難病の炎症性腸疾患(IBD) 多施設での研究がJournal of Gastroenterologyに掲載

 本学医学部消化器内科学教室を中心に多施設で行った、炎症性腸疾患に関する共同研究が、「Journal of Gastroenterology」 に9月30日に掲載されました。
 本誌は、日本消化器病学会の公式英文誌でインパクトファクター7.527と消化器領域では世界のトップ10に入る雑誌です。
 若年層で発症する炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease :IBD)は、年々患者数増加傾向にあり、日本では難病に指定されている疾患です。
 中等症以上のIBDの治療では、ステロイドなどの免疫抑制性の薬剤が使用されますが、チオプリン製剤を内服しているケースで、Epstein-Barr virusに初感染した際、血球貪食症候群が重症化するリスクが欧米で報告されています。
 Epstein-Barr virus(以下EBV)とは、Burkittリンパ腫や上顎癌などの悪性腫瘍、免疫不全状態や臓器移植後に発生するリンパ増殖性疾患(LPD)にも関与しているウイルスです。
先進国では近年、衛生状況の改善に伴い若年者での未感染者の割合が増加していることが報告されていますが、日本では現在のIBD患者におけるEBV既感染率(抗体保有率)は明らかになっていません。

 本研究は、本学を中心に、国立成育医療研究センター、札幌医科大学消化器内科、順天堂大学小児科、埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科の計5施設で、小児を含めたIBD患者495症例を対象にEBV抗体価を測定し、年齢別のEBV既感染率やIBD治療薬(とくにチオプリン製剤や生物学的製剤)の使用状況を検討しました。
 その結果、20歳代でもEBV未感染患者が約30%であり、チオプリン使用患者の約28%はEBV未感染者であることが明らかになりました。IBD患者における小児から成人まで年齢階層別にEBV感染状況とチオプリン製剤内服状況を検討した報告は世界的にも希少なものです。
 現在、EBV未感染者の前向き観察研究も開始されており、今後のさらなる研究結果が期待されています。
掲載された研究はこちら:『Multicenter, cross-sectional, observational study on Epstein–Barr viral infection status and thiopurine use by age group in patients with inflammatory bowel disease in Japan (EBISU study) 』(リンク)

2021.10.12
杏林大学医学部 消化器内科学教室