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マイナス金利の金融政策 〜 経済や金融は今後どうなる? 〜(講演概要)

2016年6月4日(土)開催:杏林大学公開講演会

 総合政策学部教授
 小田 信之(専門:マクロ金融、経済政策、ファイナンス論)




    ○講演概要
     わが国の金融政策は、2016年2月、マイナス金利の世界に突入しました。 物価の安定を達成するために、日本銀行は追加的な金融緩和措置として、民間金融機関の日本銀行当座預金の一部に適用する金利を+0.1%から−0.1%に引き下げたのです。 その効果は徐々に波及し、例えば、本講演時点で国債(10年物)の流通利回りは−0.1%程度まで低下しています。 一方、家計が直面する預金金利や、企業が直面する借入金利については、プラスの領域内で金利低下が進行しています。
     この先、金融政策金利のマイナス幅はどこまで拡大するのでしょうか?また、家計の小口預金の金利もマイナス領域に入っていくのでしょうか? それは、わが国の経済・物価環境を踏まえてどのような金融政策が実施されるかに依存しますが、一つだけ明確な点は、金利のマイナス幅を際限なく拡大させることは原理的に困難であるということです。 というのは、紙幣(日本銀行券)のような現金は減価することがないため、預金に大幅なマイナス金利を適用しようとすれば、潜在的な預金者は、何らかの方法で金融資産を現金保有し、コストのかかる預金から免れようとするからです。 ただし、現金保有にはキャリーコストを伴うので、そのコストを超えない範囲での小幅なマイナス金利は成立します。
     ところで、世界の先進国では、潜在成長率が低下して長期停滞の局面に入ったという考え方があります。 これは、産業の成熟化や労働人口の減少などから、かつてに比べて経済成長力が弱まり、均衡実質金利の水準も低下したという見方です。 もし、わが国の経済も長期停滞局面にあるのならば、低金利環境が将来かなりの長期間に亘って続き、マイナス金利が特殊な事ではなくなっていく可能性も否定できません。
     しかし、マイナス金利にある種の限界があることは前述のとおりです。この点、金融政策への過度の期待は危険であり、適切なポリシー・ミックスが望まれます。 これから特に重要な政策課題としては、わが国の潜在成長率を引き上げるための構造改革、規制改革、教育改革、財政健全化などを指摘できます。 また、労働人口の減少を抑制する政策にも大きな期待がかかります。長期的な視点から、真に必要な経済政策を果敢に実行することが求められます。


    2016年6月4日(土)『マイナス金利の金融政策 〜 経済や金融は今後どうなる? 〜』
    杏林大学総合政策学部
    教授 小田 信之


    杏林大学 広報・企画調査室




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