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第11回
保健省の伝統医療局を訪問

総合政策学部准教授 北島 勉

今日は保健省の伝統医療局(Department for Development of Thai Traditional and Alternative Medicine)を訪問しました。
まず、プロモート副局長がタイの保健医療5カ年計画(2007-11年)における伝統医療の位置づけについてお話しをしてくださいました。医療サービスとして提供されている主な伝統医療とは、薬草など医薬品の提供、病院でのそれらの医薬品の処方、タイ古式マッサージです。
同計画では、タイの保健医療サービスにおいて伝統医療を活用できるようにその質を高めることと、タイの伝統的な医薬品の質を高めると同時にその量を増やすことで国産の医薬品の割合を高めることを目標としています。その戦略としては、タイ各地にばらばらに残されている伝統医療や医薬品に関する情報を集め、整理することや、WHOのガイドラインに則ってその有効性について調べること、伝統医療をタイの知的財産として保護すること、伝統医療を提供する人材を育成することなどがあげられています。

学生からは、町のマッサージ店で提供されているタイ古式マッサージと病院で提供されているタイ古式マッサージの違いについて質問がありました。前者は疲労回復のために、後者は医師の指示のもと疾病の治療のために提供されるという違いがあるが、同じ名前で内容が異なるサービスが提供されているのはおかしいので、長期的には利用者がその違いを理解しやすいようにしていきたいということでした。

ちなみに、現在、タイには約5000カ所の古式マッサージ店があるということですが、保健省が設定している基準を満たしていた店は1000店だったそうです。また、「ヘルシータイランド」というタイ国の健康増進を目的とした政策と伝統医療の推進との関係についての質問がありましたが、伝統医療はヘルシータイランドを実現していくための一つの方法として位置づけられているということでした。
伝統医療局には伝統医療に関する博物館があり、その展示物も見学しました。古代タイ文字で書かれた薬品に関する記録、伝統的な医薬品、タイ古式マッサージに関する資料などが展示されていました。タイ式ストレッチについても教えてもらいました。

その後、保健省で研修を受けたマッサージ師がサービスを提供しているマッサージ所に行き、タイ古式マッサージを受けました。受付で登録を済ませ、血圧を測った後、足を洗ってもらい、専用の服に着替えてから、マッサージを受けました。マッサージ師はタイのマッサージの神様に対して短いお祈りをしてから、足、ふくらはぎ、大腿部、手、腰、肩、首、顔、頭を90分間かけて念入りにマッサージをしてくれました。少し痛いときもありましたが、疲れを癒してくれるとても心地よい一時でした。学生達も「いたきもちいい(痛い+気持ちいい)」と言っていました。

学生達の感想
タイの伝統医療に関する情報を全国に広めることと、ハーブの調合に関する調査研究をしており、医療水準の向上を目指しているということです。私は、政治的な安定を維持することができれば、貧富の差が縮小し、素晴らしい国になると思いました。 

(遠藤隆史)


話しを聞いていて一番驚いたのは、タクシン前首相が推進していた政策を、反タクシンの現首相も変わらずに取り組んでやっているということ。タクシンの政策は全て否定されていると思っていたが、そうではなかったみたいだ。
ハーブなどを薬に使う研究に力を入れると言っていたが、人間に使用できるのはたったの19種類。今後、さらに研究が進み、多くの種類が使用できるようになれば漢方のように日本でも身近なものとなるような気がしてすごく楽しみになった。
国民の健康増進を目指したヘルシータイランドという政策について学びましたが、伝統医療局が進めているプログラムもこの政策の一環として実施されているということであった。 
(酒井真寛)


私が感じたことは、発展途上国の人は、理想は高いけど知識や経験がまだ足りてないということだ。目標があってもそれを実現させるための具体策がわからなかった。薬に関しても他国の人の方が詳しいらしい。しかし、日本も短期間で成長したのでタイもそうなる可能性があると思う。 
(目良 翔)


今日研修した保健医療施設はコンケンで研修した保健医療施設と同様に、タイ人の生活改善などを行い、さらに昔行っていたタイの医療やハーブを使った薬などを研究し直し、現代に活かせるように努力している。今は西洋の医学が大半だが、将来的には他国に頼らず自国で出来るようにすることが目標らしい。話を聞いた後、タイ式マッサージを受けた。タイの伝統マッサージ師は、その研修期間に応じて3段階に分かれており、最も高いレベル3は色々なハーブを使い、病気の治療ができるらしい。
今日の話を聞き、マッサージを受け、タイも先進諸国の一員になるのもそう遠くはないのかと思いました。日本も他国に頼らずに、自国で大半をまかなえるようになれば、もっと豊かな国なれると思います。 
(佐藤隆志)


タイ国保健省では、タイ古式マッサージを世界に誇る文化にするべく、マッサージ技術、伝統医療を体系化し、レベルを底上げしていくという。保健省が基準を満たしたマッサージ店に認定証を発行し、その認定証の有無で優良店であるか否かを判断してもらうようにするようだ。ただ、実際に認定証を取得しているマッサージ店はまだ全体に対してとても少ない。観光客用に数多くあるマッサージ店全てが認定を受けられるのは難しいだろう。中途半端な認定事業は顧客の混乱をもたらす。どの程度政府が介入していくのか?タイは日本よりも観光産業が進んでいると感じた。これから日本の観光業のあり方を考える上でタイの動きを注視すると面白いのではないかと思った。 
(青木真澄)