大学ホーム>ニュース&イベント>【トピックス】 11月の車内広告「ガクサイで考えるおにぎりの科学」実施中

11月の車内広告“ガクサイ”で考える“おにぎり”の科学
〜総合政策学部の学際演習を車内広告で展開中〜

杏林大学では、9月、10月、11月の3ヶ月間にわたり、各学部の特色を生かしたテーマで電車の車内広告を実施しています。9月は外国語学部の「語学はスポーツだ!」、10月は保健学部の「時代に応えた杏林の“保健学”。」

そして、今月は総合政策学部の特徴的な授業、学際演習をテーマに「“ガクサイ”で考える“おにぎり”の科学。」を展開中です。
この「“ガクサイ”で考える“おにぎり”の科学。」について、総合政策学部の5つの専門分野から解説します。

              

 "ガクサイ"で考える"おにぎり"の科学

運動会や遠足、楽しい行事のお弁当と言えばやっぱり“おにぎり”です!今ではコンビニエンス・ストアの主力商品となりました!日本人が大好きな“おにぎり”を、“学際(ガクサイ)”で考えてみましょう!

 

○国際政治・国際経済の視点

 お米の安全と国際政治経済

○法律・行政の視点

 コンビニおにぎりの表示

○環境福祉の視点

 環境福祉の視点でおにぎりについて考える

○経営の視点

 「にぎり戦争」を勝ち抜く経営戦略

○会計の視点

 おにぎりの販売価格はどう決まる?

 

【国際政治・国際経済の視点】

米の安全と国際政治経済

 おにぎりの主役は、もちろんお米ですね。どんなに素晴らしい具が入っていても、それを受け止める安全で美味しい米が使われていなければ、おにぎりは魅力半減でしょう。コンビニ各社も、上質なお米を使用していることをアピールしてきました。しかし、2008年9月、農薬の残留する米がコンビニのおにぎりに使用されていたことが明らかになりました。

 なぜ、こんなことが起きたのでしょうか?実は、この事件の背後には、国際貿易と国際政治の問題が絡んでいるのです。最低輸入機会、あるいはミニマムアクセス(MA)という言葉が、キーになります。

 今の国際社会では、自由貿易はほとんどの国に支持されています。互いに差別無しの、公平で自由な輸出入が原則です。でも、完全に自由な輸入を許すと、安い外国産品に押されて、重要な国内産業が大打撃を受けることがあります。そこで、特定の産品については、輸入制限を認める代わりに、外国から一定量を買い付けなさいという国際貿易の決まりが作られました。これがMAです。これなら比較的公平な感じがしますね。

 日本は、自由貿易の下で国を豊かにしてきました。けれど、国民の主食であるお米の自給率は守らなければなりませんから、米の輸入を厳しく制限してきました。そのため、国際社会からは不公平だと非難されてきました。非難が続けば、ペナルティーが課されるかも知れません。だから、お米をMAの対象にせざる得なくなりました。それでも日本政府は、MA米が国産米の価格を低下させ、米農家に打撃を与えないように、用途を加工用や飼料用などに限定してきました。そのため、MA米のなかには、農薬が残留していたり、かびなどが発生したりした「事故米」も含まれます。こうした事故米は本来、農林水産省が米穀業者に「非食用」として売却します。しかし、ある米穀業者が、そのことを隠して「食用」として転売していたことが発覚しました。コンビニのおにぎりには、この汚染されたMA米が含まれていたのです。

 国民からは当然、MA米への批判が高まります。しかし、国際貿易の約束を守るためにはMA米を受け入れなければなりません。食の安全は確保しなければならない、されど国際貿易無しでは国が成り立たない。さあ、どうする日本政府?

 これを解決するための「政策」は、杏林大学総合政策学部で学べます!

