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精神神経科学教室 鬼頭伸輔 講師が日本精神神経学会でフォリア賞を受賞

 5月24日(木)〜26日(土)に札幌コンベンションセンターと札幌市産業振興センターで開催された第108回日本精神神経学会学術総会で精神神経科学教室の鬼頭伸輔講師がフォリア賞を受賞しました。
 日本精神神経学会は、明治35 年(1902 年)の創立と大変歴史があり、会員数が15,000人を超える本邦最大の精神医学・医療の学術団体です。フォリア賞は、日本精神神経学会の英文機関紙であるPsychiatry and Clinical Neurosciences(PCN誌)に掲載された研究論文の中から最優秀論文(原則1名)を対象に授与されます。受賞論文となった研究は「Neuroanatomical correlates of therapeutic efficacy of low-frequency right prefrontal transcranial magnetic stimulation in treatment-resistant depression」で、治療抵抗性うつ病を対象に経頭蓋磁気刺激(TMS)による治療を行い、その抗うつ機序を検証したものです。経頭蓋磁気刺激は、非侵襲的に大脳皮質を刺激し、皮質の活動性を変化させる方法であり、経頭蓋磁気刺激を応用したうつ病の治療には、左前頭前野への高頻度刺激と右前頭前野への低頻度刺激と大きく2種類のアプローチがあります。この研究では、後者の刺激方法を選択しています。その結果、低頻度刺激のTMSが刺激部位である右前頭前野を介して、うつ病の情動障害に関連した前頭葉眼窩野、梁下野などの脳領域の活動性を減少させることでうつ病が改善している可能性を明らかにしました。
 受賞した鬼頭伸輔講師は、「この研究から、治療抵抗性うつ病の病態生理には、背外側前頭前野だけではなく、前頭葉眼窩野、梁下野などの情動に関連する腹内側前頭前野が関与している可能性があり、右前頭前野への低頻度刺激の抗うつ機序の解明に寄与し、また、うつ病患者の脳機能を評価することで、より適切な刺激条件の選択が可能になり、経頭蓋磁気刺激の治療成績が向上すると考えられます。今後も、この受賞を励みにしながら、精神医学・医療の発展のために研鑽していきたいと思います。古賀良彦教授をはじめ医局員、病棟のスタッフに感謝申し上げます。」と話しています。

 
左)鬼頭伸輔講師、右)日本精神神経学会 鹿島晴雄理事長とともに

(医学部精神神経科学教室)


2012.06.01