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大学院生研究報告(タイ及びミャンマーでの病院訪問)

 10月20日~24日の期間中において,タイのコンケン病院およびコンケン大学・大学病院,ミャンマーのUniversity of Medicine – 2とその関連病院をそれぞれ1日ずつ訪問いたしました.現地教職員や医師,理学療法士の方々の懇切な案内のもと,主にリハビリテーションに関連する臨床場面,教育機関および研究施設までを拝見することができました.

1.コンケン病院
 コンケン病院は,タイ東北部のコンケン県ムアンコンケン郡にある867床を有する地域の基幹病院です.高機能の外傷センターは国際的にも評価されており,タイの30バーツ医療制度にも対応しています.リハビリテーション部門には,18人の理学療法士,4人の作業療法士,1人の言語聴覚士が所属しており,各リハビリ分野を専任制で担当し,不定期にローテーションがなされるとのことでした.理学療法士の1日の担当患者数は10~15人程度,1セッションあたり20~40分で,タイ国内の理学療法実習生も多く受け入れています.
コンケン病院では,理学療法士の臨床場面,特にICU,CCU,外傷センター,熱傷センターなどにおける急性期リハビリテーションと,管轄地域での訪問リハビリテーションを中心に同行させていただきました.特に,筆者が今まで主に関わってきた急性期リハの視察場面では,現地の理学療法士と挿管患者の呼吸器ケアを中心に活発に技術や知識をシェアできました.このような急性期理学療法における国際技術交流は,本病院の理学療法士サイドからの需要も高く,今後拡大の実行可能性の高さが示唆されました.

写真1.コンケン病院概観

写真1.コンケン病院概観

写真2.コンケン病院院長との挨拶

写真2.コンケン病院院長との挨拶

2.コンケン大学およびコンケン大学病院
 コンケン大学は,コンケン県ムアンコンケン郡にある1964年設立のタイ東北部最大の国立大学です.理学療法学科も設置され,BachelorからPhDまでのコースがあり,日本の複数の医療系大学とも国際学術交流協定を結んでいます.コンケン大学病院(Srinagarind Hospital)はその併設病院で,当該地域で最も高い医療水準を誇る,1000床を超える大病院です.また,それとは別に,コンケン大学には整形外科クリニックが併設されており,理学療法士へのダイレクトアクセスが可能となっています.
 コンケン大学およびコンケン大学病院では,理学療法科のSurussawadi准教授,Uraiwan准教授,病院所属の理学療法士の方々に案内していただきました.大学病院の臨床場面だけでなく,コンケン大学大学院の研究施設まで拝見することができました.大学病院の視察では,救命病棟,整形・神経疾患病棟以外にリハビリテーション病棟が設けられており,他の病院からリハ目的に大学病院に転院する例があることが印象的でした.一方,大学では研究室を案内していただき,多くの大学院生が研究活動に勤しみ,多くの論文が発表されている現状を拝見させていただきました.Uraiwan准教授によると,研究設備がまだまだ不十分のため,今後は国際的に研究活動の拡大を図っていきたいとのことであり,理学療法分野の学術活動レベルでの国際協力への高いニーズを確認することができました.

写真3.コンケン大学概観

写真3.コンケン大学概観

写真4.Associated Medical Sciences学部長(左)およびSurussawadi准教授(右)との挨拶

写真4.Associated Medical Sciences学部長(左)およびSurussawadi准教授(右)との挨拶

3. University of Medicine – 2 (UM2)
 UM2はミャンマーのヤンゴンにある1963年に設立された国立大学で,理学療法学科はまだありませんが,リハ医学のPhDコースを提供しています.理学療法の修士および博士課程を有する日本やタイの大学とも関係が深く,国際留学プログラムなどが盛んにおこなわれています.ミャンマーでは理学療法の国家試験はありませんが,公立機関で就労する場合にはリハビリと英語に関する試験が必要となります.ミャンマーでは推計2000人弱の理学療法士(大部分が女性)がおり,うち500人程度が公立機関で勤務されているとのことでした. UM2への訪問では,主にリハ医であるKhin Saw Oo教授に案内していただき,関連病院であるNorth Okkalapa General Hospital(NOGH)およびNational Rehabilitation Hospital(NRH)を視察することができました.NOGHは800床以上を有するヤンゴンでも最先端の病院で,10名の理学療法士が勤務しており,20床のリハビリテーション病棟もありました.NRHはリハビリテーション専門の病院で,19名の理学療法士が勤務しています.2年前までJICAから理学療法士の方が5年間派遣されており,現在も作業療法士の方が派遣されているとのことでした(訪問時は一時帰国中). NOGHおよびNRHでは,同教授および現場の理学療法士の方々と,脳卒中や心臓リハビリテーションに関するプロトコールに関する情報や,実際の臨床現場で簡単なケーススタディなどを通じた動作分析や理学療法技術などの共有を行いました.その過程において,日本の理学療法士が技術移転できる余地が多く残されていると感じました.実際,まだ理学療法は発展過程にある部分が多く,また作業療法士や言語聴覚士はいないのが現状です.Khin教授の話しでは,今後は教育面だけでなく,臨床や研究レベルでの国際交流を進めて,ミャンマーのリハビリテーション医療の発展を図っていきたいとのことでした.

写真5.North Okkalapa General Hospital概観

写真5.North Okkalapa General Hospital概観

写真6.Khin Saw Oo教授との挨拶

写真6.Khin Saw Oo教授との挨拶

4.総括
 短い訪問日程にも関わらず,各現場においてリハビリテーション医学に関する国際協力ニーズが多いことを認識できました.ただし,それには,相互の文化的・社会的理解という基盤が必須であり,お互いの技術や知識をシェアし,アジア圏における理学療法およびリハビリテーション医療の普及・発展に努めていくという姿勢が重要となります.今後は,このような発展的関係性を深化させ,国際交流プロジェクトが具体化していくよう寄与できればと思います.
 最後に,本視察を支援していただいた,全ての方に深く感謝いたします.

杏林大学大学院 国際協力研究科 博士後期課程 遠藤弘司(理学療法士)
2016.10.28

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