【法律・行政の視点】

ンビニおにぎりの表示

 コンビニでおにぎりを買うと、包装の表面に賞味期限や原材料などが書かれていたり、シールで貼られていることに気づいている人も多いと思います。実はコレ、製造者または販売者に対して法律で表示が義務付けられているんです。コンビニの店頭で販売されますから、ご飯や具が傷まないように、あるいは見た目を美しくするために、食品添加物がおにぎりに入れられています。コンビニのおにぎりは「食品衛生法」によって「加工食品」とされています。加工食品には使用された添加物を表示する義務が食品衛生法によって課せられていますので、まず添加物の表示が必要になります。 また平成15年から、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」によって、加工食品にはすべての原材料の表示が必要になりました。このように以前よりも細かい表示が義務付けられるようになった背景にはここ数年の食品加工・販売業者の不祥事や、食品の流通・輸入システムの複雑化による消費者の不安感があるといえるでしょう。

 また、コンビニおにぎりの表示で皆さんが普段よく気にしているものに、いわゆる「賞味期限」があると思います。この期限の意味を正確に知っていますか? この、いわゆる賞味期限の表示も食品衛生法とJAS法によって定められています。法律上の「賞味期限」は、「その食品を開封せず正しく保存した場合に味と品質が充分に保てると製造業者が認める期間」のことを指し、5日以上保存できる食品を、生産時と同等においしく食べられる期間だと考えてよいでしょう。つまり、この期限を過ぎても食べられることがあるということでもあります。一方よく似た概念として「消費期限」というものがあります。「消費期限」は「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」だと定められています。違いが分かりますか? そう、消費期限は生鮮食品や傷みやすい加工食品(パンや生菓子、おそうざいなど)を対象とし、それらの食品が腐ったり変質して食べた場合に害や違和感を発生させない期間を指すわけです。ですから、消費期限を過ぎた食品は食べない方が安全だということになります。

 これらの表示を怠ったり、虚偽の内容を表示した場合は、農林水産省からその企業の名前が一般に公表されます。また、農水省・厚労省や都道府県から様々な指導・監督を受けることとなり、企業の自主性が一時的に損なわれ、市場への信頼感も低下します。それでも監督官庁の指導に従わなかった場合は、関与した個人が100万円以下の罰金か1年以下の懲役に処されます。また法人に対しては1億円以下の罰金が科せられます。

 これらの表示の元となるデータは、食品製造者が結構なコストをかけて収集・算定しますので、できれば表示せずに済ませたいというのが製造・販売に携わる企業の本音でしょう。しかし消費者が食品を正しく選ぶことができるようにするためには不可欠の情報といえます。ですから、厚生労働省(食品衛生法を所管する)と農林水産省(JAS法を所管する)がこれらの法規制を通じて企業に情報提供を義務付けているわけです。

【経営の視点】

にぎり戦争」を勝ち抜く経営戦略

 オムライス、牛丼、ラーメン、ジンギスカン・・・これみんな、おにぎりの味なんです。コンビニおにぎりの具材は百花繚乱、常時30種類以上が展開され、年間新製品の数は50種以上、つまり、毎週のように新しいおにぎりが棚に並んでいるわけです。コンビニ間の商品開発競争も熾烈を極め、「おにぎり戦争」と評されています。

 なぜ、そこまで「おにぎり」なのか?おにぎりは、コンビニ全体で年間20億個以上も消費される超人気商品です。コンビニを利用する人の6割は、おにぎりを買っていくといわれています。景気後退のなか、お弁当の売上げが落ち、おにぎりの売上げが伸びているという傾向もみられます。「AコンビニとFコンビニ、どっちに行こうかな?」と悩んだとき、意思決定に影響するのがおにぎりの充実度合いなんだとか。つまり、おにぎりはコンビニの選好性をきめる重要な要素なわけです。「おにぎり戦争」に勝ち抜く戦略としては、100円以下の価格設定で勝負するコスト・リーダシップ戦略と、160円以上の価格設定だが米や具材の特殊性で勝負する差別化戦略がみられます。もちろん、勝敗はおにぎりの「具材」だけでは決まりません。それを支える、原料調達、調理、製造、加工、物流などの各工程でも、日々イノベーションが行われています。

 最後に問題、海外にも進出している日系コンビニですが、日本と同じ「おにぎり」を並べたのでは売れません。何を、どのように変えればいいのでしょうか?

 答えは、杏林大学総合政策学部企業経営学科で!

