第43回Academia 外国語学部公開研究会 実施報告
第43回アカデミア(2011年6月15日(水)於E105教室)
題目: 中世・ルネサンス英国における「予言」の効用:政治利用されたアーサー王
発表者: 高木眞佐子准教授
発表要旨: 本発表では、ウィリアム・キャクストン刊行の『アーサー王の死』書き換えを巡る幾つかの問題を扱った。第一は、キャクストンによるテキストの書き換えには、チューダー朝成立に行われたのではないかと疑われる、「史実と符合しすぎる」点があること。第二は、出版日付の改ざんの可能性があると思われることで、そこには『イングランド年代記』にも見られるバラ戦争時代の「政治的予言」の応酬との類似が見られることだ。筆者はプランタジネット朝の末裔がバラ戦争でランカスター対ヨークに分かれて争った史実を踏まえ、キャクストンがチューダー朝成立を陰から応援する立場から書き換えに協力した可能性を示唆した。彼が中世末期に、印刷家としてブルゴーニュやヨーク宮廷の重鎮と極めて近い関係を保ちながら仕事をしたことを考えれば、国を二分する争いの場でその出版物が権力者の圧力で改ざんされた可能性は、改めて問い直す価値がある問題といえよう。



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