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【トピックス】 松田理事長インドで講演、名誉教授の称号受ける

 今回の本学園松田理事長のインド訪問は今年6月に、インド南東部のタミルナド州の国立大学・The Tamilnadu Dr MGR Medical Universityの客員教授で山梨大医学部第二外科所属のサミュエル博士が仲介して、同医科大最高責任者のナタラージャン副理事長らが杏林大病院を視察に訪れた際、招待講演の話をいただいたことによるもので、訪問には医学部救急医学の山口芳裕教授、吹野俊郎広報・企画調査室長、KRL村田晋一社長が同行しました。

 インドの医療体制は日本とは大きく異なり、例えば今回訪問したタミルナド州では、前記のThe Tamilnadu Dr MGR Medical University が公立私立を問わず州内の医大や病院の教育内容や管理運営の指導それに医師国家試験の実施にあたるなど絶大な権限をもっています。(医師免許証は各州医師会が発行する)

The Tamilnadu Dr MGR Medical Universityを表敬訪問

The Tamilnadu Dr MGR Medical Universityを表敬訪問

Savera Hotelでの講演会

Savera Hotelでの講演会


 講演は12月10日午前(日本時間午後)、タミルナド州の州都チェンナイ(旧マドラス)市内のSavera Hotelで行われ、同大傘下の私立医科大学KIMS(Karpaga Vinayaga Institute of Medical Sciences )の2年生や医師ら約120名が参加しました。

 講演には、インド国立医師会のタミルナド州支部長やThe Tamilnadu Dr MGR Medical University監督下の私立病院グループ・ディーパム病院のパンディアン院長それに在チェンナイの北川隆行日本首席領事が同席し、インド側の歓迎の挨拶に続いて、北川首席領事が「数年前までチェンナイ市内の日本企業は65社だったのが、今では240社にもなっており、今後とも一層交流を深めたい」と語るとともに「杏林大病院は日本でも優れた病院として評価が高い」と紹介を兼ねて挨拶しました。

 そして講演に先立って、KIMS大学のアンナマライ・レグパシー学長からインド医学教育委員会が認定する同大学名誉教授の称号が松田理事長に贈られました。

名誉教授称号の授与式

名誉教授称号の授与式

名誉教授称号の証書

名誉教授称号の証書

講演する松田理事長

講演する松田理事長


 講演で松田理事長はまず、人口構成や寿命の延び、食料自給率、教育制度、GDPに占める教育費の割合など日本の概況をパワーポイントを使って分かりやすく説明しました。続いて日本の医科大学の数や3割自己負担等の医療保険制度、がん等の症例ごとの保険制度による入院費の上限など日本の医療の実状を紹介、最後に杏林大病院の施設設備の説明など、約40分にわたって英語でスピーチをしました。このあと参加者との間で質疑が行われ、会場からは「インドの診療現場をどう感じたか」「日本に留学することが出来るか」などといった質問が寄せられ、松田理事長は「見学した国立大学病院では外来患者が1万人と聞いたが、あれだけの患者を1日でどうやって診ているのかと驚いている」「留学はここにいる北川首席領事が保証人になってくれるでしょう」などとユーモアを交えながら答えて会場を沸かせました。松田理事長はまた、当地では医療保険会社が州政府から税金の一部を受けて独自の保険制度を設け、住民の60%ともいわれる医療保険が適用されていない貧困層の治療費を負担しているという現状を前日に説明されたのを受けて、会場の出席者に「医師はビジネスに重きを置くのか、命を預かる職業に重きを置くのか」と壇上から降りて問い質したところ、病院の理事(ビジネス派)と医師会長(主として職業と考える派)が会場で正反対の意見を述べる場面もありました。

 両国の国歌が演奏されて講演を終え、その後、出席者全員で立食形式で昼食を共にして歓談し交流を深めました。 

 

 

 

 

 

 

 これより先、チェンナイに7日夜到着して一夜明けた8日、松田理事長の一行はThe Tamilnadu Dr MGR Medical Universityを表敬訪問しました。冒頭に記したように同大学は州内の地域の医学教育・研究のマネジメント機関で、日本との制度の違い等について意見を交換しました。訪問時、最高責任者のナタラージャン副理事長はインド国内の整形外科学会に出席していて不在でしたが、同大関係者との懇談さなかに電話が入り、本年6月の杏林大病院視察から約半年ぶりに松田理事長と親しく言葉を交わしました。

 一行はこのあと、病床数3000のチェンナイ市内最大で、創立175年の歴史を持つ国立のマドラス医大病院を訪れ、病院長の案内で病棟や解剖実習室、献血ルーム、救急処置室等を見て回りました。保険未加入の貧困層の患者の医療の受け皿は公的病院のみであるため、24時間外来対応するという同病院には、1日1万人の外来患者があるということで、午後3時を過ぎても院内の廊下には患者やその家族で至るところで長い列が出来ていました。

マドラス医大病院

マドラス医大病院

救急処置室の様子

救急処置室の様子


 翌9日は、私立の中堅病院、kamatchi Memorial Hospitalを見学、透析室等を見て回り、山口教授は除菌マスクやキャップを着けてICUに入り医療現場の実情を観察しました。一行はゴビンダラジャン病院長と私立病院の経営をめぐって意見を交わしました。同院長は「医師が給料の高い中近東に行ってしまうという問題を抱えている。うまく経営していくためには病院としては富裕層の患者が増えるのを期待している」と語るとともに、近年IT企業の進出が著しく、うつ病患者が増えてきていると地域の特殊性についても言及していました。同病院では救急患者の40%〜50%は助けることが出来ないでいるとの説明があり、90%近い当院の救命率と彼我の違いを感じさせました。

kamatchi Memorial Hospitalの院長と懇談

kamatchi Memorial Hospitalの院長と懇談

ICUを見学する山口教授

ICUを見学する山口教授


 今回のインド訪問はほんの一部の地域を駆け足で見ただけでしたが、人口増に伴い貧困層も増加する中で、医療がいわゆるビジネスとして進展していくのであろうかという疑念を感じる一方で、「親に大きな負担をかけているので早く良い医師になりたい」と眼を輝かせながら講演を聴講していた医学生の純粋な姿に、インド医療界の2つの側面を感じた訪問となりました。

2010.12.24

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