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8K軽量カメラを用いた内視鏡外科手術を実施 - 国内外から視察に-

 3月13日と16日の両日、本学医学部付属病院で超高精細映像の8Kの技術を活用した内視鏡外科手術が実施されました。

 8Kは、一般家庭に普及している2Kと呼ばれるハイビジョンのテレビと比べて画素数が16倍、4Kの4倍の精度があって、去年8月から実験放送が始まり、東京オリンピック・パラリンピックに向けても、その動向が注目されています。
この8Kの技術は放送だけでなく、さまざまな分野での展開が期待されており、特に細部まで克明に映像で捉えられる特性を生かして、医療の面での活用に期待が集まっています。

 本学医学部付属病院では、8Kを活用した医療を推進している一般社団法人「メディカル・イメージング・コンソーシアム」と共同で、2014年11月にこの8Kを使った内視鏡手術を世界で始めて実施し、これまでの内視鏡と比べて血管や神経などがくっきりと立体的に映し出され、その有効性が実証されました。
 今回は、8Kカメラを開発しているベンチャー企業のカイロスもメンバーに加わり、使用するカメラも重さが450グラムとこれまでの4分の1以下になったほか感度も4倍以上となり、大きな課題となっていた小型・軽量化と高感度化を実現しました。
 13日と16日の両日あわせて4例の内視鏡外科手術が行なわれ、85インチの大型8Kモニターに映し出される画像を見ながら手術が進められました。

8Kカメラの準備

8Kカメラの準備

85インチ大型モニターを見ながらの手術

85インチ大型モニターを見ながらの手術

 より安全で高度な医療を目指す8Kの活用については、国内外から高い関心が寄せられており、今回の臨床例は早急な実用化を進める観点からも、医療分野のみならず工学の専門家や企業関係者などにも公開して実施され、2日間で60名余りが見学や取材に訪れました。
 特に今回は、「シャープ」を傘下に置いたことでも知られる台湾の「鴻海(ホンハイ)」精密工業」グループの幹部らも来訪しました。「鴻海」は、8Kを代表とした最新の電子製品の開発のみならず、中国などに建設される大規模ながん病院に大型投資を推進していることでも知られ、8Kや医療の分野で世界をリードしていく方針を打ち出しています。

控室では55インチモニターで見学

控室では55インチモニターで見学

左:見学者に説明をする森教授

左:見学者に説明をする森教授

左:2014年使用のカメラ<br>右:小型改良された今回使用カメラ

左:2014年使用のカメラ
右:小型改良された今回使用カメラ

 今回の8Kを使った手術について、このプロジェクトを推進する本学医学部消化器・一般外科の森 俊幸教授は、「画像の鮮明さは格段の向上が見られ、カメラも小型化されて使い勝手もよく、実用化の範囲内に入ってきたと実感した。海外の関心も高く、モニターやカメラが量産化されていけばコストも下がり、未来の手術方式のひとつとして広がっていくと思う」と話しています。

2017.03.16