1. 杏林大学トップ
  2. 社会との連携
  3. 講演会・イベント案内
  4. 公開講演会・公開講座
  5. 被災地でのリハビリ支援

公開講演会・公開講座

私たちの暮らしと世界のつながり(講演概要)

2015年6月13日開催:杏林大学公開講演会

杏林大学総合政策学部 准教授
川村 真理(専門:国際法)




    ○講演概要
     近年、災害、移住問題、気候変動、格差などの世界的リスクが高まっています。私たちはこうしたリスクに屈しない「レジリエンス」な社会をつくるためにはどのようにすればよいのか、普段の暮らしと世界のつながりを通して考えてまいります。
     災害の増加は世界的傾向で、開発問題や気候変動といった環境問題に密接にかかわっており、「防災の主流化」が重要であることが確認されています。災害は自然のハザードとは同義ではなく、ハザードに人為的要因が介在して災害となります。災害の影響、死亡者数が多いのは途上国です。それは、格差、貧困、ガバナンスの問題等、多面的要因が複合的に関連して災害の被害を大きくし、また日常的リスクを生む悪循環に陥りやすいためです。したがって、災害リスクの管理は、行政の改善、リスクについての十分な理解などが必要です。また、国際社会、国家、自治体、企業、NGO、市民、すべての防災関係者の協力枠組みやシステムが必要です。
     現行の国連システムにおいて災害に関わる組織として、国連人道問題調整事務所、機関間常設委員会、国連防災戦略事務局があります。これらは、様々な防災関係者の活動調整、活動規範の制定や政策枠組みの提言などを行います。今年3月、仙台で開催された国連防災世界会議では、優先行動として、(1) 災害リスクの理解、(2) 災害リスクガバナンス、(3) レジリエンスに向けた防災への投資、(4) 準備の強化と「より良い復興」が掲げられました。今後、この会議で示された骨子に従い各国が防災の取組みを強化していくことになります。
     日本の防災制度は、災害対策基本法に基づいて、内閣府防災担当を中心に対策がなされています。今後の課題は様々ありますが、いかにあらゆるステークホルダーと連携するか、「共助」の強化が課題として挙げられます。また、災害時に脆弱な立場に立たざるを得ない人々の保護の視点での支援や法制度の充実も重要な課題です。世界の避難者の8割以上がアジアにおられ、日本においても東日本大震災による避難者の方々の暮らしはまだまだ困難な状況にあります。
     また、世界には紛争や迫害で住み慣れた土地を逃れざるを得ない人々がおられ、2013年末に第二次世界大戦以後、もっとも多い数にのぼっています。自国が保護する意思や能力がない場合、国際社会がかわりに保護する必要がでてきます。難民条約は、難民にあたる人々を庇護するためのとりきめで、国連難民高等弁務官事務所はこうした問題の国際的活動を先導し調整しています。日本もこの問題に取り組んでいますが、難民受け入れ数が少ないとの批判があります。日本国内の一般の人々の無関心や理解不足なども影響しているのかもしれません。
     しかし日本の途上国からの輸入比率は約50%で、私たちの暮らしは途上国との相互依存の上になりたっています。また、地球温暖化現象は、地球全体のシステム思考で取り組むことが必要です。
     私たちの暮らしは自然の営み、世界の一部を構成しておりそれぞれが影響しあっています。私たちは普段から、この相互依存の関係や多様性を理解すること、社会とのつながりを大切にすること、システム思考を身に着けることが現代社会で直面する様々なリスクに対してしなやかに強く生き抜くポイントになるのではないでしょうか。


    2015年6月13日 杏林大学公開講演会『私たちの暮らしと世界のつながり』
    杏林大学総合政策学部
    准教授 川村 真理


    杏林大学 広報・企画調査室




杏林大学について

入試ガイド

就職・キャリア

留学・国際交流

キャンパスライフ・施設

キャンパス案内

各センター・施設

研究・社会活動

PAGE TOP