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夢を語り、希望を実現するために努力しよう


 入学式にあたり、学長としてご挨拶を申し上げます。
 新入生の皆さん、晴れて杏林学園の学生となられたことを心よりお喜び申し上げます。そして保護者やご家族など関係者の皆様、お喜びはいかほどかと推察いたします。本当におめでとうございます。
 また中国、韓国、ベトナム、台湾からの留学生の皆さん。杏林大学に入学されたことを全教職員あげて歓迎します。杏林大学での学生生活を通して日本の文化にふれ、多くの経験を積んでくださることを期待しています。
 杏林学園の歴史は、初代理事長である松田進勇先生により、1966年現在の三鷹キャンパスに臨床検査技師を養成する杏林学園短期大学が設立されたことに始まっています。1970年には良き臨床医の育成を理念とする杏林大学医学部が創設されました。その後八王子キャンパスに保健学部、総合政策学部、外国語学部が相次いで開設されました。さらにこの間、医学研究科、保健学研究科、国際協力研究科の大学院研究科と医学部付属看護専門学校が設置され着実に発展を遂げてまいりました。規模をみますと新入生の皆さんを含め、在学生5,219名、教職員約3,100名の大きな組織となっています。
 杏林学園の杏林の意味するところを新入生諸君は知っていますか?これは中国の故事に因んだものです。古く中国の蘆山に董奉という名医がおり、彼は治療代を受け取る代わりに患者に杏の木を植えてもらったので広大な杏の林ができたという話です。以来杏林は良医の代名詞となりましたが、本学はそれにちなんだ名称となっています。後で皆さんが歌う校歌にもこのことが示されています。
 私学には建学の精神があります。本学の建学の精神は“眞・善・美の探究を心がけよ”です。眞は真実・真理を究めるための謙虚な姿勢を表し、善は健全な倫理観に支えられた善き人間性・人格を備える事で、美は他者を尊重し、自己を律する事ができる美しい生き方を意味しています。謙虚で他人に思いやりを持ち、正しく生きようということでしょう。口で言うことは簡単ですが、実行は中々難しいものです。建学の精神は、皆さんに“眞善美”の意味するところをよく考え、それにむかって努力しなさいと言っているのです。
 先ほど述べましたように1966年に創立された杏林学園は本年50周年を迎えました。皆さんはその記念すべき年の入学生です。50周年記念事業でもっとも大きなものが、井の頭キャンパスの開設です。八王子にあった保健学部、総合政策学部、外国語学部、保健学研究科、国際協力研究科が、ここ三鷹キャンパス近くの井の頭キャンパスに移転しました。この移転により4学部、3研究科、1看護専門学校が近くなり、お互いの交流がより密になります。
 今本学は、文部科学省の補助事業を複数獲得しています。「経済社会を牽引するグローバル人材育成推進事業」、「地(知)の拠点整備事業」、「大学教育再生加速推進事業—高大接続」、「女性研究者研究活動支援事業」などです。全国の大学で、このように教育に関する補助事業を複数獲得している大学は多くはありません。皆さんが入学する本学の教育面における質の高さ・内容が、高く評価されているからです。
 井の頭キャンパスには英語サロンや中国語サロンなどの国際交流センターがあります。皆さんの語学力向上に役に立つ施設ですし、新しい図書館は自主的な学びができるラーニングコモンズとなっています。留学を希望するかたには英文書類の書き方を指導するライティングセンターがあります。本学の教育は“Moving global, Staying local”であり、地域からグローバルに活躍できる人材の育成を考えています。
 さて、皆さんは今どんなことを考えていますか?大学生活に若干の不安と、一方では期待感も強いことでしょう。特に学生として、何を学ぶのか、学んだ後はどうなるのかは心配なことです。卒業後、医学部、保健学部などの国家資格がある学部生は何となく決まった道があるようですが、それでもまだまだ現実のものとなっていないでしょう。皆さんは将来の夢、希望、目標等についてご両親や教師から聞かれたことがあると思います。どのような夢をもっていますか?
 夢については様々な人が様々なことを語っています。中でも有名なのが、マーチン・ルーサーキング牧師が1963年に“リンカーンの奴隷解放宣言100年”を記念する大集会で行った演説「I have a dream-私には夢がある」でしょう。彼は人種差別の撤廃と各人種の協和という理想を訴え広く共感を呼び、その後の公民権運動に大きな影響をもたらしました。ところで、彼の夢は実現したのでしょうか。どちらかというと夢は実現が難しいものなのです。実現しにくいからこそ夢というのでしょうか。ただキング牧師が夢を語ることにより、その夢の実現に向けて社会は少しずつ動きました。またその夢に向けて様々な希望も呼び起こしました。希望は叶う可能性があるものです。
 「私はキャビンアテンダントになりたい」「英語の教師になりたい」などは夢というよりは叶えられる希望としてあるはずです。皆さんは希望を持ち、その実現に向け、様々な目標に向かって努力をしていくこと、これが重要です。一方、決して夢をなくさないでください。夢はこころを豊かにしてくれます。大きな夢、小さな夢、様々な夢を見て、友人と夢を語り合いながら学生生活を楽しんでください。まさに「I have a dream today!-今日、私には夢がある!」なのです。
 私は毎年新入生の皆さんとお昼ご飯を食べながらお話をする機会を設けています。食事をしながら、是非皆さんの夢、希望、目標を聞かせてください。昼食の時にまたお会いすることを楽しみにしています。
 新入生の皆さん、杏林学園は皆さんを大歓迎いたします。健康に気をつけ楽しい学園生活を送ってくださることを願ってやみません。
 


2016年4月10日 平成28年4月入学式 学長式辞より