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【トピックス】 新入生1359人を迎え、平成22年度4月入学式を挙行

 杏林大学入学式が4月4日(日)11時から、春風薫る三鷹キャンパス・松田記念館で行われました。この4月に本学に入学した新入生は、医学部111人、保健学部426人、総合政策学部328人、外国語学部329人、大学院医学研究科10人、保健学研究科14人、国際協力研究科38人、看護専門学校103人の4学部・大学院3研究科・看護専門学校合わせて1359人です。

  式では、この4月に新学長に就任した跡見 裕学長が、「杏林大学の中でぜひしっかりとした形を学んでください。そして本学での学生生活を意義あるものにしてください」と豊かな人生への礎を築いてほしいと語りかけました。続いて松田博青学園長・理事長が壇上に並んだ役職者を紹介した後、「新たに開設された外国語学部観光交流文化学科生と各国から来られた留学生の方を含め、今年も学園に新入生をお迎えできたことを嬉しく思っております。皆さんが自分の意思で様々な活動を行うことを、私どもはできるかぎり支援していきたいと思っております」と式辞を述べました。
来賓を代表して、帝国ホテル顧問を務め、本学でも最近まで講義をされておられた藤居 寛評議員が祝辞を述べ、「今皆さんの胸の中で燃えている『希望という名の火』に一隅の灯、石中の火、燎原の火の、三つの『ひ』を加えていただき、これからの人生を明るく、強く、元気よく歩んでください」と熱いメッセージを贈りました。

  また、在校生を代表して外国語学部4年生阿部矩子さんが「在校生一同、皆さんが入学される今日という日を心待ちにしておりました。大学で得た友人と互いに励まし合い、支え合っていきながら充実した学生生活を送ってください」と歓迎の辞を述べました。
  これに応えて、入学生代表として総合政策学部に入学した花塚理恵さんが、「私たちは杏林大学の学生としての自覚を持ち、失敗を恐れることなく、それぞれの道を確実に歩んでいくことをここに誓います」と跡見学長の前で宣誓の言葉を述べました。

  この日は曇り空でしたが、松田記念館周辺に咲く桜の木々が新入生の前途を祝うように咲き乱れ、新入生たちはこれから始まる大学生活に対して希望に胸を膨らませながら、保護者と記念写真に納まる光景が見られました。

■跡見 裕学長式辞
 学事報告にありましたように、杏林学園の大学院3研究科、4学部、看護専門学校に入学された1359名の皆さん、私ども杏林学園の教職員一同は、皆さんを心より歓迎いたします。この中には、61名の留学生の方が含まれておりますが、外国からの方々を大きな期待とともに、お迎えしたいと思います。
  杏林学園は1966年に初代の理事長である松田進勇先生が開設された、杏林学園短期大学をその第一歩としております。1970年には医学部が、次いで1979年に保健学部、1984年に総合政策学部(当時は社会科学部)、1988年に外国語学部が発足し、人文科学系、社会科学系、自然科学系、医学系と合わせて4学部よりなる総合大学として今日に至っております。この間に、医学、保健学、国際協力の大学院3研究科、医学部付属看護専門学校が設置され、今までに約3万人の卒業生が本学を巣立っております。
さて杏林学園の杏林は何を意味しているのでしょうか。ご存知の方も多いかと思いますが、これは古く中国の廬山に董奉という名医がおり、その方は治療代を受け取る代わりに杏の木を植えていただくということをして、それがやがて広大な杏の林が出来たという故事に、杏林の名は由来しています。校歌にも董奉という名前が出てきておりますので、ぜひ校歌をよく覚えてこの名前も脳裏に刻んでいただきたいと思います。杏林学園は今ここで入学式を挙行している三鷹キャンパスと、八王子に広いキャンパスがあります。この敷地の中には杏の花が咲き乱れるなど非常に環境のいいところでございます。
  それぞれの大学は建学の精神に基づいて教育が行われています。杏林大学の建学の精神は、「真・善・美の探究」というものであります。真は真実・真理を究めるための謙虚な姿勢を表し、善は健全な倫理観に支えられた善き人間性・人格を備えることで、美は他者を尊重する美しい生き方というものでございます。私どもは、建学の精神を具体化するために様々な取り組みを行っており、これにより社会が求める人材を育てていきたいと考えております。
入学生の皆さん、私が学長として皆さんにぜひ学んでほしいと思うことがあります。杏林大学での学生生活で、ぜひ“しっかりとした形”を学んでいただきたいのであります。教育や学問、教養、最近ではまたリベラルアーツというような言葉で語られていること、これらはいずれも関連した内容なのですが、この基本にあるものは“しっかりとした形”を学ぶということであります。勉強では文献の検索の仕方、発表の仕方、論文の書き方という学問的なこともさることながら、挨拶の仕方、食事の仕方、講義の受け方など、様々な形を学ぶということであります。勿論学問の分野、研究の分野でも形を学ぶことから始まります。私たちが実験を始める前には、多くの基礎的なことを学び、実験のやり方をしっかりとまねることからスタートします。そして試験管の使い方、試験管の洗い方など様々なことを学んで、基礎をしっかり身につけ、それがやがて独創的な研究へと至るというのが道筋であります。
 杏林大学の一員として“しっかりとした形”を学んでください。それを自己のものとしていく、そして杏林学園での生活を意義あるものとしていただくのが私の希望でございます。本日入学された皆さんが充実した学園生活を過ごされることを祈って、学長の式辞といたします。


