7月5日(土)、杏林大学三鷹キャンパス大学院講堂において、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の事業推進の一環として、「がんと上手くつきあうために〜抗がん剤治療の専門家からのアドバイス〜」をテーマに連携大学合同市民公開シンポジウムを開催しました。
当日は、あいにくの雨模様にもかかわらず一般市民の方をはじめ医療関係者、学生を含め163名が参加しました。
シンポジウムでは、抗がん剤治療にスポットをあて、治療においてどのような医療サポートを受けられるのかを知っていただくとともに、患者さんとそのご家族が必要とされる支援のあり方をチーム医療の視点から考えようと、医師、看護師、がん相談支援室相談員のがん看護専門看護師、薬剤師がそれぞれの立場から講演を行いました。
はじめに帝京大学医療技術学研究科 南川雅子教授の司会のもと、本学医学研究科腫瘍内科学の古瀬純司教授は、がん治療は手術・放射線治療・抗がん剤治療の3本柱で行われることを説明したうえで、「抗がん剤治療は、進行癌だけでなく、手術や放射線との併用でも効果を発揮する。患者さん一人ひとりの状態にあわせて治療方針を選択する事が大切である。医療の進歩に伴い、苦しい思いをしないで治療とつきあっていける時代になってきた。病気とうまくつき合っていく事が大事」と強調しました。また、本学保健学研究科成人看護学の中島恵美子教授は、抗がん剤治療を受ける方との出会い、治療の開始から終了まで、実際の患者さん方のインタビューに基づいた身体と気持ちの変化を報告し、「医療者は治療について情報提供し、早くから副作用予防と対策が出来るように支え、よき相談者になれるであろう存在なので、がんと上手くつきあうために気軽に声をかけていただけたら嬉しい」と述べました。
続いて、東京女子医科大学看護学研究科 金子眞理子准教授の司会のもと本学医学部付属病院看護部の坂元敦子がん看護専門看護師は、がん相談支援センターの役割と本学医学部付属病院 がん相談支援室の日常の活動を紹介し、「がんを治療中の患者さんと、一緒に悩みを整理し答えを見つけていきましょう。がんになったら始めの一歩としてがん相談支援室の部屋を訪ねて欲しい」と語りました。国立がん研究センター東病院薬剤部の野村久祥がん専門薬剤師は、抗がん剤と上手くつきあうための副作用対策について重点的に述べ、「抗がん剤の副作用は『予防できる副作用』と『そうでない副作用』がある。予防できる副作用の悪心・嘔吐は薬をしっかり服用し、生活上の工夫をする事で軽減できる」と述べるとともに、うがい・手洗い・保湿・身体を清潔に保つなど感染症予防対策の大切さと、それを習慣化することの重要性を指摘しました。
最後に、司会と演者の先生方が壇上に並んでフロアとの質疑応答が活発に行われました。
現在がんの治療を開始されている方や終了された方など会場から実際に困っていることなどの質問が多く寄せられたのに対し、演者たちは医師、看護師、薬剤師それぞれの立場から悩みの解決策をアドバイスしたり、「病院を上手に利用してがんとつきあって欲しい」などと語りかけたりしていました。参加者の方々は2時間半にわたるシンポジウムに熱心に耳を傾け、もっと聞いていたかったとの意見を多く頂きました。
本学は東京女子医科大学、帝京大学、駒澤大学と共同で、平成24年度採択されました文部科学省大学推進事業 がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン「都市型がん医療連携を担う人材の実践的教育プログラム」に取り組んでおります。