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脱毛症と再生医療(講演概要)

2017年10月21日(土)開催:杏林大学公開講演会
医学部皮膚科学教室教授 大山 学



    ○講演概要
     ヒトiPS細胞を用いた再生医療がメディアで大きく取り上げられている昨今、比較的身近な話題として薄毛も再生医学の手法を用いて解決されるのではないかと大きく期待されています。
     確かにマウスの細胞を用いればゼロから毛包の構造を再生することは可能となっており、自分の毛包であれば密度の高い部分から低い部分への移植(自家移植)が治療法として確立しているため、ヒトiPS細胞から毛包を作って移植すればすぐにでも薄毛の治療ができるような感じを持つのはむしろ自然かも知れません。しかし、実際には脱毛症は炎症、感染などにより生じるものも多く全ての脱毛症が再生医療に適している訳ではありません。
     例えば円形脱毛症では毛の根元(毛球部)が自己免疫応答の標的となって炎症により破壊されることで脱毛が生じます。せっかく毛包を再生し移植しても炎症が十分おさられなければ、また抜けてしまいます。細菌や真菌(カビ)の感染により脱毛が生じているのならば、まずは感染症を直さなければ再生医療の意味がないことは明らかです。
     一般的には再生医療というと完全な毛を創り毛のないところに移植するといったイメージを持つと思います。しかし、完全に毛の構造が失われる脱毛症は実はあまり多いとは言えません。例えば男性型脱毛症では毛の生えかわりのサイクルが早くなり毛が成熟できずにどんどんミニチュア化していきます。毛の構造がない訳ではなく単に小さくなっているだけなので、完全な毛を再生して移植するといったアプローチよりも、すでにある構造に細胞を補充するなどの方法でまた太くする方法の方がより簡便で現実的です。
     もともと毛にある毛の元となる細胞(=幹細胞)を生きたまま取り出したり、やヒトiPS細胞から毛の細胞の特徴をもった細胞を創ることができるようになってきました。今後は毛の構造を完全に再生するというよりむしろ、こうした細胞を安全性・経済性などに配慮しながら様々な脱毛症ごとの特徴にあわせて供給していくといったかたちで再生医療が進んでいくと思われます。

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