エルサルバドル政府関係者が、救急患者の病院搬送までの病院前診療に関する制度・体制・機能の整備・強化を検討するため、1月24日に当院を視察しました。
中米に位置する人口約610万人のエルサルバドルでは、2013年に救急患者の搬送システムを開始し、現在、救急治療の体制や機能などの強化を課題として、日本政府へ協力を要請しています。独立行政法人国際協力機構(JICA)経由で支援依頼を受けた、本学医学部付属病院高度救命救急センターの山口芳裕センター長は、2015年から数回現地を視察し、意見交換や助言を行ってきました。
今回は、同国Julio Oscar Robles Ticas保健省副大臣とCarlos Roberto Godínez救急医療国家システム局長、Concepción Castaneda看護部門長が、当院や東京消防庁等を視察するため日本に滞在しています。
当院に到着した一行はまず、跡見 裕学長、大瀧純一保健学部長、岩下光利病院長と懇談した後、都内で4施設のうちの1つ、当院の高度救命救急センターに場所を移し、山口センター長をはじめとする医師の案内で視察しました。
1・2次救急患者の重症度振り分けや救急車による3次救急患者の搬送、CT室での診断や手術などの流れについて説明を受けた他、昨年93%の熱傷患者を治療するなど実績のある熱傷センターや血管造影室なども見学しました。
当院の高度救命救急センターでは、東京消防庁の救急救命士などのスタッフを研修として常時受け入れており、消防庁との連携や救急救命士の養成、医師・看護師・薬剤師などがチームとして迅速かつ適切に行動することの大切さについて説明したりすると、一行からは熱心に質問が寄せられました。東京都の救急患者搬送のシステムや重症度を識別するトリアージの規定、当院の治療実績や受け入れシステムなどについて説明を受けた後、一行は、自国の病院設備や看護部門の強化の必要性などについて、山口センター長に意見を求めていました。
Ticas副大臣は、当院やJICAなどへ協力の謝意を述べるとともに、「日本で得た学びや助言を元に、自国に適した形で新規導入や改善をしていきたい」と抱負を語りました。
4月には、本学保健学部や当院で実務担当者を研修のため受け入れる予定です。