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大学院生研究報告(ネパール地震とその後のリハビリテーション医療に関する調査活動その2)


~第1報のまとめ~

 博士論文の研究のため,5月上旬よりネパールに滞在し,2015年に起きたネパール地震とその後のリハビリテーション医療に関する調査活動の準備を進めていました.政府および現地行政機関と調査認可の調整を進める傍ら,震源地域であるバルパックBarpakを含めた山岳地域の現地視察を行い,まだ現地では多くの問題が山積していることが明らかとなりました.
 ■前回記事はこちら


1.調査認可
 7月3日に政府機関および現地行政機関の双方より,震源地バルパックBarpakでの調査認可を得ることができました.本研究は学術調査であるため,杏林大学における倫理審査はもとより,このような現地での公式許可が必須となります.これを得るために,様々な書類の提出と現地認可機関とのやりとりが必要でした.本研究では,Patan Academy of Health Sciencesという現地医科大学のKedar Baral教授に御協力いただき,本過程を進めることができました.

2.雨季における情報収集と予備調査
 7月5日に現地バルパックBarpak入りしました.多くの荷物を運搬することもあり,山の麓のバルワBaluwaという村からは,約5時間の登山が必要になりました.すでに現地は雨季に入っており,調査の安全性および実行可能性を高めるために,現地での情報収集が非常に重要となりました.土砂災害,天候の急変,滑落,落石,落雷などの状況とリスクを考慮し,事前に立案した調査計画の修正が必要となりました.
 そのような情報収集と並行し,本調査へ向けて現地住民の方への予備調査を行いました.このように予備調査を行い,現地の状況に即して本調査の内容を修正することが,調査の信頼性および妥当性をより高いものとするために非常に重要となりました.また,現地では英語がほとんど通じないため,ネパール語通訳を介しての調査実施が必要でした.

3.本調査
 7月16日より,本調査を開始いたしました.本調査は訪問調査となり,調査内容は,震災関連疾患の加療状況,日常生活動作,生活の質,震災関連医療費を含めた震災による経済負担などです.対象はバルパックBarpak全域およそ1400世帯のうち300世帯でした.現地の簡素なつくりのロッジに宿泊し,村全体が雲に覆われ雨となれば息が白くなるほど気温が下がり,快晴となれば真夏のような暑さになる環境下での調査となりました.当該地域全域をまんべんなく調査するため,宿泊地からさらなる登山がしばしば必要になり,大量に発生するヒルへの対応も必要でした.このように調査環境自体は過酷でしたが,その分本調査のデータが希少なものとなります.特に,ネパールの秘境の蜂蜜が採れるトゥムシカTumsikaというエリアも本調査はカバーしていますが,そこの住民の方の話しでは,そのエリアでは今まであらゆる調査が行われていないとのことでした.
訪問調査の過程においては,地域住民の方々には調査に対し非常に協力的に対応していただき,インタビュー自体は円滑に進むことがほとんどでした.現地のお茶や食べ物でもてなしていただくことも多く,その他通常では得られない貴重な経験を得ることもできました.調査地には病院がないため,調査対象世帯およびそれ以外の世帯の多くの方々から医療に関する質問を受けることも多く,医療ニーズの高さがうかがえました.調査の後半では,カバーエリアの広さから宿泊地の移動が複数回必要となりました.最終的には,最遠隔地域への安全なアクセスが大規模な土砂災害により困難となったため,8月17日に調査は予定の90%程度で終了となりました.

写真1.バルパックBarpak全景

写真1.バルパックBarpak全景

写真2.一旦雨が降ると川のようになる道

写真2.一旦雨が降ると川のようになる道

写真3.宿泊施設の部屋内

写真3.宿泊施設の部屋内

写真4.晴天時の望める景色

写真4.晴天時の望める景色

写真5.調査した村落内の状況

写真5.調査した村落内の状況

写真6.調査中の写真

写真6.調査中の写真


4.今後の展望
 本調査はネパールにおいて多くの方のサポートの下でなされ,貴重なデータを多く集めることができました.データ自体の学術的希少性は明らかですが,それをどのように発表していくかが今後重要となります.現地の方の協力に報いるためにも,今後は様々な学術活動を通じて,データを発表していければと思っています.
本調査において,協力していただいた全ての方々に深謝いたします.


杏林大学大学院 国際協力研究科 博士後期課程 遠藤弘司(理学療法士)
2016.09.30

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