保健学部免疫学の田口晴彦教授が総会長を務る第47回日本無菌生物ノートバイオロジー学会総会が、1月31日〜2月1日、アルカディア市ヶ谷(私学会館)にて開催されました。
本総会は、「常在腸内細菌叢の重要性」をテーマにあげ、炎症性腸疾患や肥満・生活習慣病と腸内細菌叢との関わりについて探ることを大きな目的として開催されました。特別講演では、炎症性腸疾患に対するClostridium butyricumの抑制効果について、金井隆典先生(慶應義塾大学医学部消化器内科 教授)よりご講演頂きました。
また、シンポジウムでは、代謝異常症形成と腸内細菌の関わりについて入江潤一郎先生(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)より、肥満に伴い増加する腸内細菌代謝産物と肝がんとの関わりについて大谷直子先生(がん研究所)よりご講演頂きました。さらに、Helicobacter pylori除菌療法の胃炎への適用拡大というトピックスに関するシンポジウムを開催し、H. pylori診療の現状と問題点について本学医学部徳永健吾講師、H. pyloriバイオフィルム形成に関して米澤英雄講師、H. pylori感染によるmicroRNAのエピジェネティック変化について三室仁美先生(東京大学医科学研究所)、近縁種であるH. suis感染とMALTリンパ腫について松井英則先生(北里大学北里生命科学研究所)よりご講演頂きました。会場では活発な討議が行われ、腸内細菌叢と健康や疾患との関わりについての関心の高さが窺われました。
総会長を務めた田口晴彦教授は、本総会を振り返って、「腸内細菌叢と健康および疾病に関する最新知見が学術発表され、各領域での研究の進展を学び取ることが出来ました。とりわけ、炎症性腸疾患などの原因不明疾患と腸内細菌叢との関連性について更なる研究の進展が期待されます」と述べました。