修士論文を作成するための調査活動をおこなうために、中国の大通湖区という所に来ています。大通湖区は、中国の東南内陸部にある湖南省の中北部に位置しており、平原地域で、区の総面積は384㎢、『漁米の郷』と呼ばれています。大通湖区は4つの鎮(河壩鎮、北洲子鎮、金盆鎮、千山紅鎮)で構成され、プライマリーケアを提供する村衛生室が77カ所、入院医療を提供する総合医院5カ所が約13万人の人々の健康を守っています。この地域の最も大きな健康問題は、高血圧症、糖尿病及び冠状動脈心臓病などの慢性疾患です。
今回の現地調査の期間は2015年4月16日から6月13日までの予定で、中国の農村部における中高年者の慢性疾患及び関連する保健医療サービスの現状を明らかにすることを目的としています。大通湖区の40∼64歳の住民から抽出された400人の対象者の各家庭を訪問してインタビューをしています。
研究の初期段階(4月16日〜5月6日)では、質問票を検証するため、30人程のパイロットテストを行いました。パイロットテスト中は、指導教授が大通湖区に滞在し、インタビューが順調に進められるように指導をしていただきました。現在は調査研究の真最中で、日々村々を回り、家庭を訪問しています。様々な対象者と話ができるのは非常に良い経験ですが、問題もあります。各村の詳しい地図がないため、自分だけでは対象者の家庭を訪問することができません。そのため、村衛生室(村の診療所)の「郷村医師」に協力して頂き、訪問調査をしています。また、農村部あるため家庭間の移動距離が長いことや、雨上がりの泥道の移動などにも苦労をしています。この地域においては、非識字者も多く、インタビューの内容を理解してもらうことも大きな問題です。
国際医療協力の講義で学んだことを実際に活用しながら、10年ぶりに生まれ故郷の大通湖区に戻り、故郷の人々の健康のため、自分なりの力を捧げられたらと思っています。