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大学院国際協力研究科卒業生・平澤佳代さんが翻訳した書籍が刊行


 杏林大学大学院国際協力研究科・博士後期課程(開発問題専攻)に在籍していた平澤佳代さんが翻訳した書籍「中国人と中国経済」が、このほど朝日出版社より刊行されました。

 この書籍は、様々な角度から中国および中国経済について全般的かつ系統的に紹介し、中国人のいろいろな行動上の特徴、思考様式、民族習慣を概括することで、中国人とその経済における関係性を探り出すもので、楽天ブックスの週間ランキング(4月13日〜19日)・日本経済部門で10位にランキングされました。

 平澤さんは杏林大学外国語学部日本語学科を卒業後、大学院国際協力研究科に進学、その後台湾に渡り、朝陽科技大学に日本語教師として赴任しました。この時、中国語の会話能力はゼロの状態であり、また日本語教員は彼女ひとりという環境で、やむなく中国語を独学したそうです。

 さらに、赴任2年目には阪神大震災以上といわれる規模の大地震に遭い棲家が全壊、数日間ガスも水も電気も止まり、外の駐車場に野宿するような生活で、まさにサバイバルを異国の地で繰り広げていました。
日常生活や学内でのコミュニケーションに困らなくなった頃、通訳と翻訳に興味を持ち、仕事の合間に台北にある大学の日中通訳コースに台湾新幹線で通いました。通訳デビューは日本で行われた中国人の工場研修での随行通訳で、そこで聞いた「おひたし」が「冷めた葉っぱ」でしかないと感じる研修生の嘆きに食の文化の違いを痛感したそうです。2013年からは政府の外部嘱託という形で通訳・翻訳者としても活躍しています。

 平澤さんは、「実はお恥ずかしい話ですが、大学院の英語演習で泣いたことがあるんです。でも、実践的な授業のおかげで台湾赴任時にアメリカ人学科長とやりとりできましたし、語学の面白さにも開眼しました。教授陣は厳しさの中にも温かさを備えた人間味のある方ばかりで、個人的な相談にも乗ってくださいます。また、杏林は各国からの留学生が多く、グローバルな環境のなかで学ぶことができます」と話しています。


 彼女の指導にあたっていた金田一秀穂教授は、「いい翻訳者の条件として、当該外国語に深い理解が及んでいることは当然ですが、時にはそれ以上大切なこととして必要なことは、巧みな日本語の使い手であることです。平澤さんは、中国語がとても上手になったということを聞いていましたが、今回の翻訳を見て、日本語がとても上手なんだと改めて感心させられました。海外で長く暮らしている人として、これだけの母語能力をキープできている人はあまりいません。平澤さんが私の大学院のゼミに入ってきたのは、実は阪田雪子先生からのおさがりで、あの阪田先生の代わり私に務まるかどうか心配だったのですが、阪田先生からの薫陶よろしく、私のところでも、大変優秀な学生として修了し、しかも日本語の優れた守り手として台湾でも活躍してくれています。誇らしい思いです」と語っています。

『中国人と中国経済』

『中国人と中国経済』
劉軍梅 著/平澤佳代 訳/任雲 監訳 ・ 2015年3月31日発行
(株)朝日出版社 価格2,800円+税

2015.4.30