【環境福祉の視点】

境福祉の視点でおにぎりについて考える

 おにぎりにはいろいろな具がありますね。みなさんそれぞれ好きな具があると思いますが、特に人気があるのは鮭、ツナマヨネーズ、明太子などだそうです。このうち、ツナはマグロの仲間であるビンナガマグロやカツオなどを原材料にしています。また明太子はスケトウダラの卵です。つまり、人気の高いおにぎりの具には魚という共通点があります。ここではおにぎりを通して、漁業資源や食の安全性のことについて考えてみることにしましょう。

 近年の国際機関の報告によると、世界の主要な漁業資源のうち、75%はもうこれ以上は獲っていけない状態にあります。その理由は、世界中の人々が魚を食べるようになってきたためです。日本の魚の消費量は、世界で最も多くなっていますが、その水準は徐々に減少してきています。一方、欧米や中国、韓国など他の国々の消費量は大きく増加しています。この背景として、健康食として求める人が多くなってきたことや、途上国での所得向上にともなってマグロなどをより多く食べるようになってきたことなどがあります。

 資源が少なくなってしまっている魚には、マグロやサバ、イワシ、タラなどがあります。マグロのなかのクロマグロ(本マグロ)は寿司や刺身などで食べられていますが、資源の状態が特に悪いため、漁獲量を徐々に減らしていくことを決めています。上に挙げたマグロ、サバなどの仲間全てが資源の少ない状態にあるわけではありませんが、この先も魚の消費量が増えていけば、漁業資源の状態がさらに悪化してしまうでしょう。そうなってしまうと、もっと多くの魚についても漁獲量が制限されてしまうかもしれません。

 日本はかつて世界一の漁獲生産量で、自給率も100%を超えていました。現在は生産量が大幅に減少し、輸入量もかなり増えています。輸入されている魚のなかには、海外で養殖されたものもありますが、そうした魚の一部について、安全性を指摘する人もいます。国産の天然ものの方が安全だということです。汚れた海で育った魚には汚染物質がより多く蓄積される可能性があります。食の安全性という観点でも魚の問題はとても重要です。

 ふだん何気なく食べているおにぎりも、このように資源や環境の問題、健康の問題などいろいろな切り口から見ていくことができます。 他のものについても、そのように見てみると新しい発見があると思いますよ。

【会計の視点】

にぎりの販売価格はどう決まる?

 コンビニのおにぎりって、いくらで売られているでしょうか。110円〜130円ぐらいかなあ。最近では160円以上するようなブランドおにぎりもありますね。あるいは「期間限定!100円セール!」なんていう場合もあります。

 でも商品・製品の売上高で売上原価や給料、店舗の家賃など、さまざまな費用を回収しなければいけません。売上は企業にとって、最大の収入になるからです。

 ではこのおにぎりの販売価格はどう決まるのでしょうか。販売価格を決定するためには、コストの計算が必要不可欠です。もしおにぎりにかかるコストの合計よりも、販売価格が低ければ、いくら売っても、そのたびに損失が増えていくことになってしまうからです。もちろん価格戦略ということから考えれば、コンビニのおにぎりは主力商品ですから、集客を第一に考えて、おにぎりでは利益を出さなくても、他の商品で利益を出せばよいことになりますが、その場合でもコストを計算することは重要になってきます。

 それではコンビニで売っているおにぎりのコストはどうやって計算するのでしょう。コストには製造原価と、販売・広告・管理などのコストの2種類のコストに分かれます。  

 製造原価とは単純におにぎりをつくるためのコストであり、おにぎりの材料費、つくる人の労務費、そして経費がかかります。でもこれらのコストにも、例えばお米のようにおにぎり1個あたりいくらというように、製造量に比例して増加する変動費と、おにぎりを包装するための機械の減価償却費のように、製造量には関係なく一定の金額のコストがかかる固定費がありますから、注意が必要です。

 これに対して販売・広告・管理などのコストには、例えばコンビニで働く人の給料や店舗が賃貸だったら大家さんに払う家賃、水道光熱費、さらには広告宣伝のためのコストなど、非常に多彩な費用が含まれます。これらのコストは様々な方法で、1つ1つの製品に配分されることになります。

 このようにして計算されたコストに対して、利益を付加して販売価格は決定されます。だから同じようにコンビニで売っているおにぎりでも、そのコンビニが自社の店舗か賃貸の店舗かで、あるいは広告活動に力を入れているか否かで、コストが変わってきます。したがってそれにともない本当は販売価格が変わってくるはずなんです。100円均一セールなんて、果たして利益が出ているのでしょうか?

2008.11.4

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