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医学部生化学教室研究グループ 妊娠期母体のインスリン分泌亢進のメカニズムを解明

 妊娠期の母体では、胎児へのエネルギー源となるグルコース(ぶどう糖)を母から子へ効率的に供給するために、血中のグルコース濃度(血糖)を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる、インスリン抵抗性が引き起こされます。しかし母体では多量のインスリンを膵臓のランゲルハンス島のβ細胞とよばれる細胞から分泌することでインスリン抵抗性を抑えており、血糖値が上昇しないように調節されています。インスリンが十分に分泌されないと妊娠糖尿病となり、近年、妊婦の診断で約1割程度の割合でこの疾病が見つかっています。しかし、これまで妊娠時のβ細胞のインスリン分泌増大のメカニズムは明らかではありませんでした。

 杏林大学医学部生化学教室の今泉美佳准教授と永松信哉教授らの研究グループは、始めにマウスを用いた実験で、妊娠期に限ってβ細胞でセロトニンが顕著に合成されており、インスリンと共に細胞外へ分泌されることを明らかにしました。次いで、遺伝子操作を行ったセロトニン受容体ノックアウトマウスを用いた実験により、分泌されたセロトニンがβ細胞自身のセロトニン受容体(Htr3)を活性化し、β細胞膜の興奮性を高めることによってグルコース刺激に対する感受性を高めていることを明らかにしました。すなわち妊娠中のβ細胞はセロトニンの作用により通常よりも刺激に応答しやすい状態に準備しており、血糖上昇時のグルコース刺激に対してインスリン分泌が促進されていることがわかりました。

 この研究成果は妊娠糖尿病の成因だけでなく、インスリン分泌不全による2型糖尿病の新たな治療法の開発につながる可能性を秘めたものとして期待されます。この研究は、アメリカ・カリフォルニア大学や順天堂大学、自治医科大学等との共同研究として、11月26日発行されたアメリカの学術専門誌「米国科学アカデミー紀要」110号に掲載されました。

2013.12.24

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