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【トピックス】 「湧水と水文化フォーラム」で留学生3名がスピーチ

「湧水と水文化フォーラム」が平成21年10月17日(土)、八王子エルシィ(八王子市八日町)で開催され、本学の留学生 朴效眞(パクヒョジン)さん、銀ショウ(ギンショウ)さん、白冰(ハクヒョウ)さんがそれぞれ韓国、モンゴル、中国の水文化についてスピーチをしました。
このフォーラムは、「未来を託す子どもたちへ—守ろう!湧水、伝えよう!水文化—」をモットーに、東京八王子西ロータリークラブ・八王子市・八王子市教育委員会・八王子商工会議所などによって開催されたものです。
今回のフォーラムは、水文化について学者による講演のほか、湧水分析結果の発表もあり、盛り沢山の内容でした。本学の3名は「留学生による発表」の部門で「私の国の水文化」と題するスピーチを行いました。
日本では昔から「湯水のごとく使う」などの言い回しがありますが、そのような日本では到底想像の出来ない「水事情」について留学生はそれぞれ具体的に話しました。  
内外の水事情の話はいずれも参会者全員にとても興味深く、印象的なものでした。「水にもっと感謝しなくては」「当たり前だと思っていた水が貴重であることに気付いた」「地球の環境を守らなければ」という感想が聞かれるなど、私たちの水に対する考え方を大きく変える、とても有意義な催しでした。

(外国語学部教授 今泉喜一・玉村禎郎)



朴效眞さん、銀ショウさん、白冰さんが行ったスピーチの要旨を紹介します。

留学して知った水の価値 (要旨)
杏林大学外国語学部 朴效眞

韓国にいるときはいつも両親に水を節約しなさいと言われていました。でも私は無頓着に水を使っていました。水は蛇口を開ければすぐ得られるし、のどが乾いたらコンビニですぐ買えるものなのに、なんでそんなに節約する必要があるんだろうと思いました。
水の大切さに気づかないまま日本に留学してきましたが、一人で生活を始めて、光熱費を自分で払うことになって、やっと自分が水を無駄に使い続けていたことに気がつきました。水は高いものでした。水を生活で使えるようにするために、また飲めるようにするために、様々な努力が払われていたのです。たくさんの費用がかかっています。水はお金を払ってしか使えないのでした。
留学してはじめて水の価値・ありがたさに気づき、水に関わる人々のご苦労を忘れないようにしよう、いつも感謝の心を持つようにしようと思うようになりました。


モンゴル人として知る水の大切さ(要旨)

杏林大学大学院国際協力研究科 銀 ショウ
 

20世紀は領土紛争の時代だったが、21世紀は水紛争の時代になる、といわれています。世界的に人口が増加し、生活が向上したことにより、水の需要が爆発的に増大し、水の不足は、生活用水の不足だけではなく、深刻な食料不足をもたらし、さらに生態系にも影響を与えています。
モンゴルというところを御存じですか? モンゴルでは水は非常に大切なものです。水資源となっているのは川の水です。人間も、家畜もみんな同じ川から水を飲みます。モンゴルでは、こういう川を「母川」と呼ぶのです。子供のころはよく、お婆さんが川沿いで、川を拝んでいるのをよく見かけました。
その大切な川は雨など降らないとすぐに乾いてしまいます。雨といっても、そんなに頻繁に降るわけでもなく、1年にせいぜい5、6回しか降りません。モンゴルの人たちは雨が大好きで、私も子供のころは雨が降るたびに祭りにでもいくかのようにはしゃいだものです。
しかし、ここ10年、モンゴルでは降水量が激減し、年に1回しか降らないことも少なくありません。そのため、馬や羊などの家畜が水不足により死んでいくことも多いのです。
それに比べ日本は非常に水資源に恵まれた国で、日本だけを見ていたのではモンゴルの水不足は想像もつきません。しかし、モンゴルだけではなく地球規模で、水の危機が迫っているのが現実です。
皆さんには水の大切さを知っていただきたいです。もし、モンゴルで、今からでも元のように年に6回、いや5回だけでも、雨が降ってくれれば、モンゴルはまた昔のような豊かさを取り戻すことができるはずです。水はそういう大きな力を持っています。
皆さんには、今の水に恵まれている巡り合わせを誇りに思い、その上で、感謝しながら、水を大切に使っていただきたいと思います。


私の国の水文化(要旨)

杏林大学大学院国際協力研究科 白 冰


私の出身である山西省は中国の北の方に属していて、周りは全部大きな山ばかりで海が見えないところです。中国の一番長い河「黄河」は山西省を横切っています。「黄河」はその名の通り「黄色い河」です。もし丼で黄河の水を盛りつけたら、多分三分の二は黄砂だと思います。もちろん、多くの処理をしないと飲めないですよ。
私が日本に来て不思議だと思ったことの一つは、水道水がそのまま飲めるということです。私の故郷だけでなく、中国ではどの地域であってもありえないことです。地域によって水の味はしょっぱかったり、にがかったりしますが、とにかく水道水をそのまま飲んだらお腹を壊すというのが一番の問題です。水道水を一度沸かさないと絶対飲んじゃだめだよ、と小さい頃両親や先生に教わりました。
中国では、いまだに井戸を使っている人々がいます。何時間もかかって何キロも歩いたところにある井戸や渓流から水を運ぶのが、山の奥に住む人々の日課です。
私の住んでいる町には、小さな泉が一つあります。その泉のお陰で、小さい頃からきれいな水を飲んでいました。20年ぐらい前に、近くに化学工場ができ、工場の廃水で泉が汚染され、今ではもう完全に飲めない状況になりました。
そのため、政府は水道を各家庭に引いたのですが、心配なく水を使える状況にはまだ至っていません。日本に来て5年近くたちましたが、点検を除くと、「停水」ということは一度もありません。私の地元では「停水」はごく普通のことで、台所には水を貯める容器をたくさん置いています。その水は、まず米や野菜などを洗い、そのあと掃除用に使い、最後にトイレの洗浄水に使います。
また、日本人は毎日お風呂に入ったりシャワーを浴びたりということがあたりまえだと思っているでしょう。私の地元では、夏には週1回、冬には2週間に1回シャワーを浴びるのが普通です。日本で長く生活する私にはこの習慣が身に付いてしまい、地元に帰ると厳しくお母さんに叱られます。「水もったいないから贅沢に使うんじゃないよ」と。私の故郷では、水の大切さを常に感じています。


2009.12