2018年3月をもって、医学部教授を退任される神谷 茂教授の最終講義が、川上速人教授(解剖学教室)の司会のもと3月16日(金)16時から三鷹キャンパスの大学院講堂で行われました。
神谷教授は1994年に杏林大学医学部教授として赴任されて以来、24年間にわたって、感染症学・微生物学領域での教育と研究に携わってこられました。
最終講義は「感染病態の解明を目指して」と題して、神谷教授がこれまで取り組んできた幅広い研究活動を紹介されました。講義では、研究をスタートしたきっかけについて、英国留学時代のClostridium difficile毒素精製、無菌動物を使った肺炎マイコプラズマや腸管出血性大腸菌の感染実験などを紹介しました。Helicobacter pylori(ピロリ菌)を対象とした研究テーマの中からは病原性発現におけるクオラムセンシング機構の役割について、ピロリ菌のバイオフィルム形成と病原因子および薬剤耐性について、さらには百日咳菌における緊縮応答の役割について解説しました。そして国際協力機構JICA国内委員として感染症研究対策プロジェクトに参加した際の、ケニアの様子を現地で撮影した写真と共に紹介された内容が印象的でした。
講義の最後のスライドでは、私たちへのメッセージとしてドイツの細菌学者Paul Ehrlichの言葉を紹介しました。それは、“研究者には4つのGが必要である”という言葉で、4つのGとはGeshick(技術)、Geduld (忍耐)、Geld(資金)およびGlück (幸運)のことです。神谷教授にとってのGlück(幸運)とは杏林大学医学部にて良い仲間に恵まれ、教育と研究に携わることができたことであると講義を締めくくりました。
講義のあとには、遠方から本最終講義に参加いただいた先生方、学内の先生方、ESS部の医学部生などからお祝いの花束が贈られ、神谷教授に感謝の言葉が述べられました。