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医学部肉眼解剖学教室 長瀬教授らの論文がBest of ASN Journals 2024に選出

 10月23日から27日にサンディエゴで開催された米国腎臓学会 (Kidney Week 2024)で、医学部肉眼解剖学教室の長瀬美樹教授らの論文がBest of ASN Journals 2024に選出されました。この賞は、アメリカ腎臓学会雑誌 (ASN Journal)であるJASN, CJASN, Kidney360に2024年に掲載された論文のうち、(1)急性腎障害と集中治療室腎臓学 (2)糸球体疾患 (3)慢性腎臓病の治療の進歩 (4)長期透析患者のケア の4部門において、最もインパクトの高かった論文が選ばれるものです。
 今回、杏林大学(肉眼解剖学、顕微解剖学、腎臓・リウマチ膠原病内科、泌尿器科)・東京工業大学(東京科学大学)・順天堂大学・藍野大学・国立あおやぎ苑立川の共同研究による下記論文が、(2)糸球体疾患部門のJASN論文のbestに選出されました。
 蛋白尿の成因として、これまで糸球体上皮細胞(ポドサイト)に関する研究は活発に行われてきました。一方、糸球体内皮障害に関する報告は限られており、障害マーカーや解析手法は十分に確立していませんでした。本論文は、Adgrf5という受容体蛋白が糸球体内皮細胞の形態と糸球体濾過バリア機能に必須であることを示したものです。Adgrf5ノックアウト(KO)マウスはアルブミン尿や腎機能障害を発症し、電子顕微鏡にて糸球体内皮細胞の形態異常所見を認めました。さらに糸球体内皮細胞の単離法を確立し、Adgrf5下流で変化する遺伝子として、基底膜構成分子(Col4a3, Col4a4)、転写因子 (Klf2) などを同定しました。
 長瀬教授は、「今後も学内外との共同研究により注目される研究成果を発信していきたい」と述べています。

掲載誌:Journal of the American Society of Nephrology
論文タイトル:Glomerular Endothelial Cell Receptor Adhesion G-Protein-Coupled Receptor F5 (ADGRF5) and the Integrity of the Glomerular Filtration Barrier
著者:Miki Nagase, Hikaru Ando, Yoshiaki Beppu, Hidetake Kurihara, Souta Oki, Fumimasa Kubo, Kazuki Yamamoto, Takashi Nagase, Shinya Kaname, Yoshihiro Akimoto, Hiroshi Fukuhara, Tatsuo Sakai, Shigehisa Hirose, and Nobuhiro Nakamura
DOI:10.1681/ASN.0000000000000427

2024.11.9
杏林大学医学部 肉眼解剖学教室