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医学部生がセッション「ハンセン病に学ぶ」を開催

 医学部では2021年度の1年生が、「ハンセン病に学ぶ」をテーマとしたセッションを開催しました。

 本来であれば医学部の1年生は、入学して間もないこの時期に、学童保育所や高齢者施設、福祉施設等での体験学習を行います。しかし、今年度も新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、地域での活動を控え、代替プログラムを実施しています。代替プログラムは、「ハンセン病に学ぶ」をテーマとして、映画「あん」を視聴したり、それぞれの問題意識に基づいて思考を深めたりしています。6月25日(金)には、その学びの一環として「ハンセン病に学ぶ」と題したセッションを開催しました。

 当日は、国立療養所多磨全生園名誉園長 石井則久氏から「医師としてのハンセン病との関わり」と題して、らい菌から発症するハンセン病の症状、治療の歴史や進歩の過程、西欧で宗教的規範の下に行われていた行動制限、偏見や差別などの歴史、日本での隔離政策や国立療養所での患者さんの生活などについて、課題点も含めてご講演いただきました。
 続いて、同施設で入所者の眼科診療を担当している本学医学部 重安千花非常勤講師から「眼科医としてのハンセン病との関わり」と題して、ハンセン病に伴う眼科疾患や療養所での診療、入所者の方から学生に向けた動画メッセージなどが紹介されました。
 その後、石井先生、重安先生と学生達とのトークセッションが行われました。「偏見や差別はいけないと分かっていても、自分にも自然と湧き上がるものだと気づいた。偏見や差別が起こることについてどう思いますか?」という学生の質問に、石井先生は「他人と比べて違いを感じたり、区別する気持ちは誰にでもあるもの。大事なことはその先どうするか」だと、医師として個人としてのあり方を問いかけました。また、日本での隔離政策に反対した医師を取り上げ、「自分の主張を曲げずに通した医師についてどう思うか?」との質問には、「物事には絶対正しい、絶対誤りというものはない。多面的に見ることが大切」などと言及しました。

石井則久先生

石井則久先生

重安千花先生

重安千花先生

 
 セッションの運営では、学生11名による「チーム6.25」が大活躍しました。

司会:飯塚悠太さん

司会:飯塚悠太さん

開会の挨拶:田中愛理さん

開会の挨拶:田中愛理さん

トークセッションファシリテーター :<br>曽根健太郎さん、鎌田 紬さん

トークセッションファシリテーター :
曽根健太郎さん、鎌田 紬さん

閉会の挨拶:寺山礼子さん

閉会の挨拶:寺山礼子さん

 ファシリテーター(進行役)の2人は、先生方の回答を要約して学生達へ橋渡しをするなど、トークセッションを円滑に進行していきました。会場の設営、レイアウト変更、質疑応答のマイク回し等にも6名の学生が奔走しました。

トークセッション

トークセッション

 参加した学生達からは、「インターネットや自主学習だけでは気づくことのできない視点や問題点に気づくことができた」、「偏見や差別が起こってしまうことを踏まえ、自分自身はこれから沢山のことを学び、知識を元にきちんと判断できる医師になりたい」などの感想があがりました。

 司会を務めた飯塚悠太さんは、「運営のため、先生方にご挨拶をしたり、内容を検討したりすることで、礼儀や仕事を経験することができました。また、司会としてセッションの内容を的確に把握しようと心がけたことで、自然と今回のテーマを深く理解することができました」と感想を述べています。
 トークセッションでファシリテーター(進行役)を務めた曽根健太郎さんは、「大変緊張しましたが、学生達と講師をつなぐ役割として、学生達の質問をなるべく深く掘り下げることに尽力しました。聞きながら考えて、相手の様子を見て発言することは、医師として臨床の場でも必要な能力のため、これからも研鑽していきたい」と抱負を語りました。

2021.7.9
医学部医学教育学教室 講師 江頭説子