大学ホーム>ニュース&イベント>タイ日記 10

第10回
プラティープ財団訪問

総合政策学部准教授 北島 勉

9月5日
今日は、バンコク市内にあるドゥアン・プラティープ財団を訪問しました。バンコクの人口は約600万人ですが、その約半分の300万人がスラムに住んでおり、その数は1800以上ということでした。ドゥアン・プラティープ財団はそれらのスラムの中でも最も大きいクロントーイ地区のスラムに拠点をおいて活動をしています。
事務局長であるプラティープさんは、クロントーイ地区のスラムで生まれ、16歳のころスラムの子ども達に教育機会を提供するために、自宅の一室に「1日1バーツ学校」を開設しました。

学校を拠点として地域の問題の解決に尽力したプラティープさんは、1978年に「アジアのノーベル賞」と言われるラモン・マグサイサイ賞を受賞し、その賞金をもとにこの財団を設立しました。現在は、子どもの教育、地域開発、スラムの生活の質の向上、緊急災害時の対応という4つの分野に関する23のプロジェクトを実施しています。年間の活動予算のほとんどがタイ国外の寄付でまかなわれているということです。日本人ボランティアも4人おり、今日はナカガワさんという方が通訳をしてくださいました。
プラティープ財団に到着後、近隣のスラムの様子を見に行きました。木造トタン屋根の小さな家が建ち並び、家のまわりにはゴミが散らかっており、臭いも気になりましたが、通路から見えた限りでは、部屋の中はきれいに整頓されていました。

次に財団が運営している幼稚園を案内してもらいました。この幼稚園では午前7時から午後3時まで、2-6歳の子ども230人を20人の職員で預かっています。一日のプログラムは、9時に牛乳を飲み、12時に昼ご飯を食べ、午後に昼寝をして、帰宅ということで、その間に教室や園庭で勉強したり、遊んだりするそうです。
部屋は明るく風通しがよく、遊具もそろっており、図書室、コンピューター室、保健室もありました。子ども達は元気に遊んでおり、私たちに大きな声で挨拶をしてくれました。親が1日10バーツを負担することになっていますが、全員が払うことができるわけではないそうです。

その後、プラティープ財団の会議室で財団の足跡に関するビデオを見せていただきました。ビデオが終了すると、プラティープ事務局長が来て、30分間くらいお話をして下さいました。
昨年9月の軍事クーデター以降、それまで進められてきた人々の生活に関する政策、特に麻薬撲滅、学生への奨学金制度、医療保障制度の改革、一村一品運動などの政策の優先順位が低くなってしまったことを嘆いていました。年末に総選挙がありますが、その後も実質的には現在の軍事政権と変わることはないと考えているようです。

タイとの経済的なつながりが強い日本の政府が、軍事政権下のタイの今後5年〜10年をどう見ているのか、また、どのような外交を展開しようとしているのか興味があるとおっしゃっていました。このようにタイは厳しい状況にあるとのお考えでしたが、プラティープさんとしては、タイの民主化と発展のために、軍事政権の問題点について多くの人に理解をしてもらえるような活動を続けていくそうです。

プラティープ財団を訪問した感想

昨年9月、タイではクーデターが起き、政権は軍人の手に渡った。プラティープさんは軍事政権下で様々な厚生政策がストップされ、人々は様々な弊害を受けているという。安定した日本の政情のありがたみを感じるとともに、民主政権と軍事政権の違いを、今日は改めて考えた。 

(青木真澄)


スラム街を歩いて私たちは本当に良いところにホームステイをしたのだなと、改めて思った。動物がとにかくかわいそう。毛がぬけおちた犬やがりがりの犬などがいて心が痛かった。幼稚園では、世界的に有名なプラティープさんにお会いしました。ドゥアン・プラティープ財団というNGOの創設者で、とても忙しそうでした。タイの社会問題についてお話しいただき、ためになりましたが、王様がもう少し力を入れていたらこの問題は解決するのではないかと疑問を持ちました。 
(遠藤隆史)


タイの政治はほとんどを軍部が占めているということが、今日のドゥアン・プラティープ財団の方の話で改めて実感できた。下の人が発展し、力をつけようとすると上の人が力で押さえつける。そういう話を聞いて、タイではまだまだ力で人をしばりつけているのだと思った。財団の方も言っていたが、こういう政治の中で、世の中を良くしていくのは、一人でも多くの住民が現状を把握することが必要だと私も思った。そして同じコミュニティー同士で団結して変えていくことが必要だと思った。 
(近藤隆志)


バンコクの都心部から少し離れたところにスラム街があった。家はものすごく古い木造の家というか小屋だった。そして衛生的に問題があった。しかし、家の中には最新の家電製品がそろっていたりと、ものすごい違和感があった。ドゥアン・プラティープ財団では設立者のプラティープ氏に話しを聞く機会もありました。タイの現状(政治政策)について直接お話しを伺うことができ、本当に良い経験となりました。 
(酒井真寛)


NGOの活動見学は、私がこのプログラムの中で最も期待していたことだった。スラムは想像していたよりもキレイで家屋はそこまでひどくはなかった。しかし、野犬や周りの空気、水が衛生的ではなかった。スラムの子ども達も幼い頃から学校に通い教育を受けていると知って素晴らしいと思った。私にとっての目標にとても近いことなので参考にしたい。もっと詳しく話しを聞けば良かった。今までの中で一番為になった日だった。 
(目良 翔)