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Paul Snowden(ポール スノードン) 1946年イギリス・ダービー生まれ。 1972年ケンブリッジ大学キングス・カレッジ修士号取得。 1973-1977年ブルックランズ・テクニカル・カレッジ(英 ウェイブリッジ)でドイツ語、ロシア語を教える。 1977-1983年筑波大学地域研究研究科外国人教師。 1983年早稲田大学政治経済学部専任講師(1985年助教授、1990年教授)。 2004年早稲田大学国際教養学部教授(2006-2010年同学部長)。 2012年4月杏林大学客員教授、2013年4月杏林大学副学長。 主な著書・編書:『ロンドン事典』(大修館書店)、『新和英大辞典第5版』(研究社)、『ヨーロッパ人の見た文久使節団』(早稲田大学出版部)など多数。 |
平成25年4月、杏林大学副学長にポール・スノードン氏が就任しました。
スノードン副学長はイギリス出身でケンブリッジ大学を卒業後、日本の大学教育の中で35年もの経験を持ちます。
この間教科書作成・編集、辞書や事典編集を通して日本の英語教育をはじめ大学教育全般に大きく貢献してきました。
また、30年間早稲田大学で教鞭をとり、2006年から4年間、同大学の国際教養学部学部長を務め、同大学の国際化教育の推進に貢献しました。
昨年4月、杏林大学に客員教授として着任し、本年4月からは副学長として国際交流をさらに進めるほか、本格的に外国語学部を中心に展開している「グローバル人材育成事業」(平成24年度文科省事業として採択)に大きく貢献することが期待されます。
杏林大学は2016年4月、三鷹に新キャンパスを開設することにしており、スノードン副学長は人文・社会科学系の学部を中心にカリキュラムの国際化および再整理を行うとともに、海外協定校を拡大して学生の海外交流を一層推進することにしています。
●ポール スノードン副学長インタビュー
グローバル教育で国際社会へ 飛躍する杏林大学
グローバル人材育成の重要性
—異文化理解と自国文化の再認識
昨年、文部科学省のグローバル人材育成推進事業に杏林大学も採択されました。この事業は、外国語学部を中心に全学でシェアする取り組みです。
日本における国際人の条件の1つに、母語と英語に加え、もう1言語を使えることが入っています。その意味で日本語の他に中国語と英語が話せる学生をつくることは、価値のあるグローバル人材育成につながるといえます。
ところで、グローバル教育によって、日本嫌い、外国びいきになったり、逆に極端な日本中心主義になるのは困りものです。日本人であれば、日本の良さと問題点、外国の良さと問題点を客観的に知ることが大事です。半年間ほど留学すれば、異文化を理解し、しかも自国の文化のよさに気付くようになると思います。このような体験をすることがグローバル教育の意義であり、このような体験をした学生はきっと国際社会で活躍できると思います。
英語による授業と留学生受け入れで国際的なキャンパスに
外国からの留学生を積極的に受け入れることも考えています。日本に大きな関心を持っていても、日本語ができないために日本に留学できない学生が多いことも事実です。英語の授業を用意できれば、彼らにとって英語で授業を受けるチャンスと日本の社会を学べるチャンスが実現できます。英語による授業は、杏林の学生が留学先で力を発揮でき、一方で外国の学生が杏林で学ぶ機会が増えることになります。
移転先の新キャンパスには国際交流のための施設を設けることにしています。多くの留学生を受け入れる環境が整い、日常的に世界各地からの留学生が行き交うキャンパスでは、杏林の学生たちが積極的に留学生と交流する機会も増えるはずで、まさに国際的なキャンパスになると思うと楽しみです。
コミュニケーション力が大事
学生は、知識を身につけ、考える力を磨いていくことの他に、コミュニケーションの能力の養成が大事です。客観的に物事を理解するための分析力、判断力を身につけるスキルの前提として、異なった意見をきちんと聞き、別の立場から物事をみていくというコミュニケーションの力が大事ですが、これもグローバル教育では必須です。
杏林のグローバル教育
杏林大学のカリキュラムはこれから変わります。受験生、保護者、そして企業にこれからの杏林の教育内容についてぜひ知っていただきたいと思います。
杏林の学生は留学して異文化経験を積んでいてタフなグローバル人材が多いという評判が定着していくことが大事です。最初から充実した留学制度があることがわかっていれば、留学したい学生が入学してきます。かつて私も海外留学しましたが、学生時代に外国で一人で暮らすことはとてもいい経験になります。
留学経費については海外のパートナー校と交渉していかに学費を抑えるかいろいろ努力していきます。経済的に難しい学生の場合は、奨学金などの経済的支援をしたり、外国の雰囲気で学べる国内の大学と連携するなどして、選択肢の幅を広げることを考えています。
創立50周年、新しいキャンパスから始まるこれからの杏林大学
八王子キャンパスには優れた教授陣がおられ、カリキュラムのコンセプトがしっかりしていて、その中身も十分整っています。新キャンパスが医学部のある三鷹キャンパスに近接して設けられることによって、4つの学部が、それぞれ個性を発揮しながら、総合大学として上手く融合し連携の効果を発揮していくと思います。
humanities で表される文系と、学問の対象がhuman beingsである医療系に共通するhumanの部分を尊重して、杏林大学らしさを発揮できるカリキュラムを作っていくつもりです。
移転と同時にさまざまな改革が進行していきますが、それはいわゆる冒険です。新しいキャンパスに入ってくる学生たちも冒険家なのであり、一緒に冒険してほしいと思います。
私たちは新キャンパスづくりに向けてこれから3年間いろいろな面で整備を進めていきます。私たちは教育の中身で勝負していきます。
学生が活き活きと意欲的に学び、教職員はやりがいをもって使命を遂行する、そんな杏林大学を創りあげていこうとしています。