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心臓血管外科学 市川任期助教が外科手技を競う国際大会で優勝

 昨年11月12日に開催された血管吻合技術を競う国際大会「Distal Bypass Competition2022 」に本学医学部心臓血管外科学教室 市川洋平任期助教が参加し、優勝しました。
 本大会はDistal bypass手術の更なる発展を目指して、重症下肢虚血治療の権威である旭川医科大学の東 信良教授の主導の下、日本血管外科学会、米国血管外科学会、欧州血管外科学会の共同で開催されました。大会ではまず、模擬血管(写真)を用いた縫合のビデオ審査による予選が行われ、アメリカ代表1名、ヨーロッパ代表1名、日本代表2名、計4名の決勝進出者が選出されました。
 決勝戦は、それぞれの参加者が自国で血管吻合を行い、その模様をライブ中継で共有しながら採点されました。市川助教は、86.67点と高得点を獲得しての優勝となりました。


***市川洋平助教のコメント***
 「Distal bypass手術」とは、下肢の血流不全を原因として足趾などに壊死をきたす疾患である「重症下肢虚血」に対して行われる「足の血管へのバイパス手術」です。強い動脈硬化性病変を有する直径2mm前後の細い下腿動脈(前脛骨動脈、足背動脈、足底動脈など)への血管吻合を行う本術式は、血管外科の中でも最も高度な技能を要求される手術の一つであり、成功のためには日々の鍛錬の積み重ねが不可欠です。
 大会は米国・欧州・日本から審判として選出された5名に、同様に各国から選出されたコメンテーター8名を加えた計13人もの著名な血管外科医にリアルタイムで批評を受けながら血管吻合を行い、独特の緊張感がありました。しかし、日常の修練や手術でこれほど多くの自施設以外の医師に自分の手技を評価していただく機会はなく、非常に得難い経験となりました。
 今回は優勝の栄誉にあずかることができましたが、各国代表の繊細で質の高い手技にはそれぞれ見習うべき点が多く、今後の大きな糧になる大会参加でした。患者さんに貢献度の高い良き血管外科医となれるよう、この結果を励みに生涯に渡り鍛錬を継続したいと思います。

左)市川任期助教、右)布川客員教授

左)市川任期助教、右)布川客員教授

***医学部生、研修医の皆様へメッセージ***
 当医局では若手のうちから、血管モデルを用いた安全で効果的なトレーニングに始まり、ハイレベルな指導医の先生方の手厚いバックアップのもと多数の手術を経験することができます。今回の結果は決して私個人に秀でた才能があるからではなく、医局の指導体制が充実していることの証左に他なりません。
 「血管を縫う」ことに少しでも興味がある医学生・研修医の先生がいましたらぜひお声がけください。トレーニングの方法やコツ、血管外科医の生活など全てお伝えします。

2023.6.26