潰瘍性大腸炎 内視鏡検査に代わる負担軽減 腸管エコー検査の評価方法確立に向けて

 本学医学部消化器内科学において三好 潤学内講師らを中心に実施した、潰瘍性大腸炎における腸管エコー検査の新規評価方法についての研究が、Journal of Gastroenterology誌に2022年1月24日に掲載されました。本誌は、日本消化器病学会の公式英文誌でインパクトファクター7.527と消化器領域では世界のトップ10に入る雑誌です。
 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)は、日本において難病に指定されている疾患であり、患者数が増加傾向です。UCの原因は不明であり、今日の治療目標は、炎症が改善・消失した状態(寛解)を維持することとなっています。UCにおける診断、病勢評価のゴールドスタンダードは内視鏡検査であり、内視鏡的寛解が長期的予後に重要であることが示されています。
 一方、内視鏡検査は患者様への負担などを考えると頻繁に実施することは困難です。そこで、最近、侵襲なく繰り返し検査できるモニタリングツールとして腸管エコー検査が期待されています。UCにおける内視鏡的寛解を推測する簡便な腸管エコー評価方法を確立することは、重要な臨床的課題と考えられます。

 本研究では、粘膜下層が腸管全層に占める割合(submucosa index, SMI)という新たな指標を考案し、このSMIが潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を推測する腸管エコー所見の一つとして有用と考えられることを報告しました。SMIは、Bモードの観察のみで評価できること、計測値から定量的に評価できることが利点と考えられます。
 本教室では、UCをはじめ炎症性腸疾患診療における腸管エコー検査の評価方法の確立、普及を今後も進めて参ります。

掲載記事はこちら:『Ratio of submucosal thickness to total bowel wall thickness as a new sonographic parameter to estimate endoscopic remission of ulcerative colitis.
Miyoshi J, Ozaki R, Yonezawa H, Mori H, Kawamura N, Matsuura M, Hisamatsu T.
J Gastroenterol. 2022. doi: 10.1007/s00535-021-01847-3. PMID: 35072789.

2022.1.31
杏林大学医学部 消化器内科学教室
文責 教授久松理一