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北島ゼミ合宿 in Chiang Mai

3月22日から24日まで、タイ国チェンマイ県でゼミ合宿を行いました。今回の参加者は2年生3名でした。昨年から、男性同性愛とHIV感染に関する研究をしてきたので、今回の合宿では、HIVについて、タイの学生と意見交換をすることと、タイのHIVへの対応について調べることが主な目的でした。

3月22日は、チェンマイ市内にあるCarematというNGOを訪問し、代表のLuiさんからお話をお伺いしました。CarematのmはでMen who have sex with men (男性同性愛者、以下MSM)を、aはand、tはトランスジェンダー(transgender、以下TG)を意味しており、MSMやTG対象として、地域の医療機関と連携をしながらHIVの検査やボランティアの育成を通じたHIV感染者への支援を行っていました。USAIDから資金的な支援を受けているそうです。
午後3時から、チェンマイラチャパット大学の2年生の公衆衛生学の講義にお邪魔し、日本のMSMとHIVの現状や対策に関して調べたことを英語で報告しました。受講生は約30人で、真剣に聞いてくれました。報告後、日本とタイの社会のMSM/TGなどの受け入れ状況に関する違い、新規HIV感染者に占めるMSMの割合が高い要因等について意見交換を行いました。タイでは、MSMやTGであることを明らかにしても、何の問題もないということにとても驚きました。また、日本の移民や外国人労働者へのHIV感染予防やケアについての質問もあり、今後の研究課題としていきたいと思いました。

23日の午前中にチェンマイラチャパット大学のタマキット副学長を表敬訪問しました。昨日の学生と楽しい交流ができたことを報告をしたところ、次回はセメスター留学をしに来て下さいと仰っていました。
当初予定していたNGO訪問が前日に変更されたため、午後は観光をすることになりました。チェンマイ市の北にあるメーテング象公園に行き、象のショーをみたり、象に乗ったりしました。象乗りでは2人1組で象の背中においてある椅子に腰かけて30分くらい象の背中に揺られていました。ユラユラして少し怖かったけど慣れてくるととても心地よく感じました。

24日はチェンマイ県サンパトン郡にあるサンパトン病院とソブハーン保健所を訪問しました。サンパトン病院では、HIVクリニック担当看護師と病院長からお話を聞きました。サンパトン郡の人口は約10万人ですが、そのうち約1200人がHIV感染者であるとのことでした。新規HIV感染者の多くは20〜40歳代だが、近年、特にMSMにおいては10〜20代で増加傾向にあるとのことでした。その要因として、抗HIV薬が普及し、HIVに感染しても死ななくなったため、感染予防への意識が低下してことが考えられるそうです。また、通院しているHIV感染者の約10%は服用すべき薬をちゃんと飲めていないので、それを改善することが課題であるとのことでした。ソプハーン保健所は、対象地域の住民約3500人に、健康増進、疾病予防、病気や怪我の初期治療など、様々な保健医療サービスを提供しています。スタッフは看護師2名と公衆衛生師1名しかいませんが、毎朝の勉強会、高血圧/糖尿病クリニック、保健ボランティアや高齢者を対象した学校の運営、有機野菜栽培の奨励等々、地域住民を巻き込んで、色々な活動を行っていました。これらの活動が認められ、チェンマイで最も優秀な保健所に選ばれたそうです。この保健所では、LINEを使ってスタッフ間やサンパトン病院のスタッフとの連絡を取っており、患者の状況を写真にとって病院の医師に報告するといったことも行っていました。現在、“村を一つの病院”と見立てるプロジェクトがなされており、村長を院長、保健ボランティアを看護師として、保健所スタッフが支援をしながら、地域住民が力を合わせて在宅の患者のケアをしていくことを目指しているそうです。

<合宿を終えて>
「今回の合宿研究はほんの一部で浅い面でしかモノを見ることができなかったと感じる。だが、短い間でも収穫し、得るものは多く非常に新鮮でした。」
「合宿前の疑問で消化できたものもあれば今後も研究テーマとして調べていかなければならないことが生まれたので、とても有意義な滞在だったと思う。」
「学生時代でもっと長い期間でタイに滞在し、さらに深い発見を見つけていきたいと思うので絶対にもう一度行きたい。」
「今回の合宿は実際に見て、肌で感じる有意義なものになった。NGOの行っている活動、大学生との交流を通して日本とタイでのMSM/トランスジェンダーに対する理解度、受け入れる雰囲気の違いを直に感じられた。このような実際に現地に行くことは何百回と調べるよりも非常に有意義であった。また来たい。」