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【ご報告】北京でのゼミ合宿

 8月7日〜10日にかけて、久野ゼミナールが北京でゼミ合宿を行いました。参加した学生からその様子を報告してもらいました。


                      北京でのゼミ合宿を終えて
                                                    総合政策学科3年
                                                    西岡 由香莉

 今回の合宿では初めて自分の足で北京の街を歩き、人々の生活の様子、あるいは躍動感あふれる中国の経済発展の様子を五感で感じ取ることが出来た。同時に、そうした中国の現状が、訪中前に漠然と抱いていたイメージと乖離していたことを認識し、同国の経済の実態を更に詳しく知りたいと感じるきっかけにもなった。

 渡航前、とりわけ技術水準については未だ日本に及ばないであろうとイメージしていたが、成田空港から約2時間のフライトを経て北京に到着し、あまりにも巨大で、近代的な構造の空港を目の当たりにした瞬間、それが誤りであることに気づいた。また、北京におけるモータリゼーションの状況にも驚かされた。片側6車線の道路をびっしりと埋め尽くす驚異的な数の車や二輪車、それにもかかわらず割り込みを試みる車、歩行者に対して容赦なくクラクションを鳴らすバイクや車など、日本では普段見ることのない光景を目の当たりにした(私自身、道を歩いているとき、突如クラクションを鳴らされるなど、何回か怖い思いもした)。

 二日目は天安門広場や紫禁城などを見学した後、バスで万里の長城へと向かった。総延長二万キロ以上とも言われるこの世界文化遺産は、個人的に最も楽しみにしていた訪問先のひとつであった。バスで移動中の我々の前に次第に長城の一部が姿をあらわすと、はやく自分の足で登ってみたいという気持ちが一段と高まった。八達嶺長城の入り口に到着すると、勾配が急な「男坂」と、

         成田空港出発

         成田空港出発

比較的緩やかな「女坂」の二つのコースに分かれていたが、体力に自信がない私は迷わず女坂を選んだ。ゼミの仲間と片道15分ほどの所にある「のろし台」まで登ってみると、そこからは、険しい斜面を龍のように這う、威厳あふれる長城の姿を一望できた。これが遥か彼方のモンゴルや甘粛省の方までつながっているとは、想像を絶するスケールの大きさである。

 北京滞在3日目、私たちはいくつかのグループに分かれて、ゼミ恒例のフィールド・リサーチのために市内へ向かった。社会主義国家である中国においては、外国人が自由にアンケートやインタビューを実施することが許されていないため、それらの方法は自粛し、各種商店の店舗における目視での調査がメインとなった。昨年の台湾での調査と比較して方法論に制約はあったが、思い込みや憶測にとどまらず、実際に現地に足を運んで自分達の仮説を検証することの重要性を再度実感した。フィールド・リサーチの過程では、街で人に道を聞いても英語がほとんど通じないこと、北京市内の地下鉄に乗る際には改札手前で荷物のセキュリティ検査があることなど、ガイドブックには掲載されていない、想定外の状況にも多数遭遇した。
 
 現在、領土問題などをめぐり日中関係は政治的に不安定な状態が続いているが、引き続き、両国は経済的に重要なパートナーであり続けるであろう。今回の合宿は、3泊4日と短い期間であったが、中国の現状を知り、日中間の経済関係の今後を考えるうえで大変意義深い経験となった。



                        北京でのゼミ合宿に参加して

                                                   企業経営学科2年
                                                   土方友和

 8月上旬、ゼミ合宿で中国の北京を訪問した。
 到着日翌日、天安門広場、景山公園、天壇など北京市内の歴史的な名所を巡った後、月から唯一見える建造物(実際は諸説ある)とも言われる万里の長城(八達嶺長城)を訪れた。入口から暫く進んでいくと、南側の「男坂」、北側の「女坂」という2つのコースに分岐しており、どうやら男坂の方が傾斜がキツイとのこと。「どうせ登るならば男坂!」と軽いノリで挑戦したものの、これが本当にキツかった…。最大傾斜60度、もはや壁といっても過言ではなかったが、汗をかいた分だけ登り切った時の達成感も大きく、途中の眺めも格別であった。何千キロもの城壁が山の峰々に張り巡らされており、このようなものを「造れ」と命令した当時の皇帝の権力の大きさを改めて実感した。

 三日目は、秋学期に予定されているゼミ内の報告会に向けて、北京市内でフィールド・リサーチを実施した。私のチームは目覚ましい経済発展を遂げている中国の女性の美意識の現状に着目した。具体的には、「日中間の化粧文化の比較」というテーマで、大勢の人々が集まる大型ショッピングモールに赴き、中国人女性のメイクやファッションの現状について統計的な調査を行った。ジロジロと女性の姿ばかりを見て歩く私たちは完全に不審者であり、通報されてもおかしくない状況だったと思う。また、別のチームは「東京・北京における通行人のモラルの比較調査」を実施するために、“ハンカチを落として何割の中国人が拾ってくれるか”という、ちょっぴりスリリングな実験を行ったようだ。個人で海外旅行をすることはあっても、このように何らかの調査を行うことはまずない。異国の地で調査をするということは、ゼミ合宿ならではの貴重な経験だったと思う。

         天壇公園にて

         天壇公園にて

 夜は基本的に自由行動であったが、怪しげな屋台料理や鍋料理を食べに行く人、本場の雑技団やカンフーショーを観に行く人、電気街をさまよう人など、みな思い思いの時間を過ごしたようである。私は夜の街を散策したかったので、先輩や同級生数名とガイドブック片手に電車に乗りこんだ。1時間ほどかけて辿り着いた先は北京のおしゃれスポット“三里屯VILLAGE”。ショッピング・飲食・娯楽施設を収容した人気のスポットである。従来の中国のイメージとはかけ離れた、まるで表参道ヒルズか渋谷の街角に身を置いている錯覚にとらわれる、そんな場所であった。

 その一角にある飲食店で夕飯を食べていると、周りから様々な国の言葉が耳に入ってきた。どうやら外国人が多く集まる店だったようだ。そこで、普段では考えられないが、海外にいるという興奮からか、隣に座っていた外国人に思わず語りかけてみたところ、セルビア人であることが判明。私たちが日本の学生だというと気さくに話し相手をしてくれた。しかし、私の乏しい英語力では当然会話のキャッチボールが出来るはずもなく、一方的にセルビア人の方に「アキラ・クロサワ」の話をさせて終わってしまうという事態に。帰国してからもこれは心残りであった。「英語が出来なければ外国に行っても何も伝えられない」。今回の訪問先は中国であったが、もっと英語を勉強しなければダメだと痛感する一幕であった。

 海外に行く度にいくつもの新しい発見があるが、今回の合宿でも、多くのことを学び、多くのことに気づいた。また外国の文化の良さのみならず、自分の祖国である日本の良さを客観的に再確認できたことも実に多かった。またゼミ生同士の仲も一段と深まったことも今回の合宿の大きな収穫であったと思う。今年の北京合宿のように実り多き旅を、来年も経験できるよう、自分たちで周到に準備をしていきたいと思う。

                万里の長城

                万里の長城