受験生サイト サークル紹介 学生支援ポータル 学納金サイト  [在学生・保護者専用]

ヘルモカレッジ留学から帰国した学生の留学体験記を紹介します

2019年度 ヘルモカレッジに留学した学生の体験記を紹介します。


渡航期間:2019.9~2020.1
—————————————————————————————————————————
総合政策学部総合政策学科 飯尾 啓瑛

 私はベルギーにおいて2つのことを学びました。1つは多文化共生において必要なマインドについて、もう1つは、人間はどこに行こうが変わらないという点です。
 留学先のHELMoカレッジにて、私は様々な国から来た学生と一緒にインターナショナルクラスに所属していました。主にEU地域からの学生が多い印象を受けましたが、同じ留学生同士ということで日常的に授業中に助け合ったり、現地施設の利用方法を教え合ったりしていました。そうして生活の一部をクラスメイトと過ごしている中ではもちろん文化の違いが数多く存在します。簡単な例を出すならばスペインの文化であるシエスタ(仕事や授業などの合間に挟まれる休憩時間の事)が無いため集中が途切れるという意見が授業中に出たことが挙げられます。生活習慣のみならず、物事に対する考え方の違いも出てきます。それはお互いにとっての「当たり前」のラインが存在するため、一概にどちらが正しいと言えるものでもありません(これは日本人の例ですが、日本人は「YES」と口で言っているが「NO」の意味でもこれを用いる。といったような)。こういった文化的相違についてはビジネスの授業でも度々耳にしました。問題はそういった状況に直面した時どのように対処すべきなのかという点です。留学生活を終えた結論として、このような場合は互いの理解と合意可能ラインの設定が重要であると考えました。相手の文化を知ると共に自らの文化を相手に伝え、誤解を無くした上でお互いの妥協点を探るのです。互いに代え難いバックグラウンドがあり、どうしても踏み込まざるを得ないならばせめて合意できるラインを敷いた方が物事は円滑に運びます。自他の相違に直面する、これは日本人と他国人の間だけでなく同じ国籍・コミュニティ間においても多々発生しうる問題です。そんな時は互いの立ち位置を理解した上で折衷をしていくべきだと自身の体験から学びました。
 留学中、他の留学生や現地の学生とコミュニケーションを取っていく中で感じたことがあります。それは国籍や言語が異なっていても人の在り方というのは変わらないということです。前述した内容と反対のことを言っているようにも思えますが、ここで私が伝えたいのは多少の差異はあれど、基本的な価値観や行動は共通しているという点です。私は留学するまでヨーロッパの人は高度な社会制度を持っていたり、EU外の人間に対しては排他的であるという固定観念を持っていました。ですが実際にベルギーで生活してみると、そういった感想は特に出ませんでした。社会システムに関して言えば差異はあり日本より良いと思うものもありましたがその逆も然りで運営方法が少し違うだけだと感じました。また、アジア圏から来た私を排斥するでも無駄に持ち上げるでもなくただ一人の人間として接されました。地元に根付くバーで現地の人と他愛のない世間話をする機会がありましたがその会話の内容も家族の事や好きなサッカークラブの話など、ごくありふれていて地に足の着いた話題ばかりでした。学生が集まる週末の野外イベントや記念日のパーティにおいて、彼らは普通に下世話な話もしますし一気飲みのコールをしてはしゃぎもします。最初こそは敬遠されていたものの、話してみれば自分たちが持つ視点や会話の内容などは似たような高さにあるというように感じました。その姿は私の知る日本人の姿と全く変わりません。道に迷った時やコインランドリーの使い方がわからないときなどには聞けば丁寧に教えてくれますし逆にこちらが訊かれることもありました。文化の差異は確実に存在します。ですが根本的な行動は立場相応に普遍的であると感じました。ヨーロッパ市民全員が高尚な意識を持つわけではなく、個々人のつながりにおけるコミュニケーションは日本のものと大差はないと留学を通して実感しました。