アルツハイマー型認知症に関しては、その発症機序にアミロイド仮説、タウ仮説があり、これらに基づく治療薬が開発中です。この開発が難しいのは、アルツハイマー型認知症の症状が現れる前からアミロイドタンパクやタウタンパクなどが脳に蓄積し、症状が出た時には病理的な変化がかなり強く出ているからと考えられています。現在使用できる薬はコリン作動性仮説に基づくコリエステラーゼ阻害薬3種類とNMDA型グルタミン酸受容体阻害薬1種類です。これらを上手に組み合わせて治療することと、充分な介護を行うことで患者さんの症状を良くすることを目指します。
     認知症患者さんをみる(診る・看る)ためには、専門医療機関とかかりつけ医との医療連携が必要であるほか、認知機能の低下自体が生活に障害をきたすという疾患の性質上、在宅で患者の生活を支える地域包括支援センターや在宅介護支援センターなど、介護、福祉、その他の行政部門が深くかかわる必要があります。また、認知症患者さんが生活しやすくするため、介護するご家族の負担を少しでも軽くするためにも地域全体で患者さんをみる(見守る)ことが重要であり、杏林大学もの忘れセンターでは認知症地域連携に非常に力を入れており、その成果が出てきています。


    2014年7月12日 杏林大学公開講演会『地域で認知症をみる』
    杏林大学医学部高齢医学
    同付属病院もの忘れセンター
    准教授 長谷川 浩


    杏林大学 広報・企画調査室




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