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【トピックス】 法医学・佐藤喜宣教授に、「鑑定医」業績で千葉法相から感謝状

 法務省では犯罪捜査に関し、専門的な立場から司法解剖を行う鑑定医の中から優れた業績をあげた鑑定医を対象に10年ごとに表彰を行っており、本学の医学部法医学教室の佐藤喜宣教授が東京地区でただ一人選ばれました。

 3月9日、東京地方検察庁で感謝状の伝達式が行われ、“多年にわたって鑑定医として刑事司法の適正な運用に貢献された業績は顕著である”として、岩村修二検事正から千葉景子法務大臣の感謝状と記念品が贈られました。

 殺人事件の死因や殺害時刻などを医学的に解明する法医鑑定人は全国で129人いますが、東京警視庁、検察庁から鑑定を依頼される医療機関は主に杏林大、東大、慶応大、慈恵医大の4大学で、他大学もあわせて7人が警視庁検察嘱託の鑑定医を務めています。佐藤教授は1987年2月に杏林大学の教授に就任して以来、東京地方検察庁の嘱託鑑定医として約1000件、これまで1500件の司法解剖に携わってきました。

 佐藤教授が手がけた鑑定の中には、検視の段階で病死と判断されていたのが、司法解剖の結果一転して刑事事件となるケースが何例もあったということです。一方で、鑑定を担当しながら時効になってしまった事件ほど忘れ難く、1994年4月に起きた「井の頭公園バラバラ殺人事件」は今も頭から離れないということです。当時の犯罪捜査はまだ捜査員の経験や勘に依拠するところが多分にありましたが、佐藤教授は初動捜査の重要性とともに、今は常識となっている行動科学的な分析に基づくプロファイリングを以前から提唱していました。

 佐藤教授は「遺族から解剖を嫌がられるケースもあるが、真実が解明されることによって、あとで『よかった』と感謝される。真実を明らかにして遺族のグリーフケア(悲嘆の癒し)につながるようにする、このことが法医学者の役割であり、故人の尊厳を守ることにもなる」と語っています。

 今回の法相感謝状について佐藤教授は「優れた大先輩が受けてきたもので、まさか自分が受けるとは思ってもいませんでした。私に活動する場と役職を与えていただいた杏林学園に深く感謝します」と話しています。

2010.03.16