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臨床検査部の岡崎充宏博士が新しい抗酸菌を発見
Mycobacterium kyorinenseと命名

 臨床検査部の岡崎充宏博士(副技師長)がヒトの感染症の原因となる新しい抗酸菌Mycobacterium kyorinenseを発見し、その詳細が近く専門誌に掲載されることが決まりました。

 抗酸菌は、ヒトを含む動物の感染症の原因となる細菌の種類で、結核菌もこの仲間に含まれます。今回岡崎技師が発見した新しい抗酸菌は、当院呼吸器内科で治療された感染症患者さんから分離されたもので、既知の抗酸菌と遺伝子配列が異なることから、岡崎博士が呼吸器内科の協力を得て詳細な検討を行いました。その後岐阜大学および大阪市立大学の協力により、他施設の二人の患者さんから分離された菌も同一の菌であることが判明し、合わせてInternational Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology誌に報告し、新菌種と認められたものです。

 なお、新菌種の発見者には、菌の命名権が与えられることになっています。本菌は杏林大学医学部付属病院で分離された菌から初めて同定されたことから、「杏林」の名をラテン語の形容詞に変えたkyorinenseという単語を用いてMycobacterium kyorinenseと命名したところ、これが承認されたものです。

 遺伝子技術の発達により、最近は新菌種の発見数は以前よりも多くなっていますが、大部分は環境中や動物から分離されたもので、ヒトでの感染症の原因となる新たな菌の発見は近年でもまれです。今回岡崎博士が発見した菌は、いずれも肺炎やリンパ節炎の患者さんから分離されその原因であると考えられた菌であり、新菌の発見という生物学的重要性のみならず、感染症の診断治療という観点からの臨床的意義もきわめて高いものであると考えられます。岡崎博士は、従来から微生物の遺伝子検査を積極的に導入し、院内感染対策チームでも主導的な役割を果たしてきましたが、今回の結果は、岡崎技師個人のみならず杏林大学病院の微生物検査技術が世界的にも評価されるものであることを示すと考えられます。また、kyorinenseの名称が菌名として認定されたことも、杏林大学の名を広く知らしめる一助になると思われます。

 なお、近く岡崎博士の論文が掲載されるInternational Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology誌は、新菌種の発見において世界的権威を持つ雑誌で、新菌種と公式に認定されるためには、本誌に掲載されることが絶対条件となっています。掲載は、2009年6月号第59巻(1336-1341ページ)の予定です。

医学部臨床検査医学教授 渡邊 卓

2009.05.28


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