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医学部救急医学教室の荻野聡之助教がHypertension Research Award 最優秀賞

 医学部救急医学教室の荻野聡之助教の論文が、第15回Hypertension Research Award 最優秀賞を受賞しました。論文は、日本高血圧学会の英文学術誌であるHypertension Research誌に掲載された「Roles of the mechanosensitive ion channel Piezo1 in the renal podocyte injury of experimental hypertensive nephropathy(高血圧性腎障害マウスの腎糸球体ポドサイト障害におけるメカノ感受性イオンチャネルPiezo1の役割)」です。
 高血圧が長期間持続すると、心血管・脳・腎臓などの標的臓器に合併症を引き起こします。特に腎臓が障害されると蛋白尿が出現し、適切な治療が行われないと最終的に高血圧性腎硬化症を引き起こし、血液透析が必要となったり、心血管病を発症したりします。私たちの体の細胞が高血圧をどのように感知し臓器障害に至るか、その分子メカニズムは長い間謎に包まれていました。今回の論文では、蛋白尿の原因として重要な腎糸球体ポドサイトに着目し、ポドサイトがメカノセンサーPiezo1を介して糸球体高血圧や伸展刺激を感知し、Rac1活性化、ポドサイト障害を引き起こすことを、高血圧性腎硬化症モデルマウスや培養細胞を用いて明らかにしました。
 表彰式は、10月13日に福岡国際会議場で開催された第46回日本高血圧学会総会で行われました。荻野助教は、「このような名誉ある賞を受賞できることは身に余る光栄であり、大変嬉しく思っております。臨床と研究をつなぐPhysician Scientistは、私が目指す理想の姿ですが、簡単になれるものではありません。私は10年以上救急医療に携わる中で、次第に基礎研究への関心を抱くようになりました。同学の肉眼解剖学教室において基礎研究の指導を受ける機会に恵まれ、長瀬教授をはじめとする教室の皆様、そして研究中に臨床の現場を支えてくださった方々に、心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も臨床・研究・教育に精進していく所存です」と述べています。
 昨今、医師の働き方改革により臨床医の研究離れが全国的に問題となっていますが、リサーチマインドを持ち続け、Physician Scientistを目指す医師が増えることを祈念します。

写真左から、Hypertension Research 編集賞苅尾七臣先生、荻野聡之先生、日本高血圧学会理事長 野出孝一先生


2024.10.16
杏林大学医学部 肉眼解剖学教室 教授 長瀬美樹