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新型コロナウイルスに感染した炎症性腸疾患(IBD)患者の治療への影響調査の中間報告

 厚労科学研究費難治性疾患政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(研究代表者 久松理一)が主導していた「本邦における新型コロナウイルス感染IBD患者のレジストリー構築」Japan COVID-19 surveillance in inflammatory bowel disease (J-COSMOS) の中間解析結果がJournal of Gastroenterologyに記載されました。本誌は、日本消化器病学会の公式英文誌でインパクトファクター7.527と消化器領域では世界のトップ10に入る雑誌です。
 本研究は研究班が主導してオールジャパンでおこなったCOVID-19に罹患した日本人炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease, IBD)患者のレジストリの中間報告です。
 J-COSMOSには72施設が参加し、2020年6月から2021年10月にかけて187名の患者さんが登録されましたCOVID-19感染拡大当初、IBDであることがCOVID-19のリスクになるのかどうか、IBDに対する治療薬がCOVID-19の経過に影響を及ぼさないのかどうかなど、さまざま未解決の疑問がありました。これらを解決するには実際のデータを収集する以外になく、特に人種による違いの可能性も含めて日本人のデータが必要でした。
 そこで難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班が主導し本研究が行われました。本研究は現在も継続されていますが、IBD患者であることがCOVID-19重症化リスクとならないことなど、いくつかの課題について答えが出てきました。そこでかかりつけ医の先生方にいち早くお知らせすることを目的に中間報告として公開することになりました。もちろん日本人IBD患者で初めてのデータですし、同じように免疫抑制治療を行う膠原病・リウマチ領域にも参考になると思います。
 本試験で杏林大学消化器内科の登録数は全国トップ5に入っています。杏林消化器内科小腸大腸班のスタッフの貢献はとても大きなものでした。

掲載された研究はこちら『Interim analysis of a multicenter registry study of COVID-19 patients with inflammatory bowel disease in Japan (J-COSMOS)
Nakase H, Hayashi Y, Hirayama D, Matsumoto T, Matsuura M, Iijima H, Matsuoka K, Ohmiya N, Ishihara S, Hirai F, Abukawa D, Hisamatsu T; J-COSMOS group.
J Gastroenterol. 2022 Jan 28:1-11. doi: 10.1007/s00535-022-01851-1.

2022.1.31
杏林大学医学部消化器内科学教室
文責 消化器内科教授 久松理一