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医学部桶川隆嗣教授らによる「腎がんにおける腫瘍内代謝へテロ性に関する研究論文」がEBioMedicineに掲載

 医学部泌尿器科学の桶川隆嗣教授と武田薬品工業の研究員らによる腎がんにおける腫瘍内代謝のヘテロ性の存在を示唆する研究論文が、このほどCellとThe Lancetの共同オンライン出版誌EBioMedicineに掲載されました。この研究論文は今後のがんの代謝を標的とした革新的な治療薬開発につながるものとして期待されます。
 本共同研究は、桶川隆嗣教授と武田薬品医薬研究本部癌創薬ユニット原隆人主席研究員らの研究グループにより行われたもので、腎がんの腫瘍を外科的手術で摘出し、腫瘍内の複数部位の組織サンプルを採取、グローバルに代謝物解析を行い、腎がん腫瘍内の代謝物プロファイルが部位により異なることを明らかにしました。さらに、代謝物解析によって明らかになった代謝特性から、ピルビン酸に着目し、腎がんの増殖におけるピルビン酸の役割を研究し、ピルビン酸代謝が腎がんにおける臨床的脆弱性の一つであることを見出しました。
 今日、抗がん剤の効果が限定的である理由の一つに腫瘍内ヘテロ性があります。遺伝子の腫瘍内ヘテロ性はよく研究されており、腎がんにおいても腫瘍内の遺伝的ヘテロ性に関する解明が近年進んできていました。一方、腎がんにおける代謝特性についての腫瘍内ヘテロ性に関する知見はこれまでありませんでした。本研究論文により、がんの代謝解明が進展し、がんの代謝を標的とした革新的な治療薬開発につながることが期待されます。
 桶川教授は、「がんの特性を理解することはより効果的ながん治療の開発に寄与します。我々はがん患者を救う新たな治療を開発するために、引き続きがんの病態解明に挑みたい」と述べています。また、原隆人主席研究員は「大学と企業とが今まで以上に緊密に連携することにより、研究成果をがん患者さんにより早く届けることができるようになることを願います」と話しています。
 腎がんは、2016年に日本で22,803人*1、世界では337,860人*2の新たな患者が生まれているといわれています。現在は、外科的手術、薬物療法(分子標的薬、免疫療法)、放射線療法(局所療法)がありますが、腎がんで亡くなる方は日本では7,500*1人以上、世界では14万人以上*2といわれ、新しい治療アプローチが必要とされています。

*1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
*2) GLOBOCAN 2012, International Agency for Research on Cancer 2017

EbioMedicineの掲載論文はこちら
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2017.4.10
医学部泌尿器科学教室