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【ご報告】コンケン研修その1

タイ国コンケン県にあるコンケン病院(Khon Kaen Regional Hospital)とコンケン大学薬学部の協力で、3月19日から23日まで、国際医療協力専攻の学生が、HIV感染者のケアや必須医薬品のマネージメントに関して研修する機会を得ました。以下では、参加した学生に研修の概要などを紹介してもらいました。

3月19日(第1日目)

 コンケン病院初日。8時30分からミーティングルームにて院長のあいさつから始まり、コンケン病院でHIV/AIDS患者を診察、治療しているニラモン医師、総看護師長、薬剤師、HIV/AIDSのカウンセリングナース、国際交流担当ナース、その他多くのスタッフの方々と私達の自己紹介が行われた。
 午前中はニラモン医師よりまず、コンケン病院やタイにおけるHIV感染者についての説明が行われた。コンケン病院はベット数867床の3次病院であり、1日の外来患者数は3000人以上である。またコンケン病院でHIV/AIDS患者に、抗HIV多剤併用療法を提供しているARVクリニックに来る外来患者数は週に300人以上であった。タイについての説明ではタイ国の人口は64,233,000人のうち、HIV感染者は1,161,244人、2010年度の新規感染者は10,853人であった。HIV/AIDS患者のうちMSM(Men who have sex with men)が33%を占め、主婦は28%、女性による男性感染者と妻から夫への感染者はそれぞれ10%、IDU(Injecting Drug Use)が9%であった。タイでは国内で抗HIV薬を製薬しており、その抗HIV薬であれば一人あたり1か月の治療費は1000バーツ程度ということがわかった。
 コンケン病院外来の見学のあと、ARVクリニックでの医師や薬剤師、看護師に付き添い実際の診察・治療に参加させてもらった。日本では外来診察の場合、通常部屋には医師一人、患者一人で診察が行われるが、コンケン病院では1つの部屋に医師と薬剤師がいて、まず医師が患者に問診し、処方した薬に対して薬剤師が処方内容や服薬に対する確認・指導を行っていた。患者は何人もが列をつくって同室していることが驚きであった。私は主に薬剤師の方に付かせてもらった。薬剤師は必ず内服忘れがないかのチェックをするが、その際実際に薬の標本を患者に見せ、どの薬をどのように飲み忘れたか確認していた。ほとんどの患者に服薬忘れはみられなかった。
 医師の問診の時、MSMの患者に会うことができ、その方のHIV感染について話をきくことができた。12年前にたった1度のIDU でHIVに感染した彼は、精神的なことや自分の家族、パートナーについて、またMSMの感染がなぜ減少しないのかについての自分の意見などいろいろ話をしてくれた。
 HIV感染者の患者の多くが、医師や薬剤師に付き添っている私たちに対して、嫌な顔をせず、自分の感染理由や内服を忘れない為にどのように工夫しているかなどいろいろ教えてくれる方たちが多いことに驚いた。またセクシャル・マイノリティの人たちが他の患者が大勢いるところで、自分のことについて私達にその説明をしてくれたのだが、これは日本ではみられないので、国の違いを大きく感じた。

           国際協力研究科国際医療協力専攻 山下 菜穂子