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公開講演会・公開講座

お父さんの健康を考える 〜前立腺肥大症・前立腺がんの最新治療法〜(講演概要)

2015年10月24日開催:杏林大学公開講演会

医学部教授
桶川隆嗣(専門:泌尿器腫瘍学、腹腔鏡・ロボット手術)




    ○講演概要
     前立腺は膀胱の下部にあり、クルミ大(15-20g)の大きさで、ほぼ中央を尿道が貫いています。前立腺肥大症は前立腺の内側(移行領域)の部分が腫大する病気です。60歳以上の人に多くみられる疾患です。前立腺が腫大すると尿道が圧迫されて尿道抵抗が高まり、尿の勢いが悪くなります。また閉塞に伴う膀胱機能の変化により、排尿困難以外に頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿などの刺激症状も出現します。

    「診断」
    1.前立腺癌の疑いがあるかを検査します。血液中の前立腺特異抗原(PSA)の値を測定することが重要です。2. 排尿障害を来す合併症や副作用として排尿障害を引き起こす薬剤の服用がないかどうかを確認します。3.前立腺肥大の重症度は 1)国際前立腺症状スコア(IPSS)2)QOLスコア3)最大尿流量率 4)残尿量5)前立腺容積(超音波検査)で調べます。
    「治療法」
    症状の程度とそれによってどのくらい患者さんが困っているかにより治療方法が決定されます。 (1)手術:開腹手術と、尿道から内視鏡を挿入して前立腺腺腫を切除する方法があります。最近は、入院期間が短い、低侵襲なレーザー手術が主であります(HoLAP、PVP、HoLEP)。(2)薬物療法:前立腺部の尿道の圧迫を緩める作用をもったα1ブロッカーと、腫大した前立腺を縮小させるアンチアンドロゲン薬と5α還元酵素阻害薬、PDE-5阻害薬、植物製剤、漢方薬があります。 前立腺癌は、日本では前立腺がん死亡数は増え続けており、2009年は1万人以上が前立腺がんで死亡していると推定されています。また、死亡数は将来も増加し続け、2020年には2000年の約3倍になると予測されています。前立腺癌の原因は遺伝子の異常と考えられており、加齢と男性ホルモンの存在が影響しますが、いまだ明確ではありません。
    「症状」
     前立腺癌は前立腺の外腺の腺上皮(辺縁領域)から発生する率が高く、初期にはほとんど症状がありません。
    「検査と診断」
    PSA検査で早めに診断することが大切です。最近は早期発見の目的で、MRI検査、PETCT検査も行われています。これらの検査により前立腺癌が疑われたら、経直腸超音波検査で位置を確認しながら、前立腺の10カ所以上を針生検し、癌の組織診断を行います。前立腺癌の周囲への進み具合は骨盤部MRI検査で、全身のリンパ節転移はCT検査、PETCT検査で、全身の骨転移については骨シンチグラフィが有用です。
    「治療法」
    a.内分泌(ホルモン)療法
     男性ホルモンの作用を低下させることを目的として、LH‐RHアゴニスト、アンタゴニスト製剤を皮下注射する方法と抗男性ホルモン薬を加えたMAB療法が一般的です。
    b.外科療法(前立腺全摘出術)
     癌が前立腺内に限られている時に行います。最近はロボット手術が主に行われています。
    c.放射線療法
     近年、陽子線や重粒子線、IMRT(強度変調放射線治療)の使用で副作用を減らし、治療効果の改善が得られています。また、小線源療法といって前立腺に放射線を出す小さな線源を埋め込む方法があります。
     


    平成27年10月24日(土)『お父さんの健康を考える 〜前立腺肥大症・前立腺がんの最新治療法〜』
    杏林大学医学部
    教授 桶川隆嗣


    杏林大学 広報・企画調査室




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