■松田博青学園長・理事長式辞
 今年、新たに開設されました外国語学部観光交流文化学科の学生93名、それと中国・台湾・韓国・マレーシア・スリランカ・インドネシアからの留学生61名を含めて今年も新しい学生をお迎えできたことを嬉しく思っております。
私どもは、皆さんをこの学校にお迎えして共に学問をしたいと思っております。つまり先人が苦労して積み重ねてこられた業績、論文、作品、技術などを学んで、さらに可能であればそれに新たな1ページを加えたいと思います。また私どもは皆さんが学生時代に自分の中身を充実することを求めております。その理由は、数年後に学校を卒業して社会に入るときに、社会から求められる人材として育っているようになっていただくためであります。具体的には、例えばボランティア活動をする、各種の検定試験を受ける、或いはほかの分野の勉強をする、各分野の技術を学ぶ等々であります。これらを皆さん方が自分の意思で、自ら進んで行おうとするときに私どもは出来る限りの支援をしたいと思っております。また同時に、皆さん方が学生時代に自分の意見、自分の考えを自分の言葉や自分の文章で表現して相手に理解してもらい、相手の表現することを理解する訓練を身につけてほしいと願っております。皆さん方が学園生活を楽しみながら、充実した時間を過ごされるように期待して、私の挨拶といたします。


■藤居 寛評議員(帝国ホテル顧問)祝辞
 私は杏林学園の評議員の末席を汚しているものでありますが、最近まで総合政策学部や或いは外国語学部で学生の皆さんにホテルの経営やおもてなし等につきまして特別講義をさせていただいておりまして、たいへん光栄に思っている次第でございます。本日は、甚だ僭越とは存じますが、折角のご指名でございますので、来賓を代表いたしまして一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。
 まずもって、新入生の皆様、本日はご入学誠におめでとうございます。皆様方は、日頃の努力が実り、見事に難関を突破されて胸一杯に喜びを、そして晴々とした気持ちで、今日この日をお迎えになったことと存じます。本当におめでとうございます。そして、ご両親様をはじめご家族の皆様のお喜びもひとしおのことと、重ねてお祝いを申し上げる次第でございます。

 

