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第13回国際医療協力講演会が開催されました

 10月8日に三鷹キャンパスで、第13回国際医療協力講演会が開催されました。今回は、国立国際医療研究センター救命救急センター副看護師長で、本研究科のOBでもある室田力氏を講師としてお招きし、「ネパール地震後の緊急医療活動」というテーマでお話をうかがいました。


【講演の概要】
 4月25日に発生したネパール地震に対する国際緊急援助医療チームに看護師として参加した。今回は通常のフォールド診療とモバイル診療に加え、入院と人工透析、手術もできる機能拡充チームとしての初の派遣であり、参加者も48人と大人数で、職種も医師と看護師の他、薬剤師、助産師、臨床検査技師、臨床工学士、理学療法士、救急救命士など多岐にわたっていた。

 首都カトマンズから東へ100km位のところにあり、被害が大きかったバラビセにおいて医療活動を開始した。日本から緊急援助隊が来たという知らせは瞬く間に広がり、医療活動を行った8日間で600人を超える被災者に医療を提供した。多くは外傷患者で、手術6例、入院7例であった。通訳を介しての診療は容易ではなかったが、よく使うネパール語を大きめのカードに記して、通訳者がいなくても患者と最低限のコミュニケーションはとれるように工夫をした。
今回は、現地の医師にメディカル・リエゾンとして活動に参加してもらった。住民のことも医療システムのこともよくわかっているため、治療に関する患者への説明や患者の外部病院への搬送などがスムーズにできた。

 平成22年にハイチ共和国地震災害に対する国際緊急援助隊医療チームとして派遣されたことがきっかけとなり、緊急医療支援の在り方をテーマとして、国際医療協力専攻で研究を行った。2年間の研究を通して、緊急医療支援の現場において継続的にアセスメントを行いつつ、その効果について評価をすることが重要で、そのための情報収集と基準を設定することが必要であるという知見を得た。それを今回のネパールの活動では少し活かすことができた。


 講演会には、約20名が参加し、活発な質疑応答が行われました。様々な困難な中活動をしたわけですが、「現地の人たちを理解し、自分たちに求められていることを理解し、彼らは何が必要なのかを常に考えながら活動をすることが重要である」という言葉がとても印象的でした。最後に、本研究科での研究成果が現場で活かすことができたというのはとてもうれしいことであり、今後の室田氏のさらなる活躍を期待したいという主催者の謝辞のあと、大きな拍手とともに講演会は終了しました。


2015年10月8日 国際協力研究科 教授 北島 勉