さて、皆様方がこれから学ばれる杏林学園は、文字どおり医学、看護、保健を中核にした「お医者さまを育てる大学」であると同時に、外国語あるいは総合政策学の修得を通して「社会のリーダーとなれる社会人を育てる大学」であります。その教育理念は、建学の精神である「真・善・美の探究」を通じて「優れた人格を持ち、人のために尽くすことができる国際的な人材を育成すること」が掲げられています。「真・善・美」はまさに人間の理想として目指すべき普遍的な価値であり、永遠に追い求める対象であり、その奥はたいへん深いものであります。どうか皆さん、この杏林大学という理想的なキャンパスで、建学の精神である「真・善・美」を探究すべく一生懸命勉強してください。そして、多くの友人とともに学生生活を謳歌し、楽しい青春時代を送られるよう念願してやみません。特に、この学園生活で得られるであろう先生や友人たちとの新しい人間関係を、皆さんの生涯を通じてぜひとも大切にしてくださるようお願いしたいと思います。大学時代の恩師、友人は社会に出てからもいろいろなところで力になってくれるものであります。
  最近、私はある有名な経営者が書かれた本を読みました。この本は、「人生をいかに生きるか」がその本の主題でありますが、彼はその本の中で「ものには三つのタイプ」がある。
  その1は、火を近づけると燃え上がる可燃性のもの
  その2は、火を近づけても燃えない不燃性のもの
  その3は、自分で勝手に燃え上がる自燃性のもの
そして、人間のタイプもこれと同じで
  ・周囲からの刺激で燃え上がることのできる可燃性の人間 もいれば、
  ・ニヒルというかクールというか、冷め切った態度で少しも燃えない不燃性の人間 もいます。そして、
 ・周囲から何も言われなくても自ら燃え上がる自燃性の人間 もいます。
そして、この世の中で物事を成し遂げ、立派な結果を残せる人間は、自ら燃え上がることのできる自燃性の人間であると断じております。他人から言われて仕事をする、命令を待って初めて動き出す、というのではなく、言われる前に自分から率先してやり始める。そういう能動的、積極的な人間になってほしいと書いてあります。私も全くそのとおりだと思います。
  それでは、自燃性の人間になるためにはどうしたらよいのでしょうか、その最大にして最良の方法は、「何事も好きになることだ」と述べておられます。勉強でも仕事でも「好き」ならば、全力を投入する。やり遂げれば、達成感と自信が生まれる、そしてさらに次の目標への挑戦意欲が湧き上がってくる。こうした繰り返しの過程が、燃え上がり、燃え続ける人間を作り上げていくわけです。
  さて、皆さんは現在、未来への夢と希望という「大きな火」を胸の中に抱いて、アカアカと燃え上がっている自燃性の人間そのものであります。そのような皆様方に、いまさら別の「火」をつける必要はないとは思いますが、私自身が座右の銘としております「三つの『ひ』」をぜひお贈りさせていただきたいと思います。そして皆様方のこれからの長い人生岐路の途中でフッと思い出していただき、何かのお役に立てればたいへん幸いだと存じます。
  まず、第一の「ひ」は「一隅の灯」であります。
  昔、伝教大師・最澄という偉い高僧が、「一隅を照らすものは国の宝なり」と申されました。この言葉は、たとえどんなに小さな灯りであっても、世の中の片隅を明るく照らし出すそういう灯が大切なのだ、すなわち世の中の片隅にいても、人間として誠実に生き、周囲の人たちに幸せと光明をもたらす人、そういう人こそが、国の宝だという教えであります。これを職場に置き換えてみれば、それぞれの持ち場、持ち場でベストを尽くし、明るい職場を作り出していくこと、自分の仕事が好きで、生き甲斐を感じて責任ある仕事をコツコツしていく人、こういう人こそ職場の宝だといえるわけであります。
  次に、第二の「ひ」は「石中の火」であります。
  山本周五郎という小説家の作品の中に「石中に火あり、打たずんば出ず」という言葉が出てきます。
  昔は、ライターはなく、「火打ち石」を使って火花を出し、灯を燈したものであります。火打ち石は、打たない限り永久に火は出てきません。すなわち、行動を起こさなければ、結果は得られないということの例えであります。長い人生には、山もあれば谷もあります。ピンチに遭遇したら、クヨクヨ思案をしたり、尻込みをしないで、勇気を出して行動を起こしなさい、そうすれば必ず障害を乗り越えて前進することができるという教訓であります。
  最後に、第三の「ひ」は「燎原の火」であります。
  この火は、広大な原野を焼き尽くす勢いの激しい火のことです。例えて言えば、横にも広がりを持ちながら前進する「火のスクラム」とも言えます。燃えたぎる情熱とバイタリティーにあふれたチャレンジ精神、そして周囲の人達と肩を組み、お互いを支え合いながら、元気に生きていく協調の姿を表現するものであります。
  今、皆さんの胸の中で燃えている「希望という名の火」に、この一隅の灯、石中の火、燎原の火、この三つの「ひ」を加えていただき、これからの人生を明るく、強く、元気良く歩んでいってください。
  最後に重ねて、この杏林学園で、良き師、良き友に恵まれ、有意義な学生生活を送られることを心から念じ上げて、お祝いの言葉といたします。誠におめでとうございました。


2010